表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無能と呼ばれた私が、世界の魔法理論を書き換えます  作者: Atelier Lotus


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
71/161

第69話 すれ違い

 昼になり、二人は街の喫茶店へ入った。


 ルシエは研究ノートを広げたまま、何かを書き続けている。


 ノエルはその様子を見て、小さく笑った。


「考えすぎじゃないか?」


「少し休憩しよう」


 メニューを開きながら言う。


「甘い物でも食べようよ」


 ルシエは顔を上げた。


「ありがとうございます」


 柔らかく微笑む。


 だが、すぐに視線は店の外へ向いた。


「あの向かいにある魔道具店……」


「少し見てもいいですか?」


 ノエルは苦笑する。


「もちろん」


 ルシエは嬉しそうに頷くと、研究ノートを閉じて立ち上がった。


 店を出ると、その足は迷うことなく魔道具店へ向かう。


 店内には大小さまざまな魔石が並んでいた。


 ルシエは一つひとつを手に取り、魔力の流れや加工方法を確かめながら、気付いたことを研究ノートへ書き込んでいく。


 その時だった。


 同じ魔石へ、二人が同時に手を伸ばす。


 指先が、軽く触れた。


「ご、ごめん」


 慌てて手を引くノエル。


 ルシエは首を傾げる。


「?」


「どうしました?」


 本当に気付いていなかった。


「……いや、何でもない」


 ノエルは苦笑するしかなかった。


 帰り道。


 石畳の段差で、ルシエの足が少しもつれる。


「きゃっ」


 倒れそうになった身体を、ノエルが咄嗟に支えた。


「あ……」


 ルシエは姿勢を立て直し、ぺこりと頭を下げる。


「ありがとうございます」


 それだけだった。


 ルシエの頭の中にあるのは、


 母の病気。


 魔法理論。


 研究。


 その三つだけ。


 ノエルは小さく息を吐いた。


(違うって分かってる)


(僕は馬鹿か)


 ルシエが一番苦しい時だ。


 自分が考えるべきことは一つしかない。


(ルシエの力にならないと)


(今は研究なんだ)


 頭では何度も言い聞かせる。


 それでも。


 少しだけ距離が近付くだけで。


 胸は、自分の意思とは関係なく高鳴ってしまうのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ