第8話 到着
「まあ、そういう経緯ですね」
(そういえば、良く此処まで飛べたな)
竜人帝国に向かうまで、休憩も取らずに飛行を続けたお陰で、夜も明け朝日が迎える
「なるほど…竜人帝国で召喚されたのですね。それと厄災ですか…」
イーグルは深く考える
「厄災…2つ以外に?」
「何か知ってるんですか?」
「…過去に2つの厄災が、大陸で暴れ、今の2つ大陸を作り出したという伝説として、この地で語り継がれています」
「伝説ですか?」
「ええ、ちゃんとした名前は無いのですが、表と裏という厄災が居ました。…2つの厄災は、仲良く暮らしていたのですが、ある時、些細なことで喧嘩をした後、この世界に来て、2つの厄災は原住民を差し置いて、領土を決めました。表は原住民に対して食料や住処を与えました。裏は武器を作り出し、自身の領土で戦争をさせ強い者を選別しました。2つの厄災は、お互いに悪い所を言い合い、遂に2つの厄災は争いました…」
イーグルは息を整える
「食料や住処を与えた表側は武器が無く、一方的にやられました。裏側は、沢山の戦争をしたせいで、原住民が減り、日に日に原住民は亡くなっていき、次第に食料を与えていた表側が勝ちました。その様子に負けた裏は、怒り狂い、勝った表に直接攻撃し、互いに喧嘩をすると、大地が揺れ、大陸は2つに割れましたという話ですね」
「厄災はどうなったんです?」
「こっちの大陸だと、勝った厄災は、負けた厄災に2度と逆らえない様、罰を与えた。っていう話になっており、この話から、勝たなければ生きていけない、という教訓の話になっています」
「こっちって事は、もう1つの大陸は違うんですか?」
「ええ、もう1つの大陸の話によると、2つの厄災は、荒れた大地や割れた大陸を見て、深く傷つき、2つの厄災は、もう二度と喧嘩をしないようと誓った。という話から、争いをしても良い事にはならない、という教訓の話になっていますね」
「2つの大陸によって違うんですね」
「ええ、こっちの大陸は、20年前の戦争の件もありますから尚更、勝たなければという事になっているんでしょうね」
「…ちなみに、もう1つの大陸に行こうとは、思わないんですか?」
「ええ、もう1つの大陸に行くには、大海を越えなければなりませんから」
「大海に何かあるんですか?」
「いえ、あるとしても、凶暴化した海獣が居るくらいですが、問題は航海日数です」
「航海日数?」
「ええ、もう1つの大陸に行くのに1年ほど掛かります」
「1年!?」
「ええ、更に航海の途中は、海獣や天候が荒れやすいので、安全な航海は出来ず、1年以上の食料と、武器が無ければ渡れません」
「でも、渡った人は居るんですよね?」
「ええ、ですが1000人が航海して、生き残ったのはたったの1人です。更にその人は仲間の肉を食いつないで、生き残ったので、精神が病み、渡った次の日には、亡くなりました」
「ひぇ」
「他には、海人と言われる種族と、神龍の2つだけでしたね」
「海人と神龍ってなんですか?」
「海人はあちらの大陸に住んでいる、人間と亜人のハーフ的存在です、神龍は名前の通り、竜の上位種の存在ですが、勇者に討たれ、もう存在はしていません。ですが、1つの種族と神龍のお陰で、2つの大陸は認識して、文化交流も盛んなようですよ、まあ、人間だけですがね」
「亜人は交流が出来ていないですか?」
「人間側は海人と独占的に交流をしていて、亜人と海人は現在も交流が出来ていません。まあ、亜人の認識を改めさせたくないんでしょうね…」
フウマは黙るしか無かった。20年前の戦争がどれだけ亜人に対して、悪影響を及ぼしたのかを
「ようやく、見えてきましたね」
イーグルが指を指す。
その先には、大きな城や広大な農地、他には数多くの竜人と竜人帝国旗が視界一杯に映る。
フウマは城の内側に、竜人帝国旗以外に多種多様な旗がある事に気づく
「あの旗はオーク帝国の旗ですね、隣は獣人帝国ですか」
イーグルは、大きな旗を靡かせる2つの旗を見てそう言った。
イーグルは探るように、他の旗を見る
「どうしました?」
「いえ、もっと主要国が来ると思っていましたが…あの2つの旗だけみたいですね」
「他に主要国がいるんですか?」
「ええ、8カ国ほど…!」
城の中心からこちらに白旗を振ってくる竜人を確認すると、2人は一気に加速し、その竜人に近づき降り立つ。
竜人の後ろからロアが出てくる
「お疲れ様です」
「あ、ありがとうございます」
ロアの姿を見た、イーグルは慌てるように敬礼する
「元老院議員ロア様、翼人共和国軍大隊長のイーグルです!」
「ああ、翼人共和国か…援助は間に合ったかね?」
「は!竜人帝国の多大なる、援助により、我が軍は助かりました。寛大なご配慮、深く感謝申し上げます」
「そうか」
フウマとは打って変わって、興味のなさそうな、対応をロアはした。
ロアはフウマに笑顔で振り向く
「所で、亜人種の会議があるのですが、ご一緒にどうですか?」
「え、自分が出ても良いんですか?亜人種の代表だけが揃うみたいですけど」
「ええ、大丈夫ですよ。私の付き添いとしてなら出れます」
(どんな会議なんだろうか、気になる)
「それなら、自分も出たいです」
「分かりました。準備ができ次第、係の方に呼ばせますな」
「ありがとうございます」
フウマはそう言うと、ロアはお辞儀をし、その場から立ち去った
「…ロア様?って、偉いんですか?」
イーグルはギョッとしたような表情を見せる
「知らなかったんですか?」
「は、はい…」
「ロア様は、竜人帝国の元老院議員の中で、1番の発言力があるお方です。…実質、竜人帝国のトップです」
イーグルは周りの竜人兵士達に聞こえないようソッと、耳打ちした
(そうには見えないけどな…)
自分に向けてくる特殊な視線を向けてくる人物が、偉いようには到底思えなかった。
(とはいえ、召喚した時に居たのは確かに、ロアさんだったな…)
フウマは、どうにかロアを偉い人物に見ようとするも、視線の件がチラチラとフラッシュバックする。
そんな事を考えていると、制服を着た竜人が1人近づき、2人の前で止まる
「会議の準備が整いました」
「分かりました。では、私はこれで」
イーグルはフウマに軽く敬礼すると、近くのドアに入っていった
「貴方様はこちらへどうぞ」
フウマは係の竜人に連れられて、イーグルとは別のドアに入っていった




