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デウス・ウルト   作者: 妖怪はらへった
第二章 天峰学園 一年生編
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第32話 出鱈目

久々かつ今年初投稿・・・。

今年もよろしくお願いいたします。

「まじかぁ・・・」


 俺は落胆の色を滲ませながら研究棟を後にする。

 空は俺の気持ちとは裏腹にさわやかな青空が広がっていた。


 昼休みの面談後しっかりと午後の授業を受けた俺は、気合十分に研究棟へと向かった。

 目に見える目標に燃えていたんだが、ものの数分で挫かれた。


「まさかまだもも先輩が出て来てないとか。しかも長いときは一週間以上出てこないらしいしな」


 引きこもりっぱなしで大丈夫なのかと心配すると、教頭先生もフォルト先輩もいつものことだと軽く返してきた。

 教職に就くものとして当然注意はしてきたが、研究の邪魔をすると倍以上のしっぺ返しを食らうと乾いた笑いで外を見る教頭先生。

 フォルト先輩も中に突っ込むなら一人で行けと手を振られる。

 ちなみに学園長に相談をしても死なないようにだけ管理しろとあしらわれたとのこと。


「本当学校というか研究所としての役割の方が大きそうだな」


 入学式でも学園長が言ってたしな、さらなる知識の研鑽をって。

 むしろ特化して極めるのを望んでるんだろうな。


「しかしこうなってくると暇だな。輝夜達が終わるの待つにしてもなぁ」


 爽やかな空を見上げて考える。

 このまま穏やかな光を浴びていたら寝てしまいそうだし、散歩でもするか。

 学園は初日にほぼ見て回ったから・・・。


「学園都市でも見て回るか」


 しばらく出てこないだろうし、何か新しい発見もあるかもしれないしな。

 善は急げと、俺は門を目指して走り出した。





 ――――

「おー、まさに都市って感じだな」


 学園門の先にある駅を目指している途中で、立ち並ぶビル群を見上げ立ち止まる。

 学園と寮しか行き来してないからちゃんと学園都市を見るのは何気に初めてだな。

 周りの視線からお上りさんの空気が溢れているのが解るがこれは圧巻だ。

 覆いつくすように立ち並んでいるが街道は明るく、以外にも自然が多く取り入れられている。

 いろいろと計算されて建てられているのだろうな。


「確か大きく分けて七大区画だっけか?どこから行くかなぁ」


 制御装具(インペリウム)から学園都市の地図を出して行き先を考える。

 学園都市の区域は大きく七種に分かれおり、一般区・商業区・工業区・軍事区・行政区・自然区・神聖区の七つだ。

 そこからさらに自然区の中に農業スペース、工業区の各種工場などそれぞれの研究分野で細分化されている。


「どこから回るかなぁ、商業区を一人で回ると輝夜達にバレると面倒くさいか?」


 知らないところを散策するのは昔から好きだ。

 路地裏や道じゃないとこの冒険感がたまらない。

 地図があろうと自分の目でマッピングするのが楽しんだよな。


「これは立ち入り禁止ってことか?」


 地図を見ていると黄色で区切られているエリアがある。

 タッチして詳細を見ようとするとバツが大きく表示され、閲覧不可と書かれていた。

 行政区や軍事区は大体のエリアが黄色で区切られているから基本的に門前払いってことか。

 他の区にもいくつかあるな、それぞれの重要スペースってことなのか。


「とりあえず無難に一般区から見て回るかな」


 もも先輩が出てくるのが早いか、俺が学園都市を見て回るのが早いか、はてさてどっちかな。





 一通り一般区を見てみたがここは生活を主にしている区画のようだ。

 小中学校や高等学校が主にある区画で、俺たちが入学した天峰学園もこの学区だ。

 それ以外は学生寮やホテルなどの居住スペースが多く見える。

 スーパーや大浴場、運動場など専門的なものより総合的な建物が多く、とりあえず事足りるようにしてあるイメージだな。


「学校によってちゃんと特色が違ったのが面白かったな」


 思創の卵(プロキシー)専門の学校や、逆に科学技術のみを追求している学校などがありグラウンドでやっていた実験を遠くから見るだけでも楽しかった。

 俺もああいう研究活動をしたいのだが、いまだにもも先輩は出てこない。

 俺の仮面の何が面白いのかも早く教えてほしいな。


 あとはゲーセンが以外にも結構な数があったのが印象的だったな。

 輝夜は大のガンシューティングマニアだから連れてくると帰れなくなりそうだ。

 俺的には、天峰学園の近くの寂れたゲーセンに父さんが昔作ったアーケードゲームがあったのが最大の収穫だったな。

 家庭用は遊んだことはあったけど実機は初めてだったのでついつい夢中になってしまった。

 遊んでいたらレトロゲームマニアみたいなやつと仲良くなって、そいつのおすすめゲームセンターなんかを一緒に回ったりと充実した日々を送る。





 もも先輩が自分用の研究室から出てきたのは引きこもってから5日後のことだった。


 いつものように授業が終わってから一度研究室の様子を覗くと、頬を膨らませたもも先輩が狐のお面越しに俺を睨みつける。


「真白遅いの、待たせすぎなの」


 それはこっちのセリフなんだよなと思いつつもスイマセンと頭を下げる。


「わかればいいの」


 俺の態度に気をよくしたのか、ふんすと鼻息をたてて制服の袖を引っ張る。

 どうやら研究室にお呼ばれらしく、俺も胸が高鳴ってきた。

 仮面から魂の研究をするというよくわからない内容だが、はたしてどれほど理解できるかな。


 もも先輩の研究室は異様を通り越して異質だった。

 四方すべての壁に隙間なく仮面が並べられており、その下には廊下でも見たマネキンが数十体が様々なポーズで立っている。

 床には引きこもっていた時に食べていただろうお菓子なんかが散乱して山を作っている。


「とりあえず適当な椅子に座るの、まずはあなたの知識のレベルを確認するの」

「知識のレベルですか?」

思創の卵(プロキシー)についてどこまで理解しているの?ここは今私と真白しかいないの。隠し事なしなの」


 特に隠していることは無いんだけどな、なんか引っかかる言い方だな。


「真白の模擬戦のログを見たの。あれは1年生のレベルではないの。誰に教えられたの」

「えっと、何か変なことをしてましたか・・・?」


 何のことだかまるで見当がつかないんだけどな。


「・・・無意識でやっているならやっぱり変態なの。さすが晶の息子なの」


 もも先輩は一つため息をつくと、腰にぶら下がっていた仮面を手に取り俺に見せる。

 顔のない鏡の仮面、俺の仮面だ。


「あの模擬戦のあなたの鏡は異常なの。物質の召喚に光の反射を向きも変えずに任意の方向に飛ばしているの。これは能力の条件付けなの」


 もも先輩は足元に落ちていたスケッチブックを開くと絵を描いて説明を付け足す。

 なるほど、物理法則を無視していると言っているのか。


「鏡は金属があればどこでも作れますよ。ない場合は空気中の塵なんかを集めて表面を水で覆って水鏡にしてるんですよ。だから無から有を生んでいるわけではないですよ」

「リフレクトミラーはそんな能力ではないの。あくまで鏡に付随する能力『反射』を強化して相手の能力などを返す力なの。作ること自体異常かつ入射角なんかも出鱈目なの」


 確かに作るのは違う能力と言われればそうだな、リフレクトミラーは適当すぎたか。

 説明とかが面倒くさいし鷲司さんにも釘刺されてるしどう説明するか。


「塵から云々は確かにちょっと特殊というかコツはありますけど、反射は別に変ではないでしょ。返したい方向に飛ばしているだけですし」

「はぁ・・・、これは重症なの。ファンタジー脳なの」


 すこしムッとしたもも先輩に懇切丁寧に説明された。

 思創の卵(プロキシー)そのものは意思や感情などの不確かなものを根底に作られるが、能力は現実世界の思想や常識、原理に基づくものらしい。

 神智学か科学かでまず分かれ、それぞれの学問に基づいた能力が定着する。

 俺の鏡を作り出す考え方は科学的なのに、反射に関しては文字をなぞっただけの原理はデタラメで結果だけを生み出すのはどちらかと言えば神智学の方だと。

 特に意識はしていなかったが、俺はなかなかハイブリッドなことをしていたのか。


「この力の使い方は・・・すいませんわからないんですよね」

「隠し事は――――」

「そうじゃなくて、思い出せないんですよ。ちょっと事故で子供の時の記憶がなくて・・・」


 言われてみて考えたが、俺がこの使い方を覚えたのは多分あの日の前後なのだろう。

 教えられたという記憶がないし、最初から使えてかといえば多分違う。

 なんだか記憶のモヤモヤしたものが違うと言っている気がする。


「そう、それは失礼したの。でも納得したの、あなたの仮面がどうして両面鏡なのかを」

「両面鏡の理由?」

「この話をするには時間がかかるの。お茶とお菓子を用意するの」


 もも先輩はそういうなり床に積み上げられている山を漁る。


「そこからだすんすか」

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