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最弱テイマーは総てを溶かす  作者: コクトー
揺らぐ世界は誰の為に
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44/52

「王国オルド」

44話です。またまたセリア視点に戻ります。何度も申し訳ない

視界がぼやける。



揺れている。



地面なのか。


世界なのか。



セリアには分からなかった。



ただ。



自分が歩いていることだけは分かる。



隣には、あの女――リリス。



後ろからは重い足音。



ガーゴイル。



王都への道を、

三人は静かに進んでいた。



不気味だった。



途中で何度も王国兵とすれ違った。



だが誰も剣を向けない。



止めようともしない。



まるで。



最初から許可されているみたいに。



セリアが小さく呟く。



「……何故」


「止めないの」



リリスは柔らかく笑った。



「だって」


「呼ばれているもの」



その言葉に、背筋が冷える。



王都が見えてきた。



見慣れた城壁。



懐かしいはずの景色。



なのに。



まるで知らない場所へ来たみたいだった。



門兵達はセリアを見る。



驚き。


困惑。


恐怖。



色んな感情が混ざっている。



だが誰も声をかけない。



ただ道を開ける。



セリアは唇を噛む。



「……何なのよ」



返事はない。



王都へ入る。



街は静かだった。



静か過ぎた。



人々は俯き、

決められたみたいに歩いている。



笑い声がない。



生きているのに、

どこか止まって見えた。



セリアの胸がざわつく。



その時。



胸の奥が脈打った。



「っ……!」



思わず胸を押さえる。



熱い。



リリスが横目で見る。



「近づいてるわね」



「……何に」



リリスは答えない。



ただ静かに前を見る。



やがて。



王城へ辿り着く。



騎士達が並んでいる。



だが誰も動かない。



セリアはその異様さに息を呑んだ。



リリスが歩き出す。



迷いがない。



まるで、この城を知り尽くしているみたいに。



長い廊下。



階段。



地下へ。



降りるほど空気が重くなっていく。



そして。



巨大な扉の前で、リリスが止まった。



「入って」



セリアは睨む。



だが身体は震えていた。



嫌な予感が止まらない。



ゆっくり扉を押し開く。



その瞬間。



眩い光が地下を照らした。



「……っ」



セリアが目を見開く。



そこにあったのは。



巨大な核だった。



白銀の結晶。



脈打つように光を放っている。



まるで生きているみたいに。



その周囲には無数の魔導装置。



光の線。



王国全体へ繋がる巨大な術式。



セリアは言葉を失う。



「……何、これ」



静かな足音が響く。



奥の闇から、一人の男が姿を現した。



レオンハルト。



王国の頂点。



彼は疲れた目で核を見上げる。



「王国を支えるものだ」



低い声。



感情を押し殺した声だった。



セリアが振り向く。



「……これが?」



レオンハルトは静かに頷く。



「人は弱い」



「恐怖する」



「だから秩序が必要になる」



その言葉に、

どこか聞き覚えのある不気味さを感じる。



セリアは拳を握った。



「そのために」


「ルクス達を狙ったの?」



レオンハルトは少しだけ目を伏せる。



「境界へ近づき過ぎた」



「放置すれば、王国は崩れる」



セリアの呼吸が乱れる。



理解したくなかった。



王国が。



自分が信じていた場所が。



こんなものに依存していたなんて。



その時だった。



核が強く脈打つ。



白い光が地下へ広がる。



次の瞬間。



空中へ映像が浮かび上がった。



ルクス。



カイン。



歪んだ空間の中で、魔王と対峙している。



セリアの目が見開かれる。



「……見てるの?」



レオンハルトは静かに答える。



「観測している」



「王国を守るためにな」



その言葉と同時に。



セリアの胸が強く脈打った。



「っ……ぁ……!」



膝が崩れる。



熱い。



身体の奥で、

何かが目覚めようとしている。



リリスが静かに近づいた。



そして。



苦しむセリアを優しく抱き支える。



「ほら」



耳元で囁く。



「もう戻れない」

44話でした。

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