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最弱テイマーは総てを溶かす  作者: コクトー
揺らぐ世界は誰の為に
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41/52

「果ての誘い」

41話です

森の空気が張り詰める。



騎士達が剣を構えたまま後退る。



ガーゴイルは動かない。



ただ、赤い瞳だけがこちらを見下ろしていた。



その肩へ手を置いた女は、静かにセリアを見つめている。



妙だった。



敵意を向けられているはずなのに。



まるで“探していたもの”を見つけたみたいな目だった。



セリアがゆっくり剣を抜く。



「……貴方は何者なの」



女は少しだけ目を細めた。



そして柔らかく笑う。



「私はリリス」



その名を聞いた瞬間。



騎士達の顔色が変わる。



「まさか……」



「境界側の……!」



ざわめきが広がる。



だがリリスは気にした様子もない。



その視線はずっとセリアへ向けられていた。



「ようやく見つけた」



「随分、反応が強くなってるわね」



セリアの眉が寄る。



「……反応?」



その瞬間だった。



胸の奥が熱を持つ。



「っ……!」



セリアが思わず胸を押さえる。



脈打つ。



身体の奥で、何かが揺れている。



リリスはその様子を見て、どこか嬉しそうに笑った。



「やっぱり」



「貴方、境界へ近づいてる」



騎士達がざわつく。



「何を言っている!」



一人の騎士が前へ出る。



「セリア隊長から離れろ!」



次の瞬間。



ガーゴイルが動いた。



轟音。



巨大な腕が地面を砕く。



騎士達が吹き飛ばされた。



「ぐぁっ!?」



「構えろ!!」



森へ怒号が響く。



セリアも剣を構える。



だがリリスは戦う気配を見せない。



ただ静かに言う。



「ねえ、セリア」



「貴方、自分が何故討伐対象になったのか」


「分かってないでしょう?」



セリアの動きが止まる。



リリスは微笑んだまま続けた。



「王国は怖がってるのよ」



「変わってしまう人間を」



「選び始めた人間を」



その言葉に、セリアの胸がざわつく。



王国。


討伐命令。


ルクス達。



全部が頭の中で繋がり始める。



「……何を知ってるの」



「色々」



リリスは軽く答える。



「でも、今はまだいいわ」



その瞬間。



ガーゴイルが再び地面を砕いた。



騎士達が完全に押され始める。



セリアが舌打ちし、前へ出ようとする。



だが。



リリスがそっと指を伸ばした。



触れてすらいない。



なのに。



セリアの身体が動かなくなる。



「っ……!?」



空気が絡みつくみたいだった。



リリスが静かに近づく。



「大丈夫」



「怖がらなくていい」



その声は優しい。



だからこそ、不気味だった。



セリアが睨む。



「近づくな……!」



リリスは少しだけ悲しそうに目を伏せる。



「どうしてそんなに拒むの?」



「もっと自由になれるのに」



「貴方は、どちらにもなれる」



その瞬間。



セリアの胸の奥が強く脈打った。



視界が揺れる。



熱い。



何かが身体の奥で目覚めようとしていた。



騎士達の声が遠くなる。



セリアが剣を支えに膝をつく。



「隊長!!」



リリスはしゃがみ込み、セリアの顔を覗き込む。



そして、そっと囁いた。



「ねえ」


「本当の自分を知りたくない?」



その言葉と同時に。



セリアの瞳が、一瞬だけ淡く揺らいだ。

41話でした〜

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