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ヒューマンコード  作者: エイジ


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第38章 崩れゆく戦線

警報は鳴り止まない。


壁のモニターは赤に染まり、侵入経路が次々と更新されていく。


ルキとナッシュは、無言で端末を叩き続けていた。


「……もう少しだ」


ナッシュが低く言う。


ルキは答えない。


ただ、指を止めない。


そのとき、扉が開いた。


サガラだった。


「退路を確保する」


短く言う。


カイが続いて入ってくる。


「あとどれぐらいかかりますか?」


ナッシュが答える。


「……三十秒」


サガラが頷く。


「十分だ」


それだけ言うと、サガラはすぐに背を向けた。


入り口に立ち、無言で銃を構える。



数秒後。


ルキが叫ぶ。


「終わった!」


ナッシュも頷く。


「データ遮断完了!」


カイが即座に動く。


「全員、退避します!」


アヤが周囲を見回す。


「生存者、こっち!」


数名のメンバーが集まる。


混乱の中、最低限の統制だけが保たれていた。


カイが指示する。


「こっちへ!避難路へ向かいます!」


全員が動き出す。


そのとき——


爆音。


オペレーションルームの扉が吹き飛んだ。


煙の中から、処理班が突入してくる。


「来やがった……!」


ルキが舌打ちする。


サガラは動かなかった。


一歩も引かない。


「行け」


低い声だった。


カイが振り返る。


「サガラさん……!」


「行け」


繰り返す。


それ以上の言葉はなかった。


カイが歯を食いしばる。


「……お任せします!」


サガラは答えない。


ただ、引き金を引いた。


銃声。


一人、倒れる。


すぐに次。


さらに次。


無駄のない射撃だった。


だが、数が違う。


銃弾が飛び交う。


サガラの体が揺れる。


それでも倒れない。


一歩も引かない。


だが次の瞬間。


複数の銃口が向けられる。


発砲。


サガラの体が後ろに弾かれる。


膝をつく。


処理班が一歩、近づく。


血が床に広がる。


距離が詰まる。


「……ここまでだな」


小さく呟く。


腰に手をやる。


取り出したのは、小型の爆発物。


安全装置を外す。


サガラは、わずかに目を細めた。


「……プレゼントだ」


その言葉だけを残して——


閃光。


爆音。


オペレーションルームが、崩れた。



通路。


レオンは、応戦しながら後退していた。


銃声。


火花。


壁が削られる。


その中を、カイが駆けてくる。


「急げ!」


レオンが叫ぶ。


カイが息を荒げる。


「サガラさんが……!」


「振り返るな!」


その声は強く、すでにすべてを悟っていた。


避難路手前。


ルキ、ナッシュ、アヤたちと合流する。


「無事か!」


レオンが叫ぶ。


ルキが頷く。


「なんとか……!」


その瞬間。


反対側の通路から影が現れる。


「……挟まれた!」


ナッシュが叫ぶ。


処理班。


両側から迫る。


アヤが即座に銃を構える。


「ここで止める!」


撃つ。


一人倒れる。


だが距離が近い。


処理班が一気に詰める。


ナッシュが捕まる。


「ぐっ……!」


腕をねじられる。


銃が落ちる。


「ナッシュさん!」


カイが叫ぶ。


躊躇なく飛び出す。


体当たり。


ナッシュを押さえつけていた処理班を弾き飛ばす。


ナッシュが解放される——


だがその隙に、


別の処理班がルキを掴む。


「っ……!」


ルキの体が引き寄せられる。


「ルキさん!」


カイが向かう。


だがその前に、


さらに別の影が立ち塞がる。


格闘になる。


殴り合い。


押し合い。


呼吸が乱れる。


その間に、


再びナッシュが捕まる。


動きを封じられる。


カイの視界が揺れる。


「くそっ……!」


ルキがその光景を見ていた。


一瞬。


すべてを理解する。


抵抗をやめる。


処理班に押さえつけられながら、カイを見る。


ポケットから、小さなデバイスを取り出す。


「カイ!」


叫ぶ。


全力で投げる。


カイが反射的に受け取る。


「それ——」


息が止まる。


ルキが叫ぶ。


「キーはカイに託した!」


その声は、はっきりと響いた。


「逃げてくれ!」


レオンの目が一瞬だけ揺れる。


だがすぐに前を向く。


「……行くぞ、カイ!」


カイは動けない。


「でも……!」


レオンが肩を掴む。


「行け!!」


その力に引かれるように、カイは走る。


アヤも続く。


背後で、銃声が響く。


叫び声。


衝撃。


振り返ることはできなかった。


ただ——


走るしかなかった。

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