17話 衝撃?の真実
俺とスズカがパーティを組むと決めた直後、
冒険者部門でダンジョン探索を紹介された。
「じゃあ、ダンジョン行こー!」
受注した直後
スズカは、腕をぐいっと伸ばした。
「さっきのやつより強いのいるといいなー!」
楽しそうだ。
完全に遊びに行くテンションだ。
「……待て」
俺は短く止めた。
「えー?なんで?」
不満そうな顔。
「準備がいる」
「準備?」
首をかしげる。
「ダンジョンについて、何も知らないだろ」
その一言で。
スズカの動きが止まる。
「……あ」
間。
「知らない」
即答だった。
…だと思った。
予想通りすぎる。
「とりあえず、調べる」
「えー、めんどくさーい」
露骨に嫌そうな顔をする。
「後で死ぬよりマシだ」
それだけ言って、歩き出す。
「……むー」
少しだけ考えたあと。
「……じゃあ付き合う!」
軽い。
本当に軽い。
組む相手、間違っただろうか…
◇
ギルドの一角。
少し奥まった場所に、それはあった。
棚に並ぶ本。
紙の匂い。
静かな空間。
……図書館、か。
懐かしい雰囲気だ、前世でもかなり世話になった。
思っていたより、ちゃんとしている。
「うわ、本ばっか」
スズカが露骨に顔をしかめる。
「帰っていい?」
「駄目だ」
「ケチー」
適当に椅子に座る。
そして、つまらなそうに机に突っ伏した。
……まあ、こうなるか。
気にせず本を手に取る。
片腕で本を読むのは難しい。
こういうときばっかりは右腕が恋しくなる。
◇
数冊、確認する。
……なるほどな。
ダンジョン。
自然発生する異常地帯。
内部は独自の空間。
魔物が発生する。
ここまでは、予想通り。
だが、罠か。
床。
壁。
通路。
様々な仕掛けが存在するらしい。
この前は運が良かっただけのようだ。
罠などはなかった。
恐らく、あそこのダンジョンは
出現して日が浅かったのだろう。
さらに読み進める。
ダンジョンコア……やっぱりか。
核。
俺が左手で喰ったもの。
あれが維持装置。
そして。
転移…ゲート?
目が止まる。
書いてある。
コアの奥。
最深部。
そこには……
外へと繋がる転移装置が存在する、と。
沈黙。
…………え?
ゆっくりと、本を閉じる。
……あの時。
今になって思い出す。
ダンジョンコアのさらに奥に
道があったことを…
崩れゆくダンジョン。
全力での逃走。
あの死にかけの時間。
……必要なかった…のか?
一つ、深く息を吐く。
「……嘘だろ?」
ぽつりと呟く。
「なにがー?」
机に突っ伏したまま顔だけこちらに向けて
スズカが聞いてくる。
「……いや」
言うべきか一瞬迷う。
「前、ダンジョンと知らずにダンジョンに
入ったことがあってな」
「うん」
スズカは短く答えた。
「ダンジョンボスを倒したところまではよかったんだ」
「ほうほう」
…こいつ本当に聞いているのか?
「ダンジョンコアの部屋に入って、間違えて
コアを壊しちまったんだ」
嘘は言っていない。
「あらら…」
話すのやめるぞコラ。聞くんならちゃんと聞け。
「んで、転移ゲートなんて知らないわけだから、崩れるダンジョンから
必死に入り口まで走って脱出したんだよ。必死に…」
「え?」
スズカが顔を上げる。
沈黙。
「……ぷっ」
吹き出すような声。
「ふふっ、なにそれー!無駄じゃん!」
ころころ笑い出す。
「全力で逃げたのに?」
「……」
「死にかけたのに?」
何も言い返せない。
……こいつぶっ飛ばしてやろうか。
「いやー、いいねそれ!めっちゃ間抜け!」
「……うるせえ!知らなかったんだから仕方ねえだろうが!」
スズカはまだ笑っている。
…ツボに入ったようだ。
……こいつは本当に……
だが。
ツボってるスズカを無視して次の本を開く。
……他には。
さらに情報を拾う。
• 新規ダンジョンは構造が不安定
• 魔物の数は一定でない
• 奥に行くほど危険
今回の探索は……
比較的新しいダンジョン。
だから要求ランクが低い。
つまり、完全に未知。
予測できない。
悪くない。
口元がわずかに歪む。
「で?」
スズカが聞く。
「どうするの?」
俺は本を閉じた。
「行く」
短く答える。
「ちゃんと準備してから出発だ」
「やったー!」
即テンションが上がる。
「じゃあ今度こそ行こー!」
立ち上がる。
勢いそのままに歩き出す。
……不安しかない。
だが。
……強いのは確かだ。
そして何より、俺と同じ側だ。
それだけで、十分だった。




