43話 監獄島襲撃事件
監獄島に殴りこんだ俺たち五人。
その戦力は圧倒的だった。
「ちくしょう!なんなんだこいつら!」
「くそっ!忌々しい化け物どもめ!」
訓練された聖騎士といえど、俺たちの前では烏合の衆と化していた。
スズカは出し惜しみしないつもりなのか、黒炎属性魔術で、刀に黒い炎を纏わせ、何人も聖騎士を斬り捨てている。
クロウは相変わらずの素早さで聖騎士を翻弄し、的確に急所を突いたかと思いきや、腕を黒い翼に変え、空中から手榴弾を落として爆撃もどきをしている。
アイズは何やら姿が見えないが、何も見えていない場所から突然魔術が飛び出し、聖騎士が何人も吹っ飛んでいる。
恐らく、魔術で姿を消しているんだろう。
どんな理屈なのか意味がわからない。
オルガはそのパワーで何人もねじ伏せ、サーベルで斬り裂いている。
流石は俺の仲間たちだ。
おっといかんいかん、俺も戦わなければ。
そう思っていると、聖騎士十数人がまとめて俺めがけて襲い掛かる。
数揃えれば勝てると踏んだのかね?
「甘いわ!」
聖騎士の一人が俺に向けて剣を振り下ろす。
左腕で剣を弾き、右腕を短剣に変えて心臓を貫く。
そして、貫いた聖騎士を、そのまま俺目掛けて飛び掛かった聖騎士に向けて投げ飛ばす。
怯んだ聖騎士目掛けてすかさず飛び掛かり、左腕の鉤爪で切り裂いて魔力を奪う。
他の聖騎士も俺目掛けて距離を詰める。
……さすがに十数人を一度に相手するのは面倒だ。
使おう。
”炎熱加速”。
黒かった両腕が赤暗色に変わり、身体が燃えるように熱くなる。
視界はスローに変わる。
身体が加速していることを実感した。
そして、右腕を剣に変形させ、一人ずつ順番に斬り殺す。
全員を斬ったところで解除。
身体は少し熱いままだが、視界はもとの時間に戻る。
辺りを見回すと、死体の山ができあがっていた。
周りの仲間も似たようなものだった。
数人、島の外に逃げたようだが、それはまあいいだろう。
情報を持ち帰られても特に困ることはない。
そして、俺は島中央部に目を向ける。
目指すはあそこだ。
島中央部にそびえ立つ古城。
あれが監獄になっているようだ。
オルガには海賊船を上陸させるよう指示を出す。
「よし、制圧完了だな!一気に古城内部の残党を殲滅しつつ、内部の魔人たちを解放するぞ!」
そう言って俺たちは、完全制圧のため駆けだした。
◇
古城内部は思ったより綺麗だった。
恐らく、古びた城の外見はそのままに、内部だけ修理したのだろう。
左目に魔力を込める。
城内部のあちこちに魔力の反応がある。
恐らく、囚われた魔人たちだろう。
数えるのも馬鹿らしくなるほどの人数だ。
「よし、残党の殲滅と同時に囚われた魔人たちを解放する!みんな、よろしく頼む!」
そう言うと、上陸した海賊のクルーたちはまたお祭り騒ぎのように騒ぎ出す。
…本当に愉快な奴らだ。
そうして、残党を処理しつつ、囚われた魔人の解放を進める俺たち。
中には拷問跡のある子どもの魔人の姿もあった。
酷い…
囚われた魔人たちから聞いたところによると、一部の上級神官からストレス発散のために無意味に拷問を受けたりしていたそうだ。
…本当に救いようのない奴らだ。
そして、城内部の魔人の解放は終わった。
「おいカルラ、地下室もあったぞ!何やら頑丈な扉になっているが…」
クロウのその言葉を聞き、俺はすぐにその扉の前に向かう。
左目に魔力を込める。
すると、俺の左目は、地下に巨大な魔力の気配を捉えた。
「地下に、とんでもない奴が囚われてやがる」
その気配に、俺は思わず冷や汗がにじむような感覚を覚えた。




