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最弱テイマーは総てを溶かす  作者: コクトー
揺らぐ世界は誰の為に
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51/52

「選ばれなかったもの達の声」

51話です人生は選択の連続!

セリアが膝をついた頃。



少し離れた場所では。



別の沈黙が流れていた。



ルクス。



リリス。



そしてガーゴイル。



誰も動かない。



狭間だけが静かに揺れている。



ルクスはリリスを見つめていた。



優しそうな笑顔。



穏やかな声。



だが。



その奥にあるものを。



少しだけ理解し始めていた。



「……どうしてだ」



ルクスが口を開く。



リリスは首を傾げる。



「何が?」



「どうしてそんな顔をする」



沈黙。



リリスの笑顔が止まる。



ほんの少しだけ。



本当に少しだけ。



「嫌いなの」



ぽつりと。



零れ落ちた言葉だった。



ルクスは眉をひそめる。



リリスは笑っていなかった。



「あなたみたいな人」



静かな声。



だが。



その奥には長い時間積み重なった感情があった。



「選ばれた人間」



ルクスが目を細める。



リリスは続けた。



「選ばれなかった者の気持ちなんて分からない」



「ノクスに選ばれたあなたに」



「この子達の苦しみなんて分からない」



ガーゴイルへ手を伸ばす。



巨大な身体。



だがその仕草は優しかった。



まるで家族へ触れるみたいに。



「この子達は選ばれなかった」



「必要とされなかった」



「忘れられた」



「捨てられた」



狭間が揺れる。



誰かの泣き声。



誰かの後悔。



誰かの怒り。



微かな声が空間を漂う。



リリスは目を閉じた。



「私もそうだった」



静かな告白だった。



ルクスは何も言わない。



ただ聞く。



リリスは続けた。



「私は弱かった」



「誰にも必要とされなかった」



「だから選ばれなかった」



その瞳の奥に。



ほんの少しだけ。



昔の少女が見えた気がした。



「そして」



リリスの声が冷たくなる。



「ある人は全部決めるの」



ルクスの眉が動く。



「お前はここ」



「お前は必要」



「お前は不要」



狭間の空気が重くなる。



「そうやって」



「全部を型にはめる」



怒りだった。



今まで見せなかった感情。



ルクスは静かに聞く。



「……誰の話だ」



リリスは答えない。



数秒の沈黙。



そして。



「知らなくていい」



小さく呟いた。



その声には。



嫌悪が滲んでいた。



ルクスはその言葉を胸に留める。



だが。



今は追及しなかった。



代わりに別のことを聞く。



「だからお前が選ぶ側になったのか」



リリスの目が揺れる。



ガーゴイルへ触れる手に力が入る。



「誰かが選ばなきゃいけない」



「誰かが救わなきゃいけない」



「だから私は」



「この子達を一つにした」



ルクスはガーゴイルを見る。



巨大な身体。



だが。



そこから聞こえてくるのは。



悲鳴。



怒り。



後悔。



苦しみ。



そんなものばかりだった。



「救われてるようには見えない」



リリスの表情が固まる。



沈黙。



長い沈黙。



そして。



「あなたに何が分かるの」



初めてだった。



リリスが感情を露わにしたのは。



「選ばれた人間が」



「選ばれなかった者を語らないで」



狭間が大きく揺れる。



桃色の髪が舞う。



「あなたは選ばれた!」



「ノクスに!」



「認められた!」



「力を与えられた!」



叫びだった。



長い時間押し込めていた感情。



嫉妬。



怒り。



悲しみ。



全部。



ルクスは静かにそれを受け止める。



そして。



ゆっくり口を開いた。



「分からない」



リリスが目を見開く。



「お前の苦しみは分からない」



「お前が見てきたものも分からない」



それは否定じゃなかった。



認める言葉だった。



だから。



リリスは何も言えなかった。



ルクスは続ける。



「でも」



拳を握る。



「俺も選ばれた訳じゃない」



最弱テイマー。



王国から見捨てられた少年。



森で一人だった日々。



討伐対象になった日。



全部を思い出す。



「俺も捨てられた側だ」



リリスの瞳が揺れる。



認めたくない。



認めれば。



自分の正しさが揺らぐ。



だから。



叫ぶ。



「嘘よ!!」



その瞬間。



ガーゴイルが前へ出た。



巨大な身体が狭間を震わせる。



リリスの瞳に涙が滲む。



怒りか。



悲しみか。



本人にも分からなかった。



「なら聞いてみなさい!」



ガーゴイルへ手を伸ばす。



「この子達の声を!」



次の瞬間。



ガーゴイルが咆哮した。



悲鳴。



怒り。



怨嗟。



無数の魂の叫びが狭間を埋め尽くす。



そして。



ルクスは一歩前へ出た。



選ばれなかった者達の声を聞くために。

51話でした。決めるのは自分自身。他人の評価なんて気にしなくて良いんです

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