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第3話 異形魔蛛の顎門に咲く乙女の鮮血、されど童貞は超キモティいいいい!!

「いらっしゃせぇえ!」


 コンビニに入ると、鼻ピアスしたプリン頭の眼鏡女子の店員が、体育会系な久しく見ないハリのある声で接客してきて、こっちはビクンッとした。


「適当にジョンソン炭酸水を補充に、ポテっちです! ゴリラグGUMIをっと」


 カゴに入れ、レジへ。


 ピッ ピッ ピッ


「……572円っす!」


「PenPayで」


 ピッ。


『ペン!ペイ!』


「ありあございあしたぁあ!!」


 レジ袋ではなくエコニストな俺は、エコバッグに商品を入れ、ウィーンっとコンビニを出る。

 まだ幼馴染が家にいるだろうか。

 だが近くにあった公園にふと立ち寄りたくなったから行くことにし、そこで休憩してから帰ろうと思った。


「なんか人気が異様にねーし、暗いな。一雨きそうだな。さっきまで明るかったのに」


 最近できたばっかの公園らしく、そこまで遊具が多くない。

 すると公園内で怪しい動きをしている人がいるではないか。


 飛んだり跳ねたり、サイドステップ、バックステップと、アラウンドステップをこんな公共な場で決めているではないか。

 しかもプロっぽい。こう、パルクール的な?

 兎に角、不審者扱いされ警察に職質される前に、親切心で注意しようではないか。


 遥はそう決断し、公園内へ入る。

 腕にバチバチッと静電気が走った感じがして気持ち悪かったが、


「おーい! 黒髪パッつんな子! そんな模造刀を振り回してると、しょっぴかれんぞぉお!!」


 少し大きめの声を出し、注意する。

 少女はびっくりした感じでこちらを見て、驚愕の顔をする。



「!?!? なんでぇええ!? な、な、何で結界を!? 嘘でしょ!? ど、ど、ど、どうしよう! 怒られるぅうう!!」



 あたふたし出した少女は、内股で模造刀を手に持ったままパニクっている。

 だがそれも束の間。

 何かの気配を感じ取り、模造刀を構え真剣な表情で



「あのー! 何でかわかりませんが! 兎に角、とにかーく危ないんで隠れて下さい!! 貴方も捕捉されました! 私が何とかしますんで死なないでください!!」


「君ー、厨二病拗らせて大変だねぇえ!? 大丈夫だよ!!」


「大丈夫……じゃないんですぅう! 言うことを聞い――きゃあああ!!」



 目の前に異形な巨大蜘蛛型の怪物が現れ、彼女を薙ぎ払う。

 八本足には鋭い刃がついており、少女の血らしきものが付着している。



「…………エッ?」



 思考が一瞬止まる。

 だがすぐさま少女に駆け寄る。

 幸い急所は外れているが、服が裂け、所々裂傷があり、右のお腹がかなりダメージをもらったのか血が出ている。

 まだ意識があるみたいで、



「……くっ! ……にげ……て……はや……く……」



 この状況が未だにわからない。

 だが逃げたら絶対ダメだ。

 某何某も、

『逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ!』

 って立ち向かったんだ。


 震える足に活を入れ、落ちた模造刀──いや、本物の刀を手にする。

 重厚感があり、持っているだけで辛い。

 でも少女に比べたら、わけない。



「クソォおお!! 童貞で、16歳で死ぬとかありえなくねぇええ!! こんちくしょおお!!」



 刀の持ち方も訳もわからず、火事場の馬鹿力で立ち向かう。

 巨大蜘蛛の八本の足が乱雑に繰り出される。

 重い刀を持ちつつも難なくかわすが、多少の傷はもらう。



「ヒィヒィフゥううう!! 怖ぇえよ! でもなんかいけるぞ!?」



 巨大蜘蛛の攻撃を、最初こそ四苦八苦しながら躱し逃げ惑うだけだった遥。


 だが次第に適応したのか、刀を振り下ろしたりして相手に攻撃を繰り出している。


 少女は起き上がり、その様子を当の目で見ていて驚いていた。


「何が……おき……て!?」


 それもそのはず。

 あの刀は由緒ある、選ばれた使用者──少女にしか扱えない業物。

 九重遥が使用していること自体が異常なのだ。

 あれにも意思があり、使用者以外が使おうものなら重さに耐えきれず、しかも持ち上げることさえできない。

 それを持つどころか扱っている。

 驚嘆に値する。



 ズガァアン!!


 ガキィイイン!!


 グシャア!!


 ザァシュゥうう!



「よくわからんが超ぉおおおキモティいいいい!!! おい! デカブツ!! これでおしまいダァあああ!!」



 明らかに常人離れした一般人の少年は跳躍し、刀を上段から振り下ろす。


 巨大蜘蛛は一刀両断された。


 緑の血がブシャァあっと噴き出し、それを浴びながらその場に立つ少年。


 その姿に、少女は魅入られた。



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