「選ばれなかったものの先」
どっかでキャラクターの外見とか説明する場所必要かなと思ってたらもうここまできちゃってました。申し訳ない。
狭間の世界は静かだった。
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空もない。
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地面もない。
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あるはずなのに曖昧な世界。
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その中心で。
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セリアとカインは向かい合っていた。
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誰も口を開かない。
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ルクスも。
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リリスも。
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ただ二人を見ている。
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長い沈黙の後。
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先に口を開いたのはセリアだった。
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「……どうして来たの」
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小さな声だった。
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カインは少しだけ目を細める。
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「迎えに来た」
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即答だった。
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迷いもない。
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セリアは苦しそうに笑った。
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「帰る場所なんてないわ」
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カインは黙る。
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セリアは続けた。
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「王国は私を討伐対象にした」
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「騎士団も私を恐れてた」
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「私はもう……」
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胸へ手を当てる。
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境界色の光が微かに揺れる。
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「普通じゃない」
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その声は震えていた。
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怒りじゃない。
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悲しみだった。
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カインは数秒黙る。
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そして。
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盛大にため息を吐いた。
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「今更だろ」
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セリアが顔を上げる。
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カインは自分の腕を見せた。
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氷が浮かぶ。
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狼の爪が伸びる。
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「見ろよ」
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「俺なんか狼だぞ」
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「……」
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「しかも街一つ壊してる」
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セリアの眉が僅かに動く。
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「それは自慢にならない」
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「だろ?」
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カインは笑う。
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昔みたいな笑い方だった。
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セリアも少しだけ口元を緩める。
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本当に少しだけ。
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だが。
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すぐにその表情は消えた。
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「違うの」
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ぽつりと呟く。
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「カインは帰れた」
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「ルクスも」
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「みんな前に進んでる」
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拳を握る。
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「でも私は違う」
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狭間の空気が揺れる。
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境界色の光が僅かに漏れ出す。
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「私は何なのか分からない」
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王国に拒絶された。
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リリスの言葉も理解出来ない。
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自分自身すら分からない。
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そんな状態で。
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どうやって前へ進めばいいのか。
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分からなかった。
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カインは静かに聞いていた。
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そして。
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小さく笑った。
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「俺もそうだった」
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セリアが顔を上げる。
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「何も分からなかった」
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「誰が敵かも」
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「何が正しいかも」
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氷狼の瞳が真っ直ぐ向く。
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「だから暴れた」
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その言葉に嘘はなかった。
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カインは失敗作だった。
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王国に捨てられた。
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居場所も無かった。
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セリアと同じだった。
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「でもな」
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カインが一歩前へ出る。
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「結局決めるのは自分だ」
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セリアの瞳が揺れる。
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その言葉は聞いたことがあった。
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ルクスが言っていた。
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何度も。
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何度も。
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「……簡単に言うわね」
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セリアが苦しそうに笑う。
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「簡単じゃねぇよ」
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カインは首を振る。
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「だから俺は今ここにいる」
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沈黙。
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セリアは唇を噛む。
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怖かった。
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もし帰ったとして。
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本当に受け入れられるのか。
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本当に元に戻れるのか。
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そんな保証はどこにもない。
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だから。
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確かめたかった。
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目の前の男を。
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ルクス達を。
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そして。
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自分自身を。
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セリアは静かに剣を抜く。
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境界色の光が刃を包む。
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カインはその姿を見ても動じない。
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ただ静かに見つめている。
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「……なら証明して」
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セリアが言う。
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「私を見ても」
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「それでも同じことが言えるのか」
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空間が揺らぐ。
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境界色の光が溢れ出す。
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セリア自身も止められないほどに。
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カインは小さく息を吐いた。
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そして。
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ゆっくり氷を纏う。
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「面倒臭ぇな」
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そう言いながら。
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少しだけ笑った。
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「でも嫌いじゃねぇ」
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セリアの剣先が向く。
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カインの氷が広がる。
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二人の距離が縮まる。
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これは敵同士の戦いじゃない。
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信じるための戦いだった。
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選ばれなかった者が。
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その先へ進めるのか。
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その答えを確かめるための。
自分が本当に大切なものの隣にいて良いのか。不安になる時が皆さんにもあると思います。




