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デモンズ・リベレーション~俺は転生して魔人となり、くそったれな世界に叛逆する~  作者: 宇月ナギ


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19話 古代魔法文明の違和感

 遺跡の内部は、静かだった。


 俺とスズカは慎重に歩を進めた。


 そして、視線が止まる。


 これは……


 壁の広い面一帯に“何か”が刻まれている。


「なにこれ?」


 スズカも覗き込む。


「絵……?」


 壁画だった。


 無数の人影。

 

 武装した集団。


「戦ってる?」


 その通りだ。


「人間同士の戦争だな」


「でも、剣とか槍とか持ってないよ?

何持ってるの、これ?」


 俺の発言にスズカが疑問をぶつけてくる。


 もっともな疑問だ。俺も前世の知識がなかったら

 俺も同じように思ってただろう。


 槍や剣、そういった武器を持ってる人は描かれていない。


 彼らが持っているのは…


 俺の目線が描かれた兵士の手に止まる。


 兵士の手。

 

 そこに握られているもの。


 細長い筒。

 

 ただの棒ではない。


 先端から光が放たれている。


 描写されているのは——

 

 爆発と共に射出される礫のようなもの…


 ……銃だ。


 認識する。


 間違いない。


 しかし、描かれてるマズルフラッシュの色が

 前世の俺の知るものとは違っている。

 

 恐らく、魔術による爆発で

 銃弾を飛ばしているのだろう。


 形は似ていても原理は異なる…といったところか。


「まあ、いいや」


 スズカが心底どうでもよさそうに言う。


 本当にコイツは…


 視線を戻す。


 壁画の続き。


 焼ける町。

 

 倒れる兵士。

 

 瓦礫。


 そして、俺は壁画にさらなる違和感を覚える。


 ……魔物も魔獣もいない。


 1体も。


 どこにも描かれていない。


 戦っているのは、人間だけ。


 おかしい…


 この世界なら必ずあるはずの存在。


 それが書かれていない。

 そんなことが、あり得るのか?


 この時代には……いなかったのか?

 本当にそうだとしたら、瘴気も…


 考えかけて…


「あー!宝箱!何が入ってるのかな!?」


 スズカの声だ、思考を切る。


「あ、おい!まだあけるな!って言おうとしたんだがな…」


 俺がミミックのことを伝える前に

 スズカは宝箱を開けてしまっていた。


「あ、ごめん聞いてなかった」


 …本当に人の話を聞かないやつだ。


 幸い、ミミックではなかったが。

 そして、その中身は…


「ん?これ、壁画に書かれてる人間が

持ってるへんなやつに似てるね!」


 スズカが宝箱から取り出したのは

 壁画に描写されている武器…


 そう、まぎれもない"銃"だった。


「悪いが、少し貸してくれ」


「いいよー!っていうか、使い方わかんないしあげるよ!」


 素直で助かる。


 手に触れて確かめてみるが、どうやら破損しているようだ。


 それはそうか。


「あ、来てるよー」


 背後に気配を感じ、銃を即座に

 マジックバッグに収納し、振り返る。


 影が動く。

 人型に近い魔物。

 ホブゴブリンだ。

 

 それも複数。


「ちょうどいいね!」


 スズカが好戦的に笑った。

 魔人形態に変わり、角が現れる。


 空気が変わる。


「さっきの続き、やろ?」


 力強く踏み込んで一瞬で距離を詰める。


 抜刀すると同時に一閃。


 肉が裂ける音。


 魔物が崩れる。


 抜刀術だ。


 ……やっぱり速いな。


 無駄がない。

 

 迷いもない。


 俺は一歩遅れて動く。


 意識を切り替える。


 右側。

 

 本来なら、何もないはずの場所。


 そこに——

 

 “形”を作る。


 黒い肉が集まり。

 

 腕を構成する。


 魔人形態。


 右腕を、さらに変形させる。

 

 円筒状に。


 イメージは…大砲!


「……それ、また新しいやつ?」


「ああ、さっき思いついた」


 スズカが横目で見る。


「試してみる」


 短く答える。


 魔力を集中させる。


 火属性の火球でいいかな。


 詠唱はしない。


 意識だけで組む。

 

 人間の頃に練習していた通りに。


 次の瞬間。


 右腕の先端に。

 

 魔力が収束する。


 ……よし、いける!


 ホブゴブリンに照準を合わせる。


 放つ。


 ――ドンッ!!


 轟音。

 

 空気が震える。


 灼熱の炎を帯びた魔力の塊が前方を貫く。


 着弾と同時に炸裂する。 

 ホブゴブリンは業火に焼かれて膝から

 崩れ落ちた。


「うわっ!?」


 スズカが思わず声を上げる。


「なにそれ!?」


 目を輝かせる。


「それずるくない!?」


「魔術だ」


「そんなこともできたんだね!」


 笑う。

 

 本気で楽しそうに。


「そんな使い方する人いないって!」


 ……そういうものか。


 残りの魔物を処理する。


 スズカが斬り。

 

 俺が撃つ。


 あっという間に終わる。


 静寂。


 スズカが近づいてくる。


「ねぇ」


「なんだ」


「それ、どこで覚えたの?」


 無邪気に聞く。


「……昔からだ」


 適当に答える。


「ふーん……」


 少しだけ考える。


 そして笑う。


「やっぱり変だよ、それ!」


「……そうか」


 初めて。

 

 自分の力に対して。


 “普通ではない”という認識が、わずかに芽生える。


 だが、スズカは…


「強いならいいじゃん!」


 あっさり言う。


 スズカは。

 

 本当に気にしていない。


 ……楽な生き方だな。


 だが。

 

 嫌いではない。


 俺は再び壁画に目を向ける。


 戦争。

 

 銃。

 

 魔物や魔獣の不在。


 何かがある。


 確信する。


「……もう少し調べるか」


 自然と口に出る。


「いいね!」


 スズカが笑う。


「宝とかありそうだし!」


 こいつ宝のことしか考えてないのか?


 俺はスズカと共に一歩、踏み出した。


 未知の遺跡の奥へ。

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