60話 再出発
レイジア教によるガルガンド襲撃から一週間が経過した。
負傷者の治療も終了し、既に復興も始まっている。
クロウに任せていた、隠し通路捜索だが、何と他にも四か所見つかった。
……多くね?
再利用できそうにない通路は潰し、崖下の海に直接出る隠し通路は残し、万が一に備え、脱出用の船の建造と隠し港の建設を開始している。
せっかくいい条件の隠し通路があったんだ。
有効に使わせてもらおう。
そうして、俺たちは少しずつ、落ち着きを取り戻していった。
そして…忘れてはならないこと…
この件で多くの犠牲が出てしまった。
そのケリはつけなければ…
◇
広間に並べられた無数の棺。
今回の襲撃によって犠牲になった人たちだ。
これだけの人数だと、一人ずつ埋葬することはできない。
そして俺の耳に響いてくる、鼻をすする音と嗚咽の声。
その一つ一つが、針のように俺の心に突き刺さる。
この光景を作ってしまったのは、俺の無意識の油断だ。
その油断を、自分自身に許さないためにも、俺はこの皆の悲しみを一身に受け止めなければならない。
そして、俺の手にたいまつが手渡される。
棺の下に組まれた薪へ、一つずつ火を灯す。
心の内で、謝罪しながら。
そして、最後の棺に火を灯し、もとの位置に戻る。
左腕を胸に当て黙祷する。
助けられなくてすまなかった。安らかに眠ってくれ。
…そう、願いを込めながら。
そのまま数分…身動き一つせず、黙祷を捧げた。
黙祷を終え、後ろを振り返り、皆の前に向き直る。
目を腫らした者。
まだ涙を流している者。
その表情が、また俺の心を抉るような痛みを呼び戻す。
そして、俺は口を開いた。
「まずは、この惨状を生み出してしまったことを、謝罪する。あんな大きなことを言っておいてこのザマだ。申し訳ない」
そう言って、俺は頭を下げる。
首領として、容易に皆に対し頭を下げるのはあまり望ましい行動ではないかもしれない。
でも、ここで謝っておかなければ、俺の気が済まない。
「もう二度と、このような惨状を起こさないことを、ここに誓う。これからも、俺に協力してくれると嬉しい。よろしく頼む!」
すると、皆は悲しみを吹き飛ばすように、大きな声を飛ばした。
嬉しい。
あんな失態をしでかした俺をまだ信じてくれている。
今度こそ、期待を裏切らないよう、気を引き締めなければ。




