第11話 美人?
「は、はい」
フウマに話しかけてきたのは先程の獣人であった
(近くで見ると…)
体は幼く、顔は人間、耳と尻尾が本体であるかのように大きく、また、亜人であると再認識する外見であった
(それに、美人すぎる!)
竜人達の視線を受けていたフウマにとっては、女性の存在は大きく、更に美しい顔立ちに心を打たれた。
そんな彼女に見とれていると彼女は不思議そうにフウマを見る
「どうしたんです?」
フウマの様子に、イーグルはため息交じりに、フウマの肩を小突いた
「あっ、だ!大丈夫です」
「そう?なら良かったけど……今回は面倒事に付き合ってくれてありがとう」
彼女は、深々に頭を下げた
「い、いえ!自分から言ったことですし」
「でも…貴方が言ってくれたことで、チャンスは生まれたから…本当にありがとう」
彼女の態度にフウマはタジタジになる
「そういえば、私の名前を言ってなかったね…
私の名前はケルベロス、よろしく」
ケルベロスは手を差し伸べるとフウマはその手を握った
「じ、自分はフウマです」
「フウマくんだね。貴方は…」
ケルベロスの視線に気づいたイーグルは敬礼した
「私は、イーグルです」
「イーグルくんか、よろしく」
ケルベロスとイーグルは握手を交わした
「では、本題は歩きながら話そうか」
「何処かに行くんですか?」
フウマの疑問にケルベロスは頷く
「飛行場に自分の荷物を置いて来てしまってね、それに、立ち尽くしながら話すのは時間が勿体ないからね」
イーグルとフウマは納得したように頷き、ケルベロスを先頭に歩き出した
「今回の作戦として、翼人共和国を経由して、兎人共和国の方に向かおうと考えてる」
「経由ですか?」
イーグルはケルベロスに聞く
「うん。恐らくだけど、兎人共和国が生き残ってるのは限りなく低い。だから、翼人共和国を経由して、ア平原に向かい、そこで、マロ帝国の輸送船団を破壊し、その後、兎人共和国に侵攻している敵部隊を叩くって算段だね」
「…ケルベロス様、現在、翼人共和国は北部方面は竜人帝国の援助の下、敵を撃退したものの、西部方面と東部方面の2正面がまだ戦っています。先ずは、そちらを助けては頂けないでしょうか?」
ケルベロスは歩くペースを下げる
「……残念だけど、助けに行ける時間は無いね」
「…何故ですか?」
「確かに、翼人共和国を助けるのは、得策だとは思う…でも、私達が求められているのは、国々を救うこと。…決して見捨てる訳ではないよ。
だけど…竜騎兵達が駐留している国を助けても周りは評価はしてくれない。だから、目に見える戦果を、1つでも多く得らなければ、私達は助けれる者も助けれなくなる。
…君の故郷ということは理解している。だから、理解しろとは言わない。だが、分かってほしい」
「…分かりました。…ですが、道中で助けるなら大丈夫ですか?」
「うん。それなら大丈夫」
「ありがとうございます」
イーグルの声が少しトーンが下がる
「…他にはあるかな?」
ケルベロスは歩くペースを戻した
「ちなみに、ケルベロス様が動かせる兵力はどのくらい居ますか?」
「うーん、私が動かせる兵力は一個師団程度かな?」
「一個師団ってなんですか?」
フウマは隣に居るイーグルに小声で話しかけるが
「一個師団は約一万人だよ?」
ケルベロスの耳に入っていた。
フウマが軍人であると認識していたケルベロスは、部隊規模を知らない事に驚いていた。
そんなフウマにケルベロスは立ち止まって振り返った
「君は、軍人じゃ、無い?」
イーグルとフウマは苦々しい顔をしながら、立ち止まった
イーグルはフウマの顔を見て、顔だけで意思疎通を交わす
本当の事を話す?
そんな顔にフウマは苦々しい顔で考え
大丈夫なの?
と首を傾げながらイーグルの顔を見る。
フウマの意思が理解したイーグルは頷き、ケルベロスに顔を振り返る
「先ずは、ケルベロス様の事を話してもらえますか?」
突然の言葉にケルベロスは驚くも直ぐに真面目な顔になる
「私は獣人皇国、第一皇帝ケルベロス・エスカトス」
フウマは驚きつつも、イーグル顔見て、真偽か確かめる。
イーグルはそれに理解し、頷く
「自分は……異世界人です」
ケルベロスは目を丸くする
「…異世界人!実在してたとは…与太話だと思っていたけど…」
「…本当の事です。ケルベロス様」
「…君達はどの様に知り合ったの?」
イーグルとフウマはこれまでの経緯を簡単に話した
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「成る程…そんな事が……イーグル君、1つ聞きたい事が」
「何でしょうか?」
「…君は、固有スキルで相手の経歴を見れるんだよね?」
「はい」
「なら、私の最後はなんて書いてある?」
「…よろしいのですか?」
「うん…」
イーグルは、重々しい声を出した
「……最後の皇帝と」
「そっか…」
ケルベロスは暗い顔をする
フウマはケルベロスに聞こうと思ったが聞ける雰囲気ではなかった
(最後の皇帝って何だろう……余り知られたくない話なのかな…)
パン!
ケルベロスは両手で頬を叩く
「あんまり、暗い顔してちゃ駄目だよね。時間も無いし、とにかく行こう!」
ケルベロスは無理やり明るい声を出し、歩き出し、2人はケルベロスについて行った
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「これだね」
ケルベロス達は飛行場に着き、ケルベロスが乗っていたカーゴドラゴンから荷物を手に入れた。
ケルベロスは、バックを開くと地図を取り出し、カーゴドラゴンの肩に地図を広げ、指を指しながら話す
「翼人共和国からこのルートで、ア平原に向かう。その道中で、助けれる味方が入れば助ける。これでいいかな?」
「はい、それで大丈夫です」
イーグルの言葉にケルベロスは頷く
「フウマくんは竜騎兵達を率いて来るんだっけ?」
「一応、そんな感じで、話が進んでますね」
「なら、私は自軍に連絡しないと」
ケルベロスは、バックから魔道具を取り出し、耳に当て、2人から離れた場所で、自軍に連絡をした
「…イーグルさん」
「さんは要らないよ」
「…イーグル」
「なんだい?」
フウマは恐る恐るイーグルに聞く
「…最後の皇帝ってなに?」
「…」
イーグルは目を閉じ、ケルベロスの経歴を話すか考えるが結局は話さなかった。
代わりにフウマに言う
「…それは、ケルベロス様に直接聞いたほうがいい」
「…ですよね」
フウマはケルベロスに言うか悩んでいると
「すまないね、今終わったよ」
ケルベロスは小走りで戻ってきた
「大丈夫かい?」
2人の様子にケルベロスは不思議そうに見る
フウマは決心したように口を開く
「ケルベロス様、最後の」バサバサ
フウマの言葉を掻き消すように、ワイバーンの翼の音が辺りに響かせながら、着陸した
フウマは遮られたことに、嫌そうな顔をしながら振り向く。
「!」
フウマはワイバーンに乗っていた竜人に驚く
「ルーエさん!?」
ルーエはワイバーンに跨りながら、汚物を見るように、フウマに視線を向けるも直ぐに真面目な顔になり、ケルベロスに向き合う
「ロア様の命令により、ケルベロス様の作戦に参加させていただく」
「竜人帝国の参加、ありがとうございます」
ケルベロスとルーエは互いに敬礼した。
ルーエはフウマに怪訝な顔をしながら、振り返る
「…貴方のワイバーンは、もうそろそろ来るからそれに乗って向かいなさい」
ルーエの態度に、フウマは億劫になる
「じゃあ、イーグルと一緒に乗って、ルーエさんとケルベロス様が一緒に乗るって感じですか?」
「いや、私はフウマ君のワイバーンに乗らせてもらうよ。それに若い女性と一緒にワイバーンに乗るのは流石に不味いからね」
フウマは首を傾げる
「ケルベロスも女性ですよね?」
ケルベロスも首を傾げる
「私は男だよ?」
「…」
フウマは考えるのを放棄した




