第47話 五人の特別講師
昼休み。
王立魔法学校は、いつになく騒がしかった。
「聞いたか?」
「今日は特別講師が来るらしいぞ」
「しかも大魔導師クラスだって」
「賢者クラスも来るらしい!」
普段は授業の愚痴ばかり言っている生徒たちまで、落ち着かない様子で話し合っている。
やがて全校生徒が講堂へ集められた。
壇上へ校長が立ち、静かに口を開く。
「本日は、王立魔法学校創立記念特別講義を開催します」
「講師としてお招きしたのは、現在の魔術界を代表する研究者の皆様です」
最初に紹介されたのは、魔法歴史学の権威。
魔導師・マリゴー・ルフェーブル。赤色号。
続いて。
錬金学の権威。
魔導師・ジョルジュ・デュラン。黄色号。
魔法生物学・魔法薬学の権威。
魔導師・アントワンヌ・ベルナール。赤色号。
魔法医学最高峰。
大魔導師・ホルトン・ラヴォワジエ。青色号。
そして、その助手として紹介されたのは、一人の若い女性。
大魔法師・フランソワ・ラヴォワジエ。紫色号。
生徒たちが一斉にざわめく。
「紫色号……?」
「俺たちとそんなに歳、変わらないよな?」
「大魔法師って、本当かよ……」
最後に紹介されたのは――。
魔法理論学最高峰。
大魔導師・マイヤー・ブランシュ。黒色号。
その名が告げられた瞬間、講堂の空気が一変した。
静寂が広がり、生徒たちは思わず背筋を伸ばす。
校長は穏やかに微笑む。
「なお、本日お越しいただいた皆様は、全員が本校の卒業生です」
講堂がどよめく。
「さらに、マリゴー殿、ジョルジュ殿、アントワンヌ殿、ホルトン殿の四名は学生時代の同期でもあります」
「当時は、その自由奔放な振る舞いから、『四馬鹿』と呼ばれていたそうです」
四人は顔を見合わせる。
「懐かしいですね」
「余計なことを言うな」
「まだ覚えていたのか」
「はっはっは!」
講堂が笑いに包まれ、張り詰めていた空気が少しだけ和らいだ。
ノエルは興奮を隠せない。
「すごい……」
「全員、本でしか見たことがない人たちだ……」
隣では、ルシエが目を輝かせていた。
「全員のお話を聞けるなんて……!」
子どものように胸を弾ませる姿に、ノエルは思わず笑みを浮かべる。
校長は壇上から一歩下がった。
「それでは」
「最初の講師をご紹介しましょう」
「魔法歴史学の権威――マリゴー・ルフェーブル先生です」
静かな拍手が講堂を包む中、一人の女性がゆっくりと壇上へ歩み出た。




