第26話 模擬戦
体育館へレッツらGO☆された俺たちは、入学式の時とはまるで違う異様な空気に足を止める。
館内中央に等間隔に4つの柱が立っている。
柱同士をつなぐように薄い膜のようなものが貼られており、立方体の形をしている。
「つかデカくないか、これ」
おおよそ三階建てくらいの高さがある体育館の、天井際まで伸びている柱を見上げる。
恐らくこの中でやるのか。
「はいは~い、こっちに注目してー」
乙女ちゃんが手を叩き注目を集めると、セト先生がウィンドウを大きく表示する。
「みんなも自分のステータスウィンドウを開いて聞くように☆」
俺たちは自分のステータスを出して待機する。
全員が開くのを確認すると、セト先生が一歩前に出る。
「今かラ測定すルのは能力タイプがあっていルか、体力と理解力及び戦闘時の適応力を測定すル。今回の測定だけですべてが決まルわけではないが、あル程度の基準になルことは頭に入レておくといい」
なるほど、あくまで現段階のステータスは仮決めで、こういう感じのテストみたいなのを踏まえて更新していく感じか。
俺は改めて自分のステータスを確認する。
最初に見た時からいろいろ変わっているな。
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御影 真白 15歳 男
所属:自由研究会
思想の卵「リフレクトミラー」
能力タイプ:支援型(測定前)
パートナー:狗上嵐
独創性:C
学力:C
体力:B
理解力:B
適応力:A
戦闘適正:-(測定前)
模擬戦戦績:0勝0敗
総合ランク:Bクラス
クラス序列:S>A>B>C
学年内Bクラスランキング:468/1000
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「今回の模擬戦は君たちの装着している制御装具や中央にある戦闘領域を通じて、学園の中央電算室へデータが送られます♪そこからステータスへフィードバックされ数値が変更されます♪」
「ただ勝つだけではなく、いかに自分の思い通リに事を進めルか、戦闘の展開の仕方なども重要だ」
どうやらこれが制御装具が配られたときに先生が言ってた"救済措置"ってやつの一つらしい。
学園が用意する機会をどれだけいかせるか、チャンスをモノにできるかを見るってか。
競わせること前提な随分と効率的なシステムで、嫌気が差すな。
先生の説明に参加する生徒の目の色が変わる。
浮ついた空気は払拭され、全員ウインドウ画面を閉じた。
「生産型は別で課題が出さレル。君たちは今回は見学だ。ペアをまだ組んでいないものはこちラで仮決めを行うが、後日変更してもラって構わない」
そういうなりセト先生は自分のウィンドウを操作し始めた。
黙ってその作業を見ていると、乙女ちゃんがキャスターのついた大きなモニターを運んでくる。
「じゃじゃ~ん♪自動抽選機ー♪」
どこかの猫型サポートロボのようなニュアンスで機械を紹介してきた。
あの抽選機で模擬戦をする順番を決めるのか。
「今のうちに決まっている人だけでも抽選しちゃいましょ☆」
軽快な音楽を垂れ流しながらモニターが動き出した。
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抽選の結果俺と嵐は最終試合で、ウィリアムとハイドが第一試合となった。
妙に張り切っているウィリアムを横目にハイドに声をかける。
「大丈夫か?」
「少し様子を見たかったんですけどね。まあ面倒事が早くに終わると割り切りましょう」
おお、自信満々でまるで負けを感じさせない。
「相手はセト先生に喧嘩売った奴らだけど勝気満々だな」
「当たり前だ、俺達があんな小物に負けると思っているのか!」
「ちょ、坊声が大きいです」
大丈夫バッチリ睨まれているぞ、ハイド。
「熱くなるのはいいけど、先にルールとか注意事項説明するから聞いてね☆」
乙女ちゃんがいつの間にか用意した台の上からメガホンで呼びかける。
「まずはこの戦闘領域の説明からね♪薄い膜が張ってあるのがわかるかな?これは外と中を遮断する防御膜で規定人数が入ると空間を遮断して、中で発生する攻撃を外に漏れないようにしてくれます☆さらに今回はHPが設定されてまして、そのポイントをオーバーする攻撃を受けると強制的に領域外に転移されます!二人とも転移した時点で試合終了となりまーす♪」
いつの間にか戦闘領域内に車の実験なんかで座っているマネキンみたいなのが4体立っていた。
おもむろに殴り合いを始めるとそのうちの一体が白い光に包まれて領域外にはじき出された。
「今回は確認用の模擬戦なので簡易防壁が発生するからケガの心配はありませーん☆思う存分に力を開放しちゃってください!」
マネキンが殴った時に出てる白いエフェクトが簡易防壁か。
攻撃された体と拳の間に1センチほどの薄い膜が攻撃を阻んでいる。
「この模擬戦はみなさんの能力を見るためにやるので、最低でも1回は思創の卵の能力を行使すること!これ以外に特にルールはありません♪」
「君たちの実力にはそレほど大きな差はないだロうが、もし能力を発動できずに一方的にやラレた場合は個別で確認とすル」
領域内にいたマネキンたちが出てきて停止する。
先生たちに促され、ウィリアム達が戦闘領域手前まで移動する。
「全員が中に入った時点でこちらが合図します♪あ、あと今回は身体能力も見たいので能力で生み出される武器以外はNGです!熱い拳で青春しましょう☆」
それはまた相性の差が出そうだな。
運も実力の内ってことか。
武器に付随する能力の奴は工夫しろってことなんだろうな。
「ハイドーがんばれよー」
「がんばー」
俺と嵐は手を振り応援する。
ハイドは一礼で答え、ウィリアムはフンと鼻を鳴らし領域内へと入っていく。
さてさて、どんな戦いになるかな。
俺もちょっとワクワクしてきた。
「よぉさっきは偉そうにいろいろ言ってくれてたな」
「どっちが小物かわからせてやるよ」
「吠えるな、お前たちのことなどどうでもいい。ああ名前も名乗らなくていいぞ、覚える気もないからな」
「何だとッ!」
「いや、呼び名がないと不便か、便宜上小物Aと小物Bと呼んでやろう」
「調子に乗りやがってッ!」
あいつ煽りセンス高過ぎるだろう。
怒り通り越して殺気出てるぞ、あれ。
「坊あんまりやり過ぎたらダメですよ。先生たちの心証が悪くなります」
「どこまで想定しているかは知らんが、レベルが違うと普通に会話するのも難しいな」
鼻で笑いながらウィリアムは先生の方を見る。
小物と呼ばれた生徒も先生を見て、早くしろと合図を待つ。
「うんうん、青春のパトスが迸ってるね☆それでは第一試合開始ッ!」
元気よく頷きながら乙女ちゃんは振り上げた手を勢いよく下した。




