41話 揺れる帆船
巨大な帆船に揺られ、広い海を漂う俺たちは、監獄島に向けて進んでいる。
船酔いも思ったほどではなく、俺たちは元気に動くことができた。
クルーたちはもちろん船の揺れなどいつものことだと言わんばかりに船内を走り回り、各々の作業に着手している。
俺たちも何か手伝えればと思ったのだが、邪魔にしかならなそうだった。
結局、俺たち4人は船の後方で釣りをして過ごした。
そして、ごく稀に水棲の魔物や魔獣が船を襲ってくることもあった。
今度こそ俺たちの出番だ!!
と、思ったのだが…
クルーたちが一斉に魔人に変異して俺たちが加勢する間もなく蹴散らしていた。
そう、レヴィアス海賊団の船員たちは全員が魔人だった。
クロウは元神威なだけあって、知っていたようだったが。
どうりでレイジア教と真っ向から喧嘩を売って無事でいられるわけだ。
それに、クルーたちはみんな面白い奴らだった。
オルガが自慢したくなるのもわかるというものだ。
夕食時にはみんなで酒を仰ぎ、バカみたいに騒いだ。
そう…楽しかった。
……昨日までは。
◇
「ぐえぇ…気持ち悪い…めっちゃ船揺れるし…なんでぇ…」
スズカは先ほどからずっと大の字になって横たわりながら弱々しく口にする。
「ぐ…うぅ…例の…海流に…入ったんだろ……ここまでとは…うぷっ…思ってなかったが…」
俺の方も激しい船酔いに襲われていた。
とんでもない吐き気だ。
クロウとアイズも似たような状態だ。
クロウなんて、船の縁から吐いてる始末だ。
それもこれも全部海流が悪い。
今朝からとんでもない揺れが続いていた。
海面はさまざまな海流が入り乱れているのか、激しく波打っている。
その波に煽られることで起こる揺れは、俺の想像を絶するものだった。
横揺れはもちろん、縦揺れも相当なものだった。
「グハハハハ!なんでぇ、おめぇらだらしねぇなぁ!シャキッとしろ!」
オルガは船の揺れにもなんてことのないように仁王立ちして笑った。
さすがは海賊船の船長だ。
この揺れでも酔ってる様子もなくピンピンしている。
クルーたちもだ。
この揺れの中でも、平然と作業を続けている。
慣れってすごい。
「お前たちは凄いな…この揺れの中でも…ピンピンしてて…」
「おう!船の揺れなんて慣れたもんよ!まあ、その分陸に上がった時は陸酔いでまともに動けなくなるがなぁ!」
なんと…前世で聞いたことがあったが、陸酔いなんて本当にあったのか…
「もうすぐ昼飯だが…食える様子じゃねぇなぁ」
「…ああ…とてもじゃないが…食えんな…」
ていうか、この揺れがあと2日以上も続くのか…
先が思いやられるな…
そして、船酔いと格闘しながら、2日が経過した。
相変わらず激しい揺れが続いていたが、揺れには慣れてきた。
「おい、見えてきたぞぉ!監獄島だぁ!」
オルガの喜色に満ちた声が響き渡る。
俺たちは艦首に集まり、目を向けると、そこには確かに島が確認できた。
よし、ようやくたどり着いた…
ここから、俺の…
俺たちの叛逆が、始まる。




