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デウス・ウルト   作者: 妖怪はらへった
第二章 天峰学園 一年生編
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第28話 講評

 悠然と戦闘領域(コロッセウム)から出てくる二人を見て辺りがどよめく。


「最後のは何だったんだ?」

「光の剣が飛んだと思ったら終わったぞ」

「あいつの能力何なんだよ」


 周囲のどよめきに気をよくしたのかウィリアムがドヤ顔で俺たちの方へと歩いてくる。

 別にここはお前の定位置じゃないぞ。

 よく見ればウィリアムの三歩ほど後ろを歩くハイド、お前はできる嫁か。


「ハイドやるじゃん!最後のぶわって増えたの何あれ、スゴイじゃん!」

「お褒めに預かり光栄です」


 飛び跳ねながら感動を伝える嵐に紳士的に微笑むハイド。

 この二人のやり取り見てるとほっこりすんな。


「いや、本当に最後の分身はビックリしたよ。流石だなハイド」

「坊に比べればまだまだですよ。それに真白ならあれくらい対処できたと思いますが?」

「それは買いかぶりすぎだろ」

「おいッ!俺に対する称賛はないのか」


 チヤホヤされているハイドを睨みながらウィリアムが身を乗り出す。

 嫌そうな顔全開で嵐はウィリアムの方を見る。


「なんか、あんたのはズルい」

「ズルいとはなんだッ!」

「あんたぼっ立ちしてただけじゃん。何か見てて能力ズルいなって思ったもん」

「言わせておけばこの女ぁ」

「無駄話はそこまでにしロ」


 セト先生と乙女ちゃんが俺達、というよりウィリアムたちの方へと歩いてきた。

 後ろにはさっき戦っていた二人も一緒にいる。


「これより講評を始めます♪お互いの良いとこや悪いとこ、学園のシステムについて話していくから聞き逃さないように☆」


 アイドルのようなキャピっとしたポージングで説明をする乙女ちゃん。

 そのポーズはいるのか?


「まずは前に並んでね四人とも。ではではセト先生よろしくです!」

「講評をはじめル。まずは初の模擬戦だがいい試合だった。能力をそレぞレしっかリと使用して説明がしやすい」


 そういいながらセト先生は全員に見えるようにウィンドウを幾つか展開する。


「まずそレぞレの能力のベースを見よう。勝った方は天秤と影、負けた方は電気と空気が主なベースとなっていル。この試合は始まる前から仕掛けられていた」


 ウィンドウに模擬戦前のウィリアム達が映し出される。

 これは戦闘領域(コロッセウム)に入る直前の言い争っていたとこか。


「結論かラ言うと、天秤の能力は恐らくルールを定め順守させル力だ。さラにそのルールを破ったものに相応の罰を与えル」


 セト先生の説明を特に否定をすることもなくウィリアムは黙って聞いている。

 ウインドウに天秤の出現、ウィリアムへの攻撃、最後の光の剣と順番に映し出されていく。


「そのことを意識させないように煽リ続け、それにまんまとのった形が今回の試合だ」


 小物Aが俯きながら拳を握りしめる。


「今回のような能力の対策としては3つ程あル。1つ、指定が個人だったのなラ個人以外を攻撃すル。影の方を狙うか足元を攻撃して礫など副産物によルダメージを狙う。2つ、能力の元であル天秤の破壊を試みル。3つ、攻撃ではなく封じ込めル。あレだけ大量に生み出せルなら周囲への展開で留め、影の方へ加勢すル」


 だからウィリアムは必要以上に煽っていたのか。

 天秤ではなく自分の方へ、ハイドの所に行かない様にと。

 ちゃんと考えてるんだな、単に口が悪いだけじゃないのか。

 おっと、どうやら顔に出ていたらしくウィリアムに睨まれてしまった。


「次に影と電気、今回は武器を禁止とし能力以外近接戦のみとなっていた。相手が近接しかしてこないと判断したのであレば空気とスイッチして入レ替わルべきだった」

「先生ッ、お言葉ですがそれは結果論ではッ」


 小物Bが身を乗り出してセト先生を睨むように見つめる。

 お前ならできたのかと言わんばかりだな。


「確かお前たちは軍志望だったな。実際の戦場でその言い訳が通ルか?」

「ッ!」

「初の模擬戦で全てを解レとは言わない。ただこのような考え方もあルのか位は留めて置け。軍部を目指すものは視野や思考を広く持て、こレはそういう授業だ。戦いを生業にしない奴も何処で何が生きルかわかラない、模擬戦に参加すルものは意識して取リ組むように、以上」


 セト先生はそれだけ言うと戦闘領域(コロッセウム)の方へと向かう。

 悔しそうに俯いたまま、負けた二人は生徒の中に戻っていく。

 ウィリアム達も何かを考えながら元の位置に戻ってきた。


「ではでは次はシステムのお話ね♪みんな自分の制御装具(インペリウム)を起動させて」


 乙女ちゃんはひと際明るく声を上げてウィンドウを開く。

 俺たちが起動させたのを確認すると、乙女ちゃんもセト先生と同じように自分のウィンドウを大きく展開する。


「今回模擬戦をしたことにより、ランキングという項目が新たに追加されてます☆」


 本当だ一番下にランキングができている。

 なるほど、クラス別に見れるのか。

 SからCまでの7段階のランキングができており、俺はB+のランキングを表示させる。

 これはクラスランキングでの順位がそのまま順位に反映されてるってことか。


「見ての通り今はクラス順位が反映されてますが、模擬戦の勝敗や学園のイベントでの評価で上下します!そして当然クラスアップにも関係してきます☆」


 出たな救済措置。

 いい方はあれだがポイント稼いで上を目指せってことか。


「能力差で不満が出ないかって?そのために学園のシステムがあるんだよ♪そうだねぇ、よしさっき戦ったウィリアム君の名前をタッチしてみて♪」


 ウィリアムの名前を探して、言われるままにタッチをする。


「これは・・・」


 そこにはウィリアムの簡易的なステータスが載っていた。



 ――――


 ウィリアム・T・トーマス 15歳 男


 所属:無し


 パートナー


 思想の卵「裁きの天秤(ジャッジメント)


 能力タイプ:特殊型(測定前)


 概要:法を定め順守させる力。法を破るものに相応の罰が下る。

 発動時天秤が宙に舞い、天秤の効果には範囲が定められている。


 パートナー:ハイド・T・トーマス



 総合ランク:Bクラス


 クラス序列:S>A>B>C




 学年内Bクラスランキング:159/1000


 ――――



「こんな感じで制御装具(インペリウム)から情報を中央に送り、全員に情報が共有されちゃいます☆上を目指して模擬戦に励むもよし、体育祭などの大型イベントまで実力を隠すもよし、全ては自分次第だ♪」


 確か模擬戦は申し込まれても拒否することもできたな、俺は全スルーといきたいが嵐と組んでるからそこは要相談か。

 これはいろいろと確認事項が増えてきたな。

 この学園積極的に切磋琢磨させたすぎだろ。


「説明はとりあえずこんな所かな?ここからはセト先生と私で2チームずつ見ていくからね♪」

「準備はできたぞ」


 いつの間にか戦闘領域(コロッセウム)が二つになっていた。

 乙女ちゃんの説明の間にセト先生がセットしていたようだ。


 しかし後発隊は戦いにくくなったな。

 能力は最低一度使用しなくてはいけなくて、尚且つ受けたい授業のためにランキングを意識するなら負けるわけにもいかない。

 でも能力を使い過ぎれば弱点を探られて次の機会に対策されてしまう。


「めんどくさいな、このシステム」

「え?何で?パパッとやっちゃえばいいじゃん」


 俺のボヤキに嵐が背伸びをしながら返す。


「私の能力は隠すほどじゃないし、真白っちのもわりと見たまんまじゃん」

「それはそうだけどなぁ」

「ちゃちゃっとランク上げて姫のとこに行かなくていいの?」

「俺としてはもう少しゆっくりしたいかな、と」


 嵐は俺の反応にふーんと生返事をしながら見つめてくる。


「・・・なんだよ」

「別にー、それなら私もゆっくりしようかな、と」


 いつものようにニッと笑うと、嵐は乙女ちゃんの方の戦闘領域(コロッセウム)にかけていく。


「こっちで観戦しようよ、絶対乙女ちゃんの方が面白そう!」

「わかったから走るなって」


 軽快なステップでご機嫌に先へ行く嵐。

 いつまで経ってもよくわからん奴だ。

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