31話 新たな光明
監獄島に渡る計画が頓挫した俺はみんなと歩きながら
新たに監獄島に行く新しい手段を思案していたが…
だめだ。いい案が浮かばない。
レイジア教が監獄島に行く船に忍び込むという手もあるが…
そう都合よく渡る船があるとは思えない。
さて、どうしたものか…
「まあ、とりあえず町に着いてから考えてもいいんじゃないか?案外、運よく監獄島に渡る船があるかもしれないだろ?」
思い悩む俺に、前を歩くクロウが振り向いてそう言った。
…まあ、そうだな。
たしかに、今いくら考えても仕方がない。
「そうだな、なるようになれだ!」
「おお!カルラもわかってきたね!」
…わかってるわけじゃないんだがな。
情報不足だから今考えても仕方がないというだけで、思考を放棄したわけじゃない。
後のことは、情報収集してから再度考えよう。
っていうか、クロウはいかにも暗殺者みたいな風貌してるし、もしかして…
「なあ、クロウ…お前、諜報活動とか得意だったりする?」
「ん?ああ。得意だよ。俺の戦闘スタイルは気配を隠して死角からナイフでブスリって感じだし、風属性魔術で消音して、闇属性魔術で影に潜ったりできるし」
おお!まさに諜報専門ですって言わんばかりの人材じゃないか。
「町に着いたら、監獄島と船に関する情報を集めてほしいんだが、いいか?」
正直、不安はある。
だが、信用しなきゃ始まらないしな。
「お、おう。そこまで信用してくれているとは…。オッケー、任せときな」
「俺とアイズは、その間ギルドの図書館で情報収集だ」
「…うん、わかった」
俺の指示に、アイズは小さく頷いた。
「え?私は?」
唯一指示されていないスズカがちょこんと首をかしげる。
「え?あー、スズカは…じゃあついてくるか?」
「りょーかい!」
こいつ寂しかったのか?
宿屋で休んでくれてもよかったんだがな。
図書館に来てもこいつ暇そうにしてるし。
「よし、到着後の方針も決まった。じゃあ、行こうか」
町までもうすぐだ。
◇
そうして俺たちは、アレンシオ王国の港町である港湾都市アクアポリスに到着した。
宿も取り、俺たちはさっそく、行動に移した。
「よし、じゃあ頼むぜ、クロウ」
「ああ、いい情報持って帰ってくるよ」
そう言って、クロウは町の喧騒に紛れて消えていった。
さて、俺たちも…
「じゃあ、俺たちはギルドに向かうぞ」
「うん!行こう!」
「…そうだね」
そうして、ギルドに向かった俺たちは、道中で討伐した魔獣の素材を窓口で売却し、そのまま
図書館へと向かった。
しかし、監獄島周辺海域の海流に関する情報は得られなかった。
辺境都市の図書館にもなかったから、もともと期待はしてなかったが。
アイズは真面目に調べてくれているが…
スズカは相変わらず寝ている。
…まあいいか。
その分荒事のときに暴れてもらおう。
「アイズ、そっちはどうだ?」
「こっちもだめ。手がかりなしだよ」
やっぱりか。
完全にクロウの情報待ちだな。
「そういえば、アイズは魔術師なんだよな?属性と戦闘スタイルはどうなんだ?」
共闘するうえで、知っておきたい。
「…私が使う属性は火、水、光、闇。光属性で治療もできる」
おお、使える属性がかなり多いな。
これだけ使える人は初めて見た。
「基本的には距離を取った遠距離魔術が得意。でも、体を動かすのも得意だから格闘も一応できる」
凄いな。こいつ、魔術師の中でも上澄みなのか?
「なるほどな。わかった、あとは実戦で合わせよう」
「…うん」
アイズが短く答えたところで…
「おう、戻ったぞー」
クロウが情報収集から戻り、図書館の戸の前で佇んでいた。
「おう、どうだった?」
「役立つかもしれない情報が手に入った。詳しくは宿で話す」
「わかった。じゃあ、宿に戻るぞ」
スズカをはたき起こし、俺たちは図書館を出て宿に歩を進めた。
◇
「よし、じゃあ教えてくれ」
俺はそう言ってベッドに腰掛ける。
「まず、はじめに言っておくが監獄島までの航路の情報は手に入らなかった。レイジア教の機密情報みたいなもんだし、教会にも忍び込んでみたが、情報はなかった」
「そうか、まあ仕方ないな」
できれば、その情報こそ知りたかったのだがな。
「だが、興味深い情報があった」
ここまで言い、クロウが一呼吸置いた。
「この町のレイジア教の教会に、監獄島に送る予定の魔人が囚われているらしい」
クロウは目を細めながらそう言った。
「なるほど、じゃあもしかして近々監獄島まで行く船があるのか?」
俺は期待を込めた声で問いかけた。
「それも見てきたんだが、どうやらしばらくは無いらしい」
「なんだ、それなら意味ないじゃないか」
いや、もしかして…
捕まってる魔人の方に何かあるのか?
「…感づいたみたいだな。そう、重要なのは捕まってる魔人の方だ」
クロウは人差し指を立ててそう言った。
「誰なんだ?それは」
「…名前は、オルガ・レヴィアス。この辺の海域で活動しているレヴィアス海賊団の船長だ」
クロウはそう言って、にやりと笑った。




