細かく書くのがめんどいストーリーは端折るに限るよね
お久しぶりです皆さん、影宮 ユキノです。
異世界に来てから早いもので20年の月日が経ちました。
……え?飛ばしすぎ?
いやいやいや、この20年でやった事なんて能力を使う練習と家を作ったり、周囲を散策したりしたぐらいです。
まぁ途中で冷気操作をミスって辺り一面、見渡す限り凍りつかせてしまってシャテンさんに泣きついたり、先生兼サポート役の氷精霊『グラス』が派遣されて来たり、喧嘩売ってくる魔物たちを〆てたらここら一帯のボスになったりとか、飛ばされた場所が実は予定よりズレてて無人島だったりとかしたけど、元気に生きてます。
「マスター、忘れ物は無いですか?」
「大丈夫〜、心配性だねぇグラスは。」
あ、そうそう。
今日から私は移住します。
私としてはこのままのんびり魔物たちと遊びながらダラダラと過ごしたいところではあるけど、昨日シャテンさんから指示が来たのです。
『勇者召喚の儀をしようとしている国があるから、何かあったら動けるように近くに住んでて欲しい』
とのこと。
なんでも、シャテンさんとは別の管理者が勇者召喚の担当をしているが、依怙贔屓がすごい管理者なのだとかでほぼ確実に追放やら無能力者やらの人が出てくるだろうから保護して欲しいらしい。
ちなみにその国は精霊を奴隷の様に扱っていた過去があるため、グラスはお留守番。
グラスが万が一そんな近況になったらブチギレる自信がある。
シャテンさんからは手段問わなければ一国を沈めるだけの力はあるとお墨付きを貰ってるからね。
それに、殲滅戦は得意だ。
「それじゃ、この家の事頼んだよグラス。」
「行ってらっしゃい、マスター。」
氷でできた城から海を目指して歩く。
いや、海までの道は氷で造ってあるからその上をスピードスケートみたいに滑るだけなんだけどね。
この道も、城も、外に常設するタイプのモノは随分と苦労した。
まず、氷は溶ける。
当たり前ではあるが、これが一番の難所だ。
分厚くすれば溶けるまでの時間は稼げるが、溶けない訳じゃない。
なので、最初の頃は溶けた分をその上から補強する事で補っていたが、行動する範囲が広くなるにつれてそれは厳しくなった。
それを解決したのは、『常識の改変』。
魔法や能力というのは解釈の拡大、思い込み、意識の改変でなんとかできるとグラスから学んだ。
だから私は私の能力『氷結創造』は、“私の許可無しに溶けない氷でモノを創造する能力”と定義をした。
今までは“自然にある氷を能力で形造る”という認識だったが、“氷そのモノの定義”を変えることで随分と楽になった。
世の中の能力は屁理屈と思い込みと解釈の違いでどうにでも転がる、とはグラスの言葉。




