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無能と呼ばれた私が、世界の魔法理論を書き換えます  作者: Atelier Lotus


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第132話 流れ始めた魔素

 淡い白色の同期生成魔素が。


 模擬魔力回路の中を流れていく。


 閉塞部分へ到達すると。


 沈着していた魔素の表面が。


 僅かに揺れた。


 同期生成魔素の流れへ。


 沈着した魔素が。


 少しずつ引き寄せられていく。


 外側から。


 無理に剥がすのではない。


 強い力で。


 押し流すのでもない。


 患者自身の魔力へ同調した。


 安定した流れを作る。


 そして。


 魔素が本来持つ。


 互いに引き合う性質によって。


 止まっていた魔素を。


 再び流れへ戻す。


 ルシエは。


 観測器に表示される数値を。


 息を詰めて見つめていた。


「沈着量」


「減少しています」


 ノエルも。


 模擬回路から目を離さない。


「ああ」


「閉塞部分の内側から」


「少しずつ崩れている」


 同期生成魔素が通過するたび。


 沈着していた魔素が。


 僅かずつ流れへ加わっていく。


 一度に動かすのではない。


 表面から。


 少しずつ。


 回路を傷つけない速度で。


 閉塞を解いていく。


 やがて。


 長時間塞がれていた部分に。


 一本の細い隙間が生まれた。


 同期生成魔素が。


 その隙間へ流れ込む。


 沈着していた魔素が。


 内側から崩れ始めた。


「閉塞部」


「大きく変化しています」


 ルシエの声が。


 僅かに震える。


 閉塞していた魔素が。


 再び流れ始めている。


 治療法は。


 間違っていなかった。


 だが。


 次の瞬間。


 閉塞部分が。


 一気に崩れた。


 長時間せき止められていた大量の魔素が。


 開いた流路へ雪崩れ込む。


 模擬魔力回路が。


 激しく揺れた。


「流量が上がっています!」


 観測器の数値が。


 急激に跳ね上がる。


 出口部分へ組み込んだ術式が。


 流れ込む魔素を処理しきれない。


 許容量を示す数値が。


 限界へ近づいていく。


「出口術式」


「容量を超えます!」


「緊急停止!」


 ノエルが叫ぶ。


 二人は。


 即座に術式を遮断した。


 同期生成魔素の供給が止まり。


 模擬回路を。


 実験装置から切り離す。


 激しく揺れていた回路が。


 少しずつ静まっていった。


 実験室へ。


 重い沈黙が落ちる。


 閉塞を解くことはできた。


 沈着していた魔素を。


 再び流れへ戻すこともできた。


 だが。


 閉塞が外れれば。


 その奥へ溜まっていた魔素が。


 一度に流れ出す。


 それを処理できなければ。


 患者の魔力回路へ。


 閉塞していた時以上の負荷がかかる。


 最悪の場合。


 急激な魔素の流れによって。


 魔力回路そのものが破裂する。


 ルシエは。


 出口部分の術式を見つめた。


「閉塞を解くだけでは」


「治療になりません」


 ノエルが頷く。


「流れ出した魔素を」


「安全に身体の外へ出す必要がある」


 排出先がなければ。


 動き始めた魔素は。


 患者の体内を巡ったあと。


 再び滞留する。


 そして。


 新たな閉塞を作るだけだった。


 ルシエは。


 停止した観測器へ目を向ける。


「流れ出した魔素を」


「すべて受け止められるものが必要です」


 閉塞を解く方法は見つかった。


 次に必要なのは。


 流れ出した大量の魔素を。


 患者の身体へ負担をかけず。


 安全に回収する方法だった。

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