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結果よりも過程を望みます。  作者: 量産三型
第ニ章

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第3話 到着

 氷を跨ぎ、雪の上を歩いて数時間が経過していた。

 トコロシェは、大きな白い息を連続で吐き出し、額から汗が、雪を溶かす勢いで流れていた。


 「もう少しだ……」


 言葉からも疲れが感じられる。

 それとは打って変わって、フウマは小さな白い息を歩く速度と同じタイミングで吐き出し、汗1つ欠かなかった


 「少し、休みます?」


 「いや……本当にもう少し…………あれだ」


 指を指す方向には、吹雪が吹き荒れていたものの、薄っすらと木の家が見えてくる。

 歩き続けると、木の家の輪郭が徐々にハッキリとしていく。

 木の家の前に着くと、ドアをノックする


コンコン


 握り拳でノックをするも、吹雪の音に掻き消されてかのように感じる


 「すみませんー! 誰か、いませんかー!」


 家のカーテンの隙間から、暖かい光が差し込む。 確実に居る……そう確信し、声を張る


 「すみませんー! 誰か――」


 「うるさいよ」


 ドアがゆっくりと開くと、お婆さんが苛立ちの目つきをしながら出てくる。

 トコロシェが息を整え、お婆さんの顔を見る


 「今は、主要都市行の便は、あるか?」


 「……あるよ」


 嫌そうな顔で、ドアの奥にいる人物と話し、奥にいた、お爺さんが入れ替わる様に出てくる。

 一見、同じ人かと思う程、嫌そうな顔と態度は似ていた


 「何処のだ?」


 「北部だ」


 ドアの横に掛けられていた、ロープを取ると、ノシノシと外に出てくる。

 近くに置いてあった荷台を引っぱり、首にある、ネックレスを握りしめると、荷台の前に2足の丸い物体が現れる


 「何ですか、あれ?」


 「あれは、移動式ゴーレムだよ」


 お爺さんは、その物体と荷台を巻き付けると、御者台に腰を掛ける


 「2人で銅貨20枚だよ」


 「20枚!? 前回は、1人5枚だったぞ?」


 威圧する様に言うと、ギラリとお爺さんはトコロシェを睨みつける


 「いやなら、乗んな。 ……言って置くが、今日動いてるのは、俺だけだぞ」


 「他の奴らは?」


 「戦争に駆り出されたよ」


 威圧をするのを止め、ため息を吐く。

 無言で銅貨20枚を手渡すと、荷台に飛び乗る


 「ほら」


 差し伸べられた手を握ると、フウマも荷台に乗る。

 2人が乗るのを確認すると、結ばれたロープをムチのように上下に動かすと、ゴーレムは動き出し、徐々に速度を上げる。

 その速度は、歩くよりも圧倒的に速く、振り返ると、もう木の家は見えなくなる程であった――


*****


 吹雪は、荷台の速度と共に風圧が高まり、大きな手で押されている感覚が、フード越しで感じられる程であった。

 そんな環境に居る為、2人は丸くなり、肌を隠す。

 御者台に居るお爺さんは、慣れた様子で背もたれに寄りかかり、体勢を崩さずにいた。

 ゴウゴウと音が激しく鳴り、荷台の手すりはガタガタと鳴り続ける。

 

*****


 「見えてきたぞ」


 お爺さんの声が、ハッキリと聞こえる。

 顔を上げると、吹雪は止んでおり、大きな手の圧は感じられなかった

 

 「止みましたよ」


トコロシェの肩を揺すると、ゆっくりと顔を上げ、しかめっ面で周りを確認し、都市の方へと向き直る。

 遠くの家が見えるほど、都市がくっきり見えていた。

 トコロシェは、眉間にしわを寄せながら、まぶたを何回も開けたり閉じたりを繰り返す

 

 「すみません、起こさないほうが良かったですかね?」


 「いや、丁度いい……」


 身体を小さく捻り、背中をピンと立て、最初見た時と同じ姿に戻る。

 徐々に荷台の速度はゆっくりとなり、それと共に、小さな検問所のような建物に、近づいている事が分かる。

 トコロシェは、喋らずに自分の頭のフードを引っ張り、片手で自身のフードも引っ張る。

 隠せ、という意味に気がつくと、身だしなみを整え、自分の身体の部位が露出していないか、目と手の感触で確認するも、露出している部分は見当たらず、全て布の触感であった。


 荷台が止まると、何人もの足音が、荷台を取り囲み、木の軋む音も、腰辺りに聞こえてくる。


 「こっちを見ろ」


 振り返ると、剣を持った男がコチラを睨みつける。

 その男が、自分の顔を頭のてっぺんから顎の先まで見ると、反対方向へと駆け足で向かう。

 周りの取り囲んでいる人物の声も段々と落ち着いた声に変わっていく。

 先程の男が駆け足で戻ってくる


 「腕を見せてもらってもいいですか?」


 その言葉にトコロシェは、自分の方に勢い良く振り返り、自分は額に汗が流れ落ちる


 「腕……ですか?」


 「ええ、腕です」


 「理由を聞いても?」


 その言葉に落ち着いた口調から威圧する様な口調に変化する

 

 「理由?」


 すかさず、トコロシェはフォローをする様に、会話に入ってくる


 「身体的特徴は本来、確認しなくて良い事になってだろう?」

 

 「見せたくない理由でもあるのか?」


 段々と怒気も含めていく


 「……その男は、腕に大きな火傷を負い、大きな白い膜が、服にべったりとくっついているから、服を脱ぐ事は出来ないよ」


 「お前はどうなんだ?」


 トコロシェは近くの取り囲んでいる人に、腕まくりをして、腕の全体を見せる。

 腕は少し、緑が染まっていた


 「この緑色はなんだ?」


 「あんたらが嫌いな色だよ」


 そう言うと、嫌そうな顔を作り、メモをする様に手に持っていた紙に何かを書いている


 「じゃあ、こっちの男は片方の腕だけだせ」


 「両腕になってんだ」


 そうトコロシェが言うと、男は周りの人と相談する様に集まり、自分の処遇を決めている事が、フードという単語を何度も使っていた為、内容を理解するのに時間はかからなかった。

 納得したように頷き合いながら、御者台に近寄る


 「行ってよし」


 お爺さんは縄を上下に揺らすと、その場を後にした。

 

 小さな検問所を通ると一気にレンガの家々が姿を表す


 「ここらへんで良い」


 お爺さんは近くに停めると、トコロシェは荷台から飛び出し、自分もそれに習うように荷台から外に飛び出す。

 2人の顔を見ると、お爺さんは縄を動かし、検問所の方へと向かった


 「先ずは、宿屋に行こう」


 その言葉に、少しばかり心が弾む

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