2話…欠陥だらけ?
…
~ステータス~
不破英雄 Lv.1
HP 50
MP 30
攻撃力 $%&#@!
防御力 8
魔力 15
速度 12
攻撃力だけ文字化けした。最大値を超えたのか、単純にバグったのか。どちらにしろ、これが攻撃力最大ということでいいんだろうか?
でも待て。俺、武器持ってないぞ。
素手で80レベル差以上の適をやりあえっていうのか?1発でも貰ったら死ぬし他のステータスが心もとなさすぎる…
他に何かできることはないか。
うん?こんな項目あったけ?
コントローラーの画面をスクロールしていると、見慣れないタブを発見した。
【魔法】
魔法?使えるのか?
タブを開くと二つのスキルが並んでいた。
・ファイアーブレス
・フルバースト
なんか強そうな技だ。
ファイアーブレス……説明欄を開いてみると――
$%&#@!※▼◆□■
ここも全部文字化けして読めない。
これもバグ技なのか?
名前からして炎系だろう。火を吹く技だ。たぶん…
「ファイアーブレス!」
次の瞬間、口から勢いよく炎が吹き出た。
広間の床を舐めるように広がる炎。魔族たちに向かって――届かなかった。射程が短すぎる。せいぜい二、三メートルといったところだ。
…
………
……………
魔族達が口を開いた。
「……ふはっ」
「ふははははははッ!!」
三体が腹を抱えて笑い始めた。
「い、いきなり魔法使いやがった…は、はは…と思ったら…は、はは…下級魔法か…ははははっ!」
俺の宴会芸はウケたらしい…
「この雑魚が!!沢山笑わせてもらったぜ!!」
うるさい。
その時、コントローラーにポップアップが表示された。
〜INFO〜
魔法スキルの威力は【魔力】の数値を参照します。
……今頃チュートリアルかよ?
しかも今の俺の魔力は15。相手ははLv80越え
確かに話にならないがそれよりも…
ファイアーブレスって……そのままの意味じゃないか。炎の息。ゲームだと結構強い部類の魔法入ってたよな?ドラゴンが口から炎を吐く的な?それが下級魔法に驚きだわ!
じゃあフルバーストって……爆発?
とりあえず今は魔力を上げるべきだ。攻撃力から魔力に振り直そう――
編集モードを切り替えようとした瞬間。
〜WARNING〜
切り替えクールタイム:5秒
しばらくお待ちください。
5秒?
ドッ。
魔族の剣士が地面を蹴った。羽を広げ飛んだと思いきやそのまま俺目掛けてすごいスピードで迫ってくる。巨大な剣が振り下ろされ――俺は咄嗟に横へ転がった。
石畳に剣が突き刺さり、火花が散る。
近い近い近い!!
魔族が剣を引き抜きながら舌打ちをする。次の一撃が来る前に俺は距離を取った。
5秒って短いと思ってたけど戦いでの5秒って結構長いぞ?!死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!
転がりながらカウントする。4秒。3秒。また剣が振られる。身をかがめて回避。2秒。1秒――
ピッ。
切り替え完了
今だ!
魔力の数値を選択して、限界まで引き上げる。
魔力 $%&#@! ↑↑↑
また文字化けしたが構ってる暇がない一か八か
「フルバースト!!」
次の瞬間――
あっこれダメなやつだ
辺り一面が爆発した
自分含めて
気づいたら、また白い空間にいた。
「……お帰りなさい、英雄様……」
女神が申し訳なさそうにこっちを見ている。
「……………」
「申し訳ございません……」
「なんなんだよ!あの世界!いきなりレベル80越えの敵と戦わせるなんて!」
つい怒鳴ってしまった
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」
女神の平謝りなんて見たくなかった
「一項目しか操作できない上クールタイムつきしかもところどころ文字化けしてるんだけど?!」
未だに納得がいかないんですけどね!
「…………その節は申し訳な――」
上目遣いでこっちを見てる…あらかわいい
でもね……
「こっちは死にかけたんですけど?!ってか俺死んだんだった」
可愛いからって限度があると思うんだ
女神がぺこぺこと頭を下げ続けている。
「次は気をつけます!今調整してるので今度こそいけます!」
女神のガッツポーズ…普通の女の子ぽいなぁ
この女神様とフラグ立たないかなぁ…
…うん?次?
「次ってどういうことなんですか?」
別の世界にまた飛ばされるのだろうか
次かあれば強制負けイベは回避したい
「……はい。もう一度あの世界に戻ってもらいます」
……
俺はしばらく女神を見つめた。
「嫌」
「お願いし…」
「やだ!」
そうこうしているうちに世界が、また白く溶けた……強制イベントかよ!
目を開けると――白髪の少女の子が俺の顔を覗き込んでいた!白い肌に白いドレス
ってあれ?膝枕?
「っ……生きてる!?」
声がした。
隣には金髪の中年男性の声だった。風貌からさっするに王様だろう。高そうな宝石の冠に金のスーツに金のマント…この王様ちょっと派手すぎない?
「よかった……無事に蘇生できました」
老人が静かに口を開いた。
「勇者殿。まずは礼を言わせていただく。魔族どもを討伐していただいた」
「こちらこそありがとうございます。蘇生していただいて」
「なに、礼には及ばないそのような些細なこと」
少女が改めて頭を下げた。
「ありがとうございます。私はシロア。この国の王女です」
「申し遅れた。私の名はゴルードと申す。この国の王を務めてる。」
「不破英雄です。」
「……ヒーロー様?」
「そうです」
老人が咳払いをした。
「勇者殿、この世界について説明させてください――」
そこから王様の説明が続いた。魔王が復活したこと。人間の国が侵略されていること。勇者を召喚する儀式を行ったが、まさか王城に魔族が乗り込んでくるとは思わなかったこと。
「それにしてもせっかく召喚した勇者といえ、蘇生するのに相当無理をしたんじゃないですか?」
こう言うのはだいたい決まってえげつないデメリットがついてくるものだ。
「死者を蘇生させる魔法でございます。聖職者であれば誰でも使える、基本的な魔法ですな」
……誰でも使える。基本的な魔法。
俺はさっきまで死んでいた。命と引き換えに爆発で全滅して、蘇生してそれを「基本的な魔法」で片付けられる世界。この世界ちょっと命に対して軽すぎない?
「……その聖職者というのは、狙われやすくないですか」
王様の顔が曇った。
「その通りです。魔族はまず聖職者を狙います。蘇生を封じれば、人間側の戦力を削れますから」
なるほど。蘇生できる世界だから、蘇生できる者を先に消す。なかなか物騒な世界だ。
ふと、コントローラーに通知が来た。
〜INFO〜
ステータスが更新されました。
自分のステータスを開いてみる。
不破英雄 Lv.1
職業:勇者
HP 50
MP 30
攻撃力 10
防御力 8
速度 12
魔力 15
状態異常:女難の相
説明:ヒロイン候補のフラグが立たない
……。
……………………。
レベルが上がってないのかよおかしくね?
というより…
「なんなんだこれ?」
思わず声に出てしまった。
職業が勇者になったのはわかる。まあわかる。でも状態異常が女難の相って何だ。しかも説明が「ヒロイン候補のフラグが立たない」って何だ?これは病気なのか?呪いなのか?
前世で音沙汰なかったのもこれのせいか?
その時、ステータスウィンドウに新たなメッセージが表示された。
「べ、別にあんたが誰かと結ばれるのが嫌なわけじゃないんだからね?…///べ、別にわたしがいるら他の子と一緒にいることにヤキモチなんかやいてないんだからね!」
………
「ステータスウインドがデレてんじゃねーよ!」
やべっ叩き割りそうになった。
いっそう、攻撃力最大にして叩き割ってやろうか?
……と言うかもうラブコメは諦めろってことなのか………
シロナ王女とゴルード王様が、完全に引いた顔で俺を見ていた。と言うかドン引きしてる。
「……勇者殿は、一体何をなさってるのですか?」
「……」




