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無能と呼ばれた私が、世界の魔法理論を書き換えます  作者: Atelier Lotus


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152/161

第150話 史上最年少の魔法師

 王立魔法協会。


 称号授与式。


 大講堂には。


 国内を代表する研究者たちが静かに集っていた。


 壇上へ。


 ルシエとノエルが並んで立つ。


 二人は。


 まだ王立魔法学校一年生。


 十六歳。


 通常であれば。


 魔法大学の学士課程すら修了していない。


 協会称号とは。


 長年にわたる研究と実績を積み重ね。


 ようやく授与される栄誉である。


 一年生が。


 この壇上へ立つこと自体。


 前例は存在しなかった。


 しかし。


 二人の研究成果は。


 一つの博士論文で語れる規模を、遥かに超えていた。


 新魔法作用理論。


 世界初の無属性魔法体系。


 魔素汚染治療術式。


 臨床成功。


 第三者による再現。


 安全機構の確立。


 実用化への道筋。


 そのすべてが。


 現代魔法学を書き換えた。


 通常。


 協会称号は。


 魔術師。


 大魔術師。


 魔法師。


 その順に授与される。


 しかし。


 今回。


 審査委員会は一つの問題へ直面していた。


 二人の成果は。


 魔法師の基準を明らかに超えている。


 だが。


 十六歳。


 王立魔法学校一年生。


 あまりにも前例がなかった。


 長い協議の末。


 協会は結論を下す。


 功績は。


 将来さらに高位の称号へ値する。


 しかし。


 今回は。


 史上初の特例として。


 魔法師を授与する。


 協会代表が立ち上がった。


「ルシエ・フローレンス」


「ノエル・アルヴィン」


「両名を」


「王立魔法協会認定」


「魔法師とする」


 一瞬。


 静寂。


 次の瞬間。


 大講堂がどよめいた。


「一年生だぞ……」


「まだ十六歳だ」


「前代未聞だ……」


「魔法師だと……?」


「こんな授与式」


「見たことがない」


 驚きは。


 授与そのものではない。


 年齢だった。


 積み重ねるはずだった数十年を。


 二人は。


 わずか一年で到達してしまったのである。


 そして。


 続いて。


 色号の授与が告げられる。


「ルシエ・フローレンス」


「魔法師」


「赤色号」


 再び。


 会場がざわめく。


「属性適性を持たない者へ」


「赤色号……?」


 協会代表は静かに首を振った。


「色号は」


「属性適性を示すものではない」


「その者が」


「魔法学へ残した功績を象徴する」


「赤は」


「未知を恐れず」


「新たな理論を切り拓き」


「魔法学へ」


「新しい可能性を灯した者へ贈られる色」


「ルシエ・フローレンスは」


「火属性研究を起点とし」


「無属性魔法」


「魔素汚染治療」


「一連の研究によって」


「その資格を証明した」


 続いて。


「ノエル・アルヴィン」


「魔法師」


「青色号」


「青は」


「理論を」


「誰もが扱える技術へ昇華した者へ贈られる色」


「冷静な制御」


「高い再現性」


「卓越した実証能力」


「ノエル・アルヴィンは」


「理論を現実へ変え」


「世界で初めて」


「無属性魔法を実用化した」


 二人は。


 ゆっくりと前へ進む。


 魔法師の証。


 そして。


 それぞれの色号を受け取る。


 会場から。


 静かに拍手が広がった。


 やがて。


 一人。


 また一人と立ち上がる。


 拍手は。


 やがて大講堂全体を包み込んだ。


 ルシエは。


 胸元で静かに輝く赤色号を見つめる。


 脳裏へ浮かんだのは。


 父。


 アルフォンスだった。


 父が身につけていた。


 紫色号。


 幼い頃。


 何度も憧れた。


 父と同じ色ではない。


 父と同じ研究でもない。


 それでも。


 自分自身の研究で。


 自分だけの色へ辿り着いた。


 ルシエは。


 赤色号をそっと握りしめる。


「お父さん」


「私」


「研究者になれました」


 静かな涙が。


 一筋だけ頬を伝った。

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