表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無能と呼ばれた私が、世界の魔法理論を書き換えます  作者: Atelier Lotus


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
43/161

第41話 魔導書専門店

 数日後。


 魔法歴史学の講義が終わると、教授は教壇で一枚の紙を掲げた。


「次回までの課題だ」


「古代魔術文明について調べ、自分なりの考察をまとめて提出すること」


 教室がざわつく。


「またレポートか……」


「図書館だけじゃ資料足りないよな」


 教授は頷く。


「王立図書館でも構わないが、街には専門店もある」


「古い魔導書を扱う書店なら、より興味深い資料が見つかるだろう」


 授業が終わり、生徒たちは帰っていく。


 ルシエはノートを閉じながら小さく呟いた。


「街へ行こうかな……」


「専門書なら、図書館より詳しい本があるかもしれない」


 すると隣から声がした。


「僕も行く」


 ノエルだった。


「一人で調べるより、その方が面白そうだ」


 ルシエは少し驚いたように目を瞬かせる。


「……一緒に?」


「ああ」


「どうせ同じ課題だし」


 少しだけ考えたあと、ルシエは微笑んだ。


「じゃあ、お願いします」



 放課後。


 二人は王都の一角にある魔導書専門店を訪れていた。


 店内には天井まで届く本棚が並び、年代物の魔導書が所狭しと並べられている。


 革表紙の匂い。


 紙の香り。


 静かな空気。


 ルシエは目を輝かせた。


「すごい……」


「こんなにたくさん」


「普通の本屋じゃ見ない本ばかりだ」


 ノエルも棚を見回す。


「古代魔術の資料だけでも相当あるな」


 二人は手分けして本を探し始めた。


 しばらくして。


 机の上には何冊もの魔導書が積み上がっていた。


 ルシエが一冊を開く。


「この本には、伝統魔法は『魔素そのものを動かす技術』って書いてある」


 ノエルは別の本を開く。


「でも、こっちは『魔力制御技術の原点』だって」


「表現が違うな」


 ルシエは少し考える。


「どっちも間違いじゃないと思う」


「魔素を動かすには、魔力の制御も必要だから」


 ノエルは腕を組んだ。


「いや、僕は逆だと思う」


「まず魔力制御があって、その結果として魔素へ干渉できるようになったんじゃないか?」


 ルシエは首を横へ振る。


「違うと思う」


「私は、魔素へ干渉できたからこそ、後から魔力制御が体系化されたんだと思う」


「でも――」


「いや――」


 二人は顔を突き合わせながら議論を続ける。


「僕はこう思う」


「私はこう考える」


「それだと説明がつかない」


「この記述なら辻褄が合うよ」


 時間を忘れるほど夢中になっていた。



「ははは」


 不意に笑い声が聞こえた。


 二人が顔を上げると、白髪交じりの店主が楽しそうにこちらを見ていた。


「いやあ、失礼」


「ずいぶん仲が良いもんでね」


 店主は目を細める。


「兄妹かい?」


 その瞬間。


「ち、違っ――!」


 ノエルの顔が一気に赤くなる。


 言葉が詰まり、慌ててルシエを見る。


 一方のルシエはきょとんとしたまま首を傾げた。


「違います」


 店主が笑う。


「じゃあ幼なじみか?」


「いえ」


「研究仲間です」


 即答だった。


 ノエルは苦笑しながら頭をかく。


「……ま、まあ」


「そんな感じです」


 店主は豪快に笑った。


「若いっていいねぇ」


「本を読んで言い合える相手がいるってのは、何よりの財産だ」


 二人は顔を見合わせる。


 ルシエは小さく頷いた。


「はい」


「私も、そう思います」


 ノエルは照れ隠しのように咳払いを一つすると、再び本へ視線を落とした。


「……ほら、続きを調べよう」


「うん」


 二人は再び魔導書を開き、それぞれの考えをぶつけ合いながら、古代魔術文明への理解を少しずつ深めていくのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ