第16話 リヴァイアサン
ぺっぺっ
「唾を吐くな。 口からフーっと息を吐き出す様に」
ゴォーー
リヴァイアサンはフウマの横で、小さい光線を吐き出す。
その横で光線を出そうも、唾しか出なかった
「やっぱり出ませんよ」
「普通なら、1、2回で出来るのだが、5回やっても無理か…」
「大体、それする理由あります?」
リヴァイアサンの首を優しく叩く
「勿論。 こうする事で、光線が出来やすくなる」
疑いの目をリヴァイアサンに向ける
「でも、やっぱり出来ませんよ…」
「ふむ……。 では、火を長く出すようにしては、どうだろう」
「火を長く……」
フウマは自身が出来る、火の息を長く出すように想像する
ふぅ~
細い火は真っ直ぐには行かず、体の半分にも満たないほど距離も短かった
「……もっと、火の勢いを強く出来ないか?」
「火の勢い……」
(火、火の勢いを強く……火よりも強く…………)
(火…………炎?)
フウマのイメージは固まり、口から吐き出す準備をする。
リヴァイアサンの吐き出すイメージと、炎のイメージを組み合わせる。
ゆっくりと口を噛みしめる。
口を噛みしめ続けると、口の間から小さい光が漏れ出す。
それはゆっくりと大きくなっていくに連れて、口も開いていく。
口をギリギリまで、噛みしめれる所まで行くと、息をゆっくりと吐くように開き始める
ゴォー
炎は石の門に向かって突き進む
「ふむ……。 だが惜しいな、これでは光線ではない」
リヴァイアサンは、先程よりも成長したことに感心する
「駄目ですか?」
フウマは息を切らす
「駄目ではない…… これなら、戦列艦一隻なら余裕だ…………。 それよりも大丈夫か?」
話の横で、よだれを垂れ流す
「キモチワルクテ」
「誰だって吐いたら、気持ち悪くなる」
ゆっくりと首を緩め、フウマとの距離を置く
「オエー」
「…私の首にかけるなよ……」
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一方その頃、ケルベロス達は苦戦を強いられていた
「竜騎兵達を上に下がらせろ!」
ルーエの怒号が響き渡る。
辺りは火の玉が飛び交い、両軍共に少しづつ、被害を出していった
ドン!
戦列艦は燃えて尚、水面下にいる竜騎兵に対して砲撃を続けていた。
その姿はまるで…
「火竜……」
ボソッと、ルーエは嘆く
ドン!ドン!
砲撃を竜騎兵達に浴びせ、墜落させる。
当たる竜騎兵達は少ないが、砲撃へ意識を向き過ぎて、魔術師の攻撃を間近で食らう者が後を絶たない
「……」
ルーエは戦列艦の周りにいる魔術師達に睨みつける
「厄介だね」
ケルベロスはルーエの肩に掴みながら話す
「ええ、魔術師達を沈めようとしても、戦列艦の砲撃で水面下には近づけず、真上からでは、戦列艦の燃え上がっている木々のせいで視界が悪くなり、ワイバーンの攻撃も当たりません」
どうしようもないと、ため息を漏らす
「斜めからは?」
「魔術師達の格好の的です」
「…いい場所は?」
「ありません、戦列艦の砲門の下に固まっています」
「艦首と艦尾は?」
「がら空きですが、戦列艦の木々で邪魔されて、狙えず、突撃も無理でしょう」
「無視するしか……」
ドーン!
「無視すれば、兎人共和国に攻撃を許してしまいます」
ルーエは指を指す
戦列艦の下にいる、魔術師達は竜騎兵達が来てない間に、より遠くにいる兎人共和国に魔法を撃ち込んでいた
「……突撃は出来る?」
「……今、突撃すれば、敵の増援部隊を沈めることは出来ません」
「私が突撃して来ましょうか?」
イーグルはゆっくりと、ワイバーンを操りながら、ケルベロス達に近づく
「……出来る?」
「はい。 私であれば」
2人は頷くと、イーグルはワイバーンの首を戦列艦に向かせ、ワイバーンは一気に加速し、戦列艦の下にいる、魔術師達に向かう
ボゥ
火の玉を戦列艦と小船の間に向けて放つ。
その火の玉に気づいた魔術師は、兎人共和国に向けて魔法を撃つのを辞め、イーグルに向けて魔法を放つ。
イーグルは、ワイバーンに合図して、一気に急降下する
ヒュー
風を切りながら、魔法を避け続ける。
海に当たりそうになる所でワイバーンに合図を送る
グン!
ワイバーンはギリギリの所で、持ち上がり、魔術師達の目が合わさる所まで高度を下げながら、一気に加速する
ボゥ
2発目の火の玉を魔術師達に目掛けて放つ。
一人の魔術師はシールドを張り、火の玉はそれに飲み込まれ、魔術師達に当たることはなかった
「クッ」
イーグルは更に距離を縮める。
それと同時に魔法も近づいてくる。
間隔は狭まり、ワイバーンの体に当たりそうになると、大きく迂回する。
ギギ
戦列艦の側面にある、大砲がイーグルに向く
ドン!
その砲弾をひらりとイーグルは躱しながら、ワイバーンの火の玉を大砲目掛けて放つ。
すかさず、2人の魔術師は先程とは違い大きなシールドを張り、火の玉を飲み込んだ。
シールドを張ったのを確認すると、更に加速させ、距離を縮める。
イーグルはワイバーンに火の玉を作らせる
ドン! ヒュー
魔術師達と戦列艦の攻撃がイーグルに集まる。
ワイバーンに右側にいる魔術師に向かって火の玉を放ち、
イーグルは左側にいる魔術師に向かって、魔石の入った小さな木箱を思いっきり投げつける
ドーン!
火の玉と小さな木箱は当たり、2艇の小船を沈めた
グィ
素早く、ワイバーンを上空に向けて加速させる
ギャオ…
ワイバーンは尻尾に魔法が食らいながらも、加速させ、魔術師と戦列艦の攻撃を逃れた
「大丈夫!?」
ケルベロスは心配そうにイーグルに話しかける
ケルベロス達は、燃え盛る戦列艦の上空に留まっていた
「はい、魔術師は4人ほど減らせましたが、これ以上は……」
そう言いながら、ワイバーンを撫でる。
そこには疲れ果てて、項垂れているワイバーンがいた
「恐らく、これ以上は無理ですかね……。 それよりも、フウマは大丈夫ですかね……」
「フウマは大丈夫」
「理由はあるのですか?」
「勘……かな?」
「…まあ、あれで亡くなるほど、柔ではないと理解はしていますが……」
心配そうにイーグルは海を眺めた




