22話 激闘の後…
ゴーレムを撃破した俺とスズカはようやく最深部に
たどり着いた。
前回の反省も含めて俺は既に
人間の姿に戻っておく。
「お、ようやく着いたねぇ」
スズカは相変わらずのんきに呟く。
「んで、あれがダンジョンコア?」
「ああ、そうだ」
スズカの疑問に俺は簡潔に答えた。
中央に脈動して鎮座する青白く輝く球体。
あのときと同じだ。
「あ!宝箱!」
しかし、スズカの興味は一瞬で
ダンジョンコアから離れ、宝箱に移った。
…本当にこいつは。
「さてさて中身は何かな~?」
そう言ってスズカは罠かと疑うことなく
即座に宝箱を開ける。
「…んー?なにこれ?ポーチ?」
スズカが宝箱から取り出したのは
俺のとはデザインが違うポーチだった。
「マジックバッグかもしれん。
試しに何かしまってみたらどうだ?」
「うん!確かめてみる!カルラの持ってるやつ
便利そうで羨ましかったんだよね!」
そう言ってスズカは付近に転がる石を試しに
バッグに収納する。
「あ!重さを感じない!マジックバッグだ!」
スズカは自分が欲しいものが手に入ったことでご満悦だ。
…俺のときといいダンジョン奥地の宝箱からは
マジックバッグが出やすいのか?
それとも、スズカの運がいいだけなのか?
まあいい。問題はダンジョンコアをどうするかだ。
ギルド職員からは危険なダンジョンであればダンジョンコアは
破壊してほしいと言われている。
危険度で言えばこのコアは破壊するべきだ。
しかし、このダンジョンはただのダンジョンじゃない。
古代魔法文明の遺跡を取り込んだ貴重なダンジョンだ。
歴史研究のために、少なくとも今は残しておくべきではないか?
…結論は出た。
「スズカ、ダンジョンコアは破壊せずに転移ゲートから外に出るぞ」
「りょーかい!」
スズカはビシッと敬礼のポーズをとる。
…どこで覚えたんだそんなの。
そして、入手したアイテムの整理を行った後、転移ゲートに向かった。
転移ゲートを潜る。
何やら空間を跳ぶような感覚があるかと思えば思ったよりあっけなかった。
感覚も何もなく転移が完了してしまった。
気が付くとダンジョンの入り口の脇に立っていた。
「おおー、思ったよりあっさり転移したねえ」
スズカも俺と似たようなことを思っていたらしい。
「よし、ギルドに帰って報告だ。」
「はーい!」
俺とスズカは町に帰るため、街道に向けて再び歩き出した。
◇
「い、遺跡を飲み込んだダンジョンだとおお!」
俺とスズカがギルド支部に帰還し、ダンジョンの報告後に
待っていたのはギルド職員の罵声にも似た驚きの声だった。
「あっ!…コホン、失礼しました」
「お、おう」
ギルド職員は即座に立ち直った。
さすが激務に耐えてるだけはある。
いや、さすがに関係ないか。
「ほれ、これが証拠だ」
俺は短く言いながらマジックバッグから
古代遺物だと思われる銃を取り出して職員に差し出す。
「え!?あ、はい、確かに古代遺物ですね」
職員はぎょっとした表情を浮かべて受け取る。
「ご報告ありがとうございます。それで、ダンジョンコアは
どうしました?」
「あんたらが研究したがると思ってコアは破壊せずに出てきた」
「…なるほど、ありがとうございます。
非常に助かります」
やっぱり破壊せずにいて正解だったか。
「ただ、それなりに危険なダンジョンだった。
上位の冒険者で調査したほうがいい」
そう言い残し、俺とスズカは報酬を受け取ってギルドを出た。
「よう、無事生還できたようで何よりだ」
ギルドの扉の脇にヒルファが寄りかかりながら
酒を飲んでいた。
「…お前いつも酒飲んでるな」
「いいんだよ。この程度で泥酔する俺じゃねえし。
それに、酒は神が与えたもうた神聖な飲み物だからな」
ヒルファは相変わらず一切悪びれる様子もなく
言い放った。
…コイツは信用できそうだ。
ダンジョン攻略後も普通に町に入れたことを考えても
こいつは本当に俺とスズカが魔人であることを
黙っていてくれているということだ。
なら、村で聞いたあの事を聞いてみるのも悪くない。
俺の家族と、村民が焼かれた元凶となった
レイジア教の"あの計画"のことを。
「ヒルファ、話がある」
ヒルファは俺の真剣な表情をみて
目を鋭くして、静かにうなずいた。




