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中年男性は、胸ポケットから一枚の写真を取り出し、カウンターに置く。
「マスター、この人を知ってるか?」
マスターは、手を止めて写真を見た。
写真に写る男性は、貧相な顔をしていた。
「いえ、存じ上げません」
「そうか。こいつの名前は坂田康二。一般人であるが、それは表向きの話。正体は闇バイトの首謀者だ」
「なるほど。話を続けてくれ」
マスターは、再び手を動かしカクテルを作る。
「こいつのせいで、若い人たちが犯罪に手を染めてる。私の娘もそうだ。いや……そうだったになるか……」
「娘さんですか……」
「あぁ……そうだ。莉亜は騙されたんだ。見張りをやるだけで金が入るって言われたらしく、最初は疑ってた。だが、言葉巧みに莉亜を騙し、犯罪の片棒を担ぐ羽目になったんだ」
マスターは、氷を入れたグラスにウォッカを少し、そしてトマトジュースを入れる。
「それが苦に……娘は自殺したんだ」
中年男性の瞳が潤んでいる。
「事情は分かりました。ですが、氷の花一つの値段はご存知ですか?」
中年男性は深く頷く。
「もちろんだ。300万だろ?お願いだ……莉亜の無念を晴らしてくれ……」
「では、前金100万を口座に。残りは完了後で……」
「そ、それじゃあこの依頼は……」
カクテルを軽くステアして、中年男性の前に出す。
「お待たせしました。こちらブラッティメアリーです。この朱より赤い色をお届けします」
「……ありがとう」




