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デモンズ・リベレーション~俺は転生して魔人となり、くそったれな世界に叛逆する~  作者: 宇月ナギ


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09話 ダンジョン攻略開始!

 暗闇の中。

 

 足音だけが、やけに大きく響いた。


 外の雨音は、もう聞こえない。

 

 代わりにあるのは……

 

 自分の呼吸と、わずかな気配。


 ……妙だな。

 

 1歩、足を進める。

 

 岩肌。

 

 だが、ただの洞窟にしては違う。

 

 自然に削られた形じゃない。


 指先で触れる。

 

 冷たい。

 

 そして……


 左目に意識を向ける。

 

 一瞬、熱を帯びる。


 視界が変わる。


 俺の左目は瘴気の気配を見逃さなかった。

 

 薄いが、確実にある。


 普通の洞窟じゃない。

 

 そう理解する。


「もしかして、噂に聞くダンジョンか?」


 前世に読んでたラノベにもよく登場してたが

 まさか自分が入る日が来ようとは…


「……戻るか?」

 

 頭をよぎる。


 ダンジョンは危険だ。


 瘴気溜まりがあれば、魔物だって生まれてくる。


 もちろん、入ったことは今までにない。


 冒険者でもない自分にダンジョン攻略の

 ノウハウなどあるはずがない。

 

 危険は明らかだ。


 だが……

 

 そこで、足が止まらなかった。


 ……ここで退くか?


 胸の奥が、じわりと熱を帯びる。


 “何か”が反応している。


 ……今の俺は魔人だ。人間だった頃より

 はるかに強い。


 その力を確かめるのにも、うってつけだ。


 自分に言い聞かせる。


 今の自分は、もう無力じゃない。

 

 あのときとは違う。


「……少しだけ進む」

 

 小さく呟く。


 その判断が……

 

 間違いかどうかは、まだわからない。



 ◇

 やがて。

 

 空気が、変わった。


 次の瞬間。

 

 足元の影が、歪んだ。


「——ッ!」


 反射で跳ぶ。


 その場所を……

 

 何かが貫いた。


 黒い塊。

 

 粘ついた質感。


 スライム……いや、ただのスライムじゃない。


 噂で聞いたことがある。

 スライムが捕食を繰り返すことで

 進化して強酸性の体液を獲得したスライム。

 

 …Eランクの魔物、アシッドスライム。


 知識は曖昧だが。

 

 理解はできる。


 ……強いな。


 動きが速い。

 

 反応も鋭い。


 身体が、自然と構える。

 

 だが……


 このままでいくか。


 人間の状態。

 

 右腕はない。

 

 まともな戦闘は不利。


 それでも。


 村から持ってきた片手剣を抜き、構える。

 

 一瞬だけ、様子を見る。


 踏み込む。


 強酸性なら、剣での攻撃も通用しない

 可能性もあるが…


 だが……

 

 届きすらしない。


 スライムが揺らぐ。

 

 形を変えて避ける。


 ……やっぱりこの状態じゃ難しいか。


 勝てなくはないが、重症を負うのは

 目に見えている。


 理解は早かった。


 瞬間。

 

 意識が切り替わる。


 ……来い!


 強く、思い浮かべる。


 敵。


 危険。


 排除。


 胸の奥に火が灯る。


 ぞわり、と。


 身体の奥で、何かが反応する。


 左目が、熱を帯びる。


 次に。


 腕。


 左腕の感覚が、重くなる。


「……っ」


 見た目は、変わっていない。


 ……よし、うまくいった。


 “魔人”の力を人間の姿の状態で引き出す。


 言わば、半魔人状態。

 

 無意識に、それを理解する。


 身体が軽い。

 

 視界が鋭い。


 スライムが、地面を跳ねる。


 1度、2度。


 その勢いのまま、突っ込んでくる。


 遅い!


 今度ははっきりと、そう思えた。


 踏み込む。


 さっきとはまるで違う速度。


 剣が届く。


 そのまま……

 

 核を貫く!


 ぐしゃり、と音がする。


 同時に、剣が強酸によって溶ける。


 しかし、核を貫かれたアシッドスライムが崩れる。

 

 動かない。


 戦闘は、終わった。


「……はぁ……」

 

 息を吐く。


 思った通り、使えたな。


 半魔人。

 

 だが——


 制御を間違えれば

 すぐに魔人形態になってしまう。


 1人しかいない空間であれば問題ないが

 すぐそばに人間が居れば…


「……気を付けて使わないとな…」


 小さく呟く。


 そして、左手に握られた剣に目を向ける。


 ボロボロだ。強酸によって刃も

 潰れた上、脆くなっている。

 もう使い物にならない。


 もしかしたら町に着いたら何らかの役に立つ

 可能性もある。


 大した荷物にもならないし、一応捨てずに

 持っておこう。


 周囲を見渡す。


 暗闇。

 

 沈黙。


 だが……

 

 気配は消えていない。


 まだいるな。


 奥へと続く通路。


 そこから、確かに感じる。


 この場所。

 

 “別の世界”だ。


「……さて」


 拳を握る。


 どこまで、通用するかな?


 今度はちゃんと理解した上で……


 俺は、奥へと進んだ。

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― 新着の感想 ―
暴力と理不尽によって人生を奪われ、転生後に手に入れた温かい家族との絆までもが踏みにじられていく壮絶な展開に、胸が締め付けられる思いで読み進めました。 そんな絶望的な状況の中で、一人で戦う決意を固めるカ…
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