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最弱テイマーは総てを溶かす  作者: コクトー
揺らぐ世界は誰の為に
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45/52

「知らないもの」

45話です

地下空間へ、核の脈動音が響いていた。



どくん。



どくん。



巨大な鼓動。



まるで王国そのものが生きているみたいだった。



セリアは荒い呼吸のまま膝をついている。



胸の奥が熱い。



苦しい。



身体の中で、

何かが動いている。



リリスが静かに支えていた。



「離れて……」



セリアが苦しそうに呟く。



だがリリスは優しく微笑むだけだった。



「どうして?」



「こんなに綺麗なのに」



その言葉に、セリアは顔を歪める。



「何が……綺麗よ」



リリスは答えない。



ただ、変わり始めたセリアを見つめていた。



その時。



レオンハルトが静かに口を開く。



「……それが境界汚染だ」



セリアの目が揺れる。



「境界……?」



聞いたことはある。



だが。



それが何なのか、

セリアは知らなかった。



「……境界って何なのよ」



レオンハルトは少し黙る。



そして核を見上げた。



「人と魔物」


「その理から外れたものだ」



曖昧な答え。



だが、その曖昧さが逆に怖かった。



理解できない。



なのに。



自分の身体は、

確かにそれへ近づいている。



セリアは拳を握る。



「だから……私を殺そうとしたの?」



レオンハルトは目を閉じる。



否定しない。



その沈黙が答えだった。



セリアの胸が締め付けられる。



王国騎士として生きてきた。



守るために戦ってきた。



なのに。



王国は自分を“危険”として見ていた。



レオンハルトの低い声が響く。



「人は弱い」



「未知を恐れる」



「だから境界を広げ過ぎてはならない」



「秩序が壊れる」



その言葉に、

セリアは唇を噛んだ。



どこかで理解できてしまう自分がいた。



恐ろしいものを見た時。



人は線を引きたくなる。



敵と味方。



正常と異常。



安心できる境界を。



だが。



ルクスの顔が浮かんだ。



不器用で。


迷って。


それでも前へ進もうとしていた。



セリアは小さく首を振る。



「……違う」



レオンハルトが視線を向ける。



セリアは震えながら立ち上がった。



「苦しくても」


「怖くても」



「それでも選ぼうとしてた」



「ルクスも」


「カインも」



「……私はまだ分からない」



胸を押さえる。



熱い。



怖い。



「境界が何なのかも」


「自分がどうなるのかも」



「でも……!」



その瞬間。



核が強く脈打った。



どくん――!!



白い光が地下空間へ広がる。



セリアの身体が震える。



「っ……!!」



視界が歪む。



空間が揺れる。



騎士達が後退った。



「な、何だ……!?」



「空間が……!」



セリアの髪がふわりと浮く。



淡い光。



身体の周囲へ、

境界色の粒子が舞い始める。



レオンハルトの目が見開かれた。



「まさか……」



リリスだけが静かだった。



むしろ。



嬉しそうですらある。



「怖い?」



彼女が優しく囁く。



「なら、変わってしまえばいい」



「知らなくてもいいの」



「受け入れれば、全部分かるから」



甘い声。



だからこそ怖かった。



セリアの中で、

何かが揺れる。



楽になりたい。



逃げたい。



そんな感情が、一瞬だけ脳裏をよぎる。



だが。



ルクスの声が浮かんだ。



『自分で選ぶんだ』



セリアの目が開く。



そして。



震える声で叫んだ。



「勝手に決めないで!!」



轟音。



空間が大きく歪む。



境界色の光が一気に吹き荒れた。



騎士達が吹き飛ばされる。



核が激しく脈動する。



レオンハルトすら一歩後退った。



セリアの瞳が淡く光る。



王国でもない。



魔物でもない。



その狭間みたいな、不安定な色。



リリスはその姿を見て、

静かに目を細めた。



そして。



心の底から愛おしそうに呟く。



「……綺麗」

45話でした。どうなるセリア

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