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デウス・ウルト   作者: 妖怪はらへった
第二章 天峰学園 一年生編
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第34話 開催

「―――い――――ろ―」


 靄がかかった真っ白な部屋に俺は佇んでいた。

 何かを探すように辺りを見回す。


 真っ白な部屋の中央に何かがある?

 どす黒く変色したあれは、鏡・・・なのか?

 俺は誘われるかのようにそれに手を伸ばして――――



「おいッ!起きろ!!」



「うわッ!・・・え?」

「え?じゃねえよ。いくら何しても自由とはいえこんなとこで堂々と居眠りすんな」


 不機嫌そうな顔のフォルト先輩が俺を見下ろしている。

 何だ?何が起きている?


「ここは・・・研究室ですね」

「はあ?何言ってんだお前。お前ももの手伝いは?」

「手伝い・・・」


 何だ頭に靄がかかってる。

 思考がいちいち邪魔される。


「まさかお前・・・チッ、もものやろうやりすぎだバカ」


 俺はもも先輩に呼び出されて、それから・・・


「とりあえずこれを飲め!」


 フォルト先輩は有無を言わさずビンを俺の口に突っ込む。

 粘り気のある得体のしれない液体の臭気に鼻が熱くなる。


「んがッ!ゲホッ、何飲ませてるんですか!」

「気付け薬だ、ちっとは頭スッキリしたろ」


 頭?確かにさっきより意識がはっきりした気もしなくもない。


「真白、お前ここに来て何をしてた」

「えっと、もも先輩に呼び出されて――――」


 今日起きたことを何とか思い出しながらフォルト先輩に説明する。

 最後の方の仮面の下りは朧げだが一部始終を説明できたはず。


「やっぱりか、お前が倒れていた原因は『魂失(ソウルアウト)』だよ」

「なんですか『魂失(ソウルアウト)』って」

「ざっくり言えばMP切れだ」

「・・・MPって、ゲームじゃないんですから」

「ゲームの方が解りやすいだろ。走れば息が切れる、これと同じだ。能力を限界まで使うと精神が耐えきれず防衛機構が働いて意識を遮断するってことだよ」

「俺能力使ってないんですけど」

「ももの仮面の作成時に発生するエネルギーは対象者、つまりお前のリソースから搾取される。お前が能力をバカスカ使ってるのと一緒だな」


 あの仮面を作る能力はこっちのエネルギーを使うってそんなのありか?

 ていうか限界まで力を使うと失神するのか、覚えておこう。


「で?何枚作ったんだよ、仮面」

「確か30枚はいけるとか言われた気が」

「30!?やりすぎだろ!お前のMPが高いのか仮面のコスパがいいのかはたまた両方か?言っとくがももの能力普通なら2~3枚作ると落ちるぞ」

「どんだけヤバい量作らされたんですか、俺」


 もも先輩まじで容赦ないな。

 俺この学園に来て意識が飛び過ぎている気がするんだが。


「あいつには俺から言っとくか。ところでお前対策とか準備できてるのか?」

「急に何の話ですか?」

「お前中央掲示板見てないな。連絡が毎回端末に来るわけじゃないぞ」


 そういうとフォルト先輩は画像を俺の制御装具(インペリウム)に転送してきた。

 画像の中身は・・・何だこれ?


「ええと、『異種能力戦(バトルオーケストラ)』開催決定!今年は粒ぞろいな新入生が多数入学したため、その力を切磋琢磨させるために急遽新入生大会を開催します。生産型(クリエイター)以外は全員出場となります。先日行われた模擬実習の全データが解放されていますので新入生の皆様は勝ち上がるために役立ててください」

「そういうことだ」

「何ですかこれ・・・」


 おいおいおいおい、付与装具(オルナーティオ)、武器、能力何でもありって書いてあるぞ。

 学生の大会に武器って何を考えてるんだよ。

 安全な結界の中で行われるので遠慮なく思う存分やり合ってくださいって、おかしいだろ。


「俺こんなの一回戦でわざと負けますよ」


 こんな露骨に目立つ大会考えたやつ誰だよ。


「そういうなよ、一番下の恩賞見ろって」

「恩賞?えーっと、上位10名までの生徒にはクラス内順位アップと所属部・研究会に部費を贈呈、ですか」

「そ、この研究会超貧乏でさ、なんでも一般企業の研究費位貰えるらしいから欲しいなーと」

「いやいや、上位10名って無理でしょ」

「真白、勝つの」


 いつの間にかもも先輩が出て来ていた。

 この人いつから話を聞いていたんだ?


「目指すは優勝なの。研究費もぎ取ってくるの」

「圧がやばいんですけど、フォルト先輩」

「俺やももの研究ってちょっとばかし金がかかりすぎるんだよ。今までは所属人数も少ないから雀の涙でさ、バイトしながらやりくりしてるんだぜ」

「もうバイト嫌なの。着せ替え人形はこりごりなの」

「どんなバイトしてたんですか・・・」


 そうは言ってもなぁ。

 こんな目立つこと鷲司さんにとりあえず相談しないとなぁ。


「やれるだけやってはみますけど、とりあえず上代先生に相談していいですか?」

「なんでジーサンじゃなくて上代先生なんだよ」

「別に隠してないんで言いますけど、上代先生の娘のお目付け役というか見張りというか、あんまり学園で目立つなって言われてるんですよ」

「関係ないの、優勝なの」

「おちつけよもも、そういうことなら相談行って来いよ。多分結果は変わらねえよ」

「どういう意味ですか?」

「行ったらわかるよ。とりあえず今日の活動はここまでだな」


 いたずらっ子のような笑みを浮かべてフォルト先輩は手を振る。

 俺は先輩たちに見送られるままとりあえず職員室を目指した。


 あの先輩はいつも意味深なんだよな。

 父さんのことも何か知ってるぽいんだけど教えてくれないし。

 もも先輩は最後まで優勝なのだし。


 そうこうしている内に気づけば職員室前か。

 何て言われるかな。


「御影目指すは優勝だ」

「はい?いやいや何でそうなるんですか」

「中央掲示板は確認したか?」

異種能力戦(バトルオーケストラ)ですよね。それの出場をどうするか確認に来たんですけど」

「違うそっちではない。これを読め」


 そう言うと鷲司さんはくしゃくしゃに丸められた紙を俺に手渡す。


「上代輝夜親衛隊発足のお知らせ・・・は?」


 まるで意味が解らない何だこれは。


「上代せんせ――――」

「俺は知らん。知らぬ間にこれが貼りだされていた。輝夜にも確認したが言い出したのはアイツではないらしい。だが否定もしないからややこしいのだ」

「入隊条件が異種能力戦(バトルオーケストラ)で御影真白より順位が上の者に限るって書いてあるんですけど・・・」

「そうだな」

「強制っぽいから俺一回戦で負けようかと・・・」

「ならん。どこぞの馬の骨を輝夜に近づけるな」


 おいおい、誰だよこんな意味不明なことしやがったの。

 何なら輝夜絶対楽しんでるだろ。

 ってかフォルト先輩が言ってたのはこの事か。

 そりゃそうなるよな、目指せ優勝ってなるよな、どうすんだよこれ。


「ちなみに能力は・・・」

「制限をかけろ、全力は出すな。だが負けることは許さん」


 あの娘ならこの父親だな、おい。


「模擬戦での戦い方までは許容する。あれ以上は目を付けられるから気をつけろ」

「目を付けられるって誰にですか」

「いろいろだ。唯でさえお前の父親は校則を一新するぐらいにはここの教師陣に多大な影響を与えている」

「いや優勝して尚且つ目立つなは矛盾しているでしょ」


 鷲司さんは鋭い眼光をさらに研ぎ澄ます。

 そんな目をされても無理だし俺も嫌なんだが。


「今回ばかりはしょうがない。最善を尽くせ」


 マジでなんなんだよ、これ。

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