「繋がる別れ」
37話です。傷を共有した3人がまた歩き出します
ミリスの里の夜は静かだった。
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湖は淡く揺れ、空には星が広がっている。
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昼間に見た過去が、まだ胸の奥へ残っていた。
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セリアは湖の近くに座り込んでいた。
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手には王国騎士の紋章。
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レイス達との戦闘で傷ついたそれを、じっと見つめている。
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「眠れねえのか」
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カインの声。
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セリアは振り返らない。
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「そっちこそ」
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カインは少し離れた岩へ腰を下ろした。
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しばらく沈黙。
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風だけが静かに吹く。
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やがてセリアが小さく呟いた。
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「……私、ちゃんと出来るのかな」
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「何をだ」
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セリアは紋章を握る。
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「王国と向き合うこと」
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少し間を置いて、続けた。
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「もしまたレイス達みたいなのがいたら」
「私は本当に剣を向けられるのかなって」
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その声には、迷いが残っていた。
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カインはセリアの手を見る。
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紋章を握る指先が、少しだけ震えていた。
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「……震えてんぞ」
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「震えてない」
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「いや震えてるだろ」
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「寒いのよ」
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カインが周囲を見る。
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「ここそこまで寒くねえぞ」
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「うるさいわね!」
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セリアが睨む。
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けれどその強さは、いつもより少しだけ弱かった。
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カインは小さく笑う。
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「安心した」
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「は?」
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カインは空を見上げたまま言う。
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「震えなくなってたら」
「お前じゃねえ」
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セリアは少し黙る。
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風が髪を揺らした。
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カインは続ける。
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「前のお前なら、多分止まってた」
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レイス達へ剣を向けられず、
全部抱え込んで壊れていた。
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でも今は違う。
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セリアは苦しみながらも、自分で選ぼうとしている。
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カインが肩を竦めた。
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「倒すんじゃなくて、止めようとしてる」
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「……うん」
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「なら、多分間違えねえ」
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セリアは少しだけ目を伏せた。
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「変わったわね、あんた」
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「誰のせいだと思ってんだ」
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その返しに、セリアが少しだけ笑った。
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昔みたいに。
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その頃。
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里の外れ。
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ルクスは湖を見ていた。
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静かな水面。
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その隣へカインが立つ。
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「これからどうする」
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ルクスは少し考える。
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「分からない」
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いつもの返答。
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だが。
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「でも、知りたいとは思ってる」
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カインは黙って聞いていた。
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「なんで覚えてないのか」
「なんで生きてたのか」
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ルクスは湖面を見つめる。
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「なんか、まだ隠れてる気がする」
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カインが低く言う。
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「多分、お前の記憶は消されてる」
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ルクスが振り向く。
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「消されてる?」
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「普通じゃねえんだよ」
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カインは眉を寄せた。
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「お前だけ生き残った」
「記録も残ってねえ」
「覚えてるのは断片だけ」
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「そんな都合よくなるか」
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沈黙。
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カインは続ける。
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「俺はずっと」
「全部、自分の暴走のせいだと思ってた」
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氷狼。
崩壊した施設。
逃げる子供達。
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でも今は違う。
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「誰かが隠した」
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ルクスは少し考え込む。
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やがて。
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「じゃあ探すか」
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「簡単に言うな」
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「難しいのか?」
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「難しいから言ってんだ」
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カインが呆れたように笑う。
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その時。
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後ろからセリアが歩いてきた。
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迷いはまだ残っている。
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けれど、その目には覚悟もあった。
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「明日の朝、王国へ戻る」
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静かな声。
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でも、その一言にははっきりとした決意があった。
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ルクスは頷く。
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「分かった」
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止めない。
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セリアは少し困ったように笑った。
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「もっとこう……止めたりしないの?」
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「止めても行くだろ」
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「まあ、そうだけど」
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カインが鼻で笑う。
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「頑固だからな」
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「誰がよ」
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「お前ら全員」
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少しだけ空気が軽くなる。
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だが。
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次に訪れた沈黙は、少し違った。
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セリアが小さく聞く。
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「……そっちはどうするの?」
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カインがルクスを見る。
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ルクスは少しだけ考えてから答えた。
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「イグニスに会う」
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「……は?」
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あまりに自然に言うから、一瞬理解が遅れる。
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カインが頭を押さえた。
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「俺も最初そうなった」
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セリアは信じられないものを見る顔をした。
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「いや待って」
「なんでそうなるのよ」
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ルクスは真面目な顔だった。
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「魔王のこと知りたい」
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「だからイグニスに聞く」
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「絶対戦いになるでしょ!?」
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「多分なる」
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「分かってるならやめなさいよ!」
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カインが少し笑う。
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「でもまあ」
「前とは違う」
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セリアが眉をひそめる。
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カインは静かに言った。
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「今度は、倒すためじゃねえ」
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ルクスも続ける。
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「分かり合うために行く」
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風が吹く。
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その言葉に、セリアは少しだけ目を見開いた。
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以前の二人なら、絶対に言わなかった言葉。
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戦うことしか知らなかった二人が。
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今は、“知ろう”としている。
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セリアは二人を見る。
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そして少しだけ寂しそうに笑った。
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「……本当に別々になるのね」
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カインが肩を竦める。
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「まあな」
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「お前は王国側」
「俺達は魔王側を追う」
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「ちょうどいいだろ」
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セリアは小さく息を吐く。
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「簡単に言うわね」
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「簡単じゃねえよ」
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カインの声が少しだけ低くなる。
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「でも今は、それしかねえ」
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王国。
魔王。
境界。
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全部が繋がっている。
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だからこそ、別々の場所から見なければならない。
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セリアはゆっくり頷いた。
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「……分かった」
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少しの沈黙。
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「死なないでよ」
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「そっちも」
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「お前が一番危ねえだろ」
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「誰のせいよ」
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小さな笑い声。
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けれど。
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それは少しだけ、別れの匂いがした。
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やがてセリアが踵を返す。
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「じゃあ少し寝る」
「明日、早いし」
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その背中を、二人は黙って見送った。
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カインが小さく呟く。
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「変わったな」
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「誰が」
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カインは少し目を細めた。
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「全員だ」
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湖面が静かに揺れる。
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その奥で。
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白い少女が、静かに三人を見つめていた。
37話でした。これからの目的を決めていく回でしたね




