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結果よりも過程を望みます。  作者: 量産三型
第一章

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第1話 出発

 薄暗い曇が空を占め、潮風と共に冷気が身体に当たる。

 人けが少ない波止場にフードを被った人物が1人、黄昏れる様に水平線を眺めていた

 

(あの人かな?)


 そんな事を思っていると、黄昏れていた人物は、こちらの足音に気づき、フードを被ったままこちらに視線を向けてくる。

 その視線は、足から頭までゆっくりと確認している事をフードの動きで分かった。

 確認動作が終わると懐から、紙を取り出し、再確認する様に、同じ様に視線を向けては、紙を見るといった動作を何回も行ない、納得したのか、直ぐにその動作は終わり、紙をしまいながらこちらに歩み寄る


「……合言葉は言われているか?」


(合言葉!?)


 知らされていない内容に動揺し、ポケットの中を弄る。

 自身の様子に呆れる様にため息を吐く


「……部隊名は?」


「ぶ、部隊名は…………」


 部隊名を言おうとした、直後ケルベロスの言葉を思い出し、喋ろうとした口が止まる


「部隊名は? 言えないのか?」


(何て言えば良いんだろう……)


 喋ろうとするも良い言葉が思い浮かばす、口を閉ざしているとため息が相手から聞こえる


「秘匿部隊か?」


 コクリと頷いたが、フードの隙間から嫌な顔をされている事に気づく


「正直だな」


 フードを取り、顔が露わになる


(男のゴブリン?)


 ファンタジーに触れるなら一度でも見たことのある存在が目の前に現れる。

 だが、ゴブリン姿そのものでは無く、所々に人であるかの様な、特徴が見られた。

 1つに、身長で自身と同じ高さ、もしくはそれ以上の身長であり、小鬼と書くゴブリンには無い身長。

 2つに、特徴的とも取れる、鼻の長さが普通の長さ。

 この2つで、完全に似ているとは言えない理由であった


「……」


(不味い!?)


 じっくり見ていた事が、バレてしまい、嫌悪感とも取れる視線を向けてくる

 

「最初に言っておくが、喧嘩をしたいなら言ってくれ、タダでも受けてやる」


(ヤバい!?)

「そういうつもりじゃなかったんです!」


「……」


「自分は……えっと……」


「……見たことが無い?」


「そう! それです! 間近で見たことが無くて、マジマジと見てしまいました……すいません!」


 謝罪の意味も込め、お辞儀をする。

 その様子にギョッとしたように、足を擦る音が聞こえる


「……まあ、良いだろう」


 その言葉を聞くと、顔を上げ、男の顔を見る。

 先程のピリピリとした顔はとは違い、顔が緩んでおり、呆れているのがハッキリと分かるほどに、感情的な顔になっていた

 

「……こんな所で、道草を食っている暇は無いんでな、作戦内容は移動中に伝える」


「これからどうするんですか?」


「あの止まっている船が分かるか?」


 男が指さす方向に、今にも沈みそうな小船が浮かんでいた


「……あれに乗るんですか?」


「あぁ、あの船で行く」


(絶対に沈む……。 よく見たら……穴が空いてるし……)


 2人は小船に近づき、男が船に乗り込む


「こう見えても、大丈夫さ」


 男が少しでも動くとギシギシと、木の音が鳴り、今にも沈むと確信した目つきで、彼を見つめていると――


バキッ!


「あっ……」


 船底に大人1人が、入れるほどの穴が空き、男は海に潜った


「大丈夫ですか!?」


 水しぶきを上げながら、陸に手をかけ、一気に陸に上がる


「……」


「ま、まあ、こういう事もあると思いますよ?」


 男は不服そうに、服の水分を絞り出す


(どうするんだろう……。 船が必要なら、長距離の移動になるのかな?)


 男がこの後どうするのかと、思いつつも、この船の代わりになる物は無いか、辺りを見回す。

 周りには、特に大きな船も、代わりになりそうな船は無く……また、先程の船と同じ様に何処かしらに穴が空いていた


「……」


「この後は……どうします?」


「……少し待ってろ、新しい船を探しに行く」


「自分に考えがあるんですけど、少し時間を貰っても良いですか?」


 男の不思議そうに首を傾げる姿を横目に、海に手を突っ込み、手を動かし、ジャバジャバと音を立てる


(これで……)


「何をしているんだ?」


「これで、来ると思うんですけど……」


 徐々に手を激しく動かし、音が大きくなる


「!?」


 遠くから連続的に波が迫ってくるのが見える


「そこから離れた方が良いぞ」


 男も気がついたのか、後に下がりながら注意を促す。

 その言葉と共に、一気に男の方へと近寄る。

 だが、危惧していた程、波はこちらに来ず、せいぜい、靴に水しぶきがかかるほどであった


「なんだったんでしょうね?」


 そんな事を言っていると、先程の手を突っ込んでいた場所に水がブクブクと音を立て、巨大な黒い物体が姿を現す


「……!」


「リヴァイアサン……!」


「知り合いなのか?」


「まあ……はい……」


 何とも言えない、そんな事を思っていると、リヴァイアサンが口を開く


「呼んだかね?」


 ニコニコとした笑顔で、自身の顔を見てくる


「実は、船が壊れちゃって……」


 壊れた船を指を差し、リヴァイアサンは直ぐ様状況を理解したかの様に頷く


「成程……何処か行きたいのか?」


「何処に行きますか?」


 男に聞くと、落ち着いた様子で返事をする


「マロ帝国、北部の港湾都市に向かいたい」


「……あそこは、今の時期では凍ってるぞ」


「氷の上を歩いて街の方まで行く……」


 リヴァイアサンは考え込むが直ぐ様、納得したように頷いた


「成程、隠密行動をしたいのだな……確かに、港湾では、憲兵隊がウヨウヨ居るかな」


「出来るか?」


 自身の顔を視界の端から見ているのがわかる。

 恐らく……確実に自身の言葉から聞きたいのだと理解する


「……お願いできますか?」


 自身の言葉が言い終わる前に、激しく頷いた

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