表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最弱テイマーは総てを溶かす  作者: コクトー
揺らぐ世界は誰の為に
PR
46/52

「境界へ」

46話です。

轟音が地下空間へ響いていた。



砕けた床。



暴走した魔力。



未だ収まらない境界色の光が、空間そのものを歪ませている。



騎士達は倒れ込み、

誰も近づけなかった。



セリア自身も、何が起きているのか分からない。



熱い。



苦しい。



身体の奥で、

何かが軋んでいる。



「っ……ぁ……!」



膝をつく。



その瞬間。



ふわりと身体が支えられた。



リリスだった。



「大丈夫」



優しい声。



セリアは苦しそうに睨む。



「……触るな」



だがリリスは怒らない。



むしろ少し悲しそうに笑った。



「どうしてそんなに怖がるの?」



「あなた、壊れかけてる」



その言葉に、セリアの呼吸が止まる。



壊れる。



その言葉が妙に現実味を持って響いた。



レオンハルトが一歩前へ出る。



「リリス」



低い声。



「それ以上、刺激するな」



リリスはゆっくり振り返る。



その顔から笑みが消えていた。



「刺激したのは、そっちでしょう?」



地下の核が脈打つ。



どくん。



どくん。



リリスは静かに核を見る。



「怖がって」


「閉じ込めて」


「線を引いて」



「それで壊れないと思ったの?」



レオンハルトは答えない。



沈黙だけが落ちる。



セリアは苦しそうに呼吸する。



その時。



リリスがそっとセリアの手を握った。



温かかった。



「来て」



小さな声。



「ここにいたら、あなたは消される」



セリアの目が揺れる。



王国。



騎士。



自分の居場所だった場所。



なのに今は、

そこから拒絶されている。



リリスが静かに囁く。



「怖いなら」


「まだ全部を受け入れなくていい」



「でも」


「知ることは出来る」



セリアは唇を噛む。



分からない。



境界が何なのか。



自分がどうなるのか。



リリスを信じていいのかも。



全部。



分からない。



だが。



何も知らないまま、

拒絶したくなかった。



その時。



ルクスの顔が浮かぶ。



『自分で選ぶんだ』



不器用な声。



でも真っ直ぐだった。



セリアはゆっくり目を閉じる。



そして。



震える足で立ち上がった。



レオンハルトが目を見開く。



「待て、セリア!」



セリアは振り返らない。



「……分からないの」



小さな声。



「王国も」


「境界も」


「自分が何なのかも」



境界色の光が静かに揺れる。



「でも」



セリアは前を見る。



リリスの向こう。



空間の奥。



そこには、

現実とも夢とも違う“何か”が広がっていた。



怖い。



それでも。



「私は」


「自分で知りたい」



その言葉に。



リリスが静かに笑った。



今までで一番、

穏やかな笑みだった。



次の瞬間。



空間が揺らぐ。



境界が開く。



セリアは一歩踏み出した。



王国でもない。



魔物側でもない。



その狭間へ。



自分の意思で。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ