表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最弱テイマーは総てを溶かす  作者: コクトー
第四章 境界の外
PR
32/52

「導き」

32話になります。物語も中盤くらいですかね

朝靄の残る森を、三人は歩いていた。



雨の後の空気は静かだった。


鳥の声だけが遠くで聞こえる。



セリアはちらりとルクスを見る。



昨日のことが、まだ頭から離れない。



液状化した腕。


“ノクス”という名前。


そして、あの小さなスライム。



ルクス本人は、いつも通りだった。



「……平気なの?」



「何が」



「全部よ」



雑すぎる問いだった。



ルクスは少し考える。



「まあ」



「まあって……」



カインが前を向いたまま笑う。



「こいつに細かい確認求めるだけ無駄だぞ」



「分かってるけど!」



セリアが頭を抱える。



その時だった。



ぷるん。



小さな音。



三人の前へ、透明なスライムが現れる。



昨日の個体。



セリアが一歩下がる。



「……いた」



スライムはルクスを見上げる。



そして。



ぴょん、と跳ねた。



そのまま森の奥へ進む。



止まる。



また跳ねる。



まるで、“ついてこい”と言うみたいに。



ルクスが言う。



「呼んでるな」



「いや、普通についていく!?」



セリアが即座にツッコむ。



カインは腕を組む。



「……でもまあ、今さらか」



「カインまで!?」



だが。



カインの目は少しだけ鋭かった。



警戒している。



セリアもそれに気づく。



「危険かもしれないって思ってるのね」



「そりゃな」



カインはスライムを見る。



「昨日の声」


「あれ、普通じゃねえ」



ルクスが小さく呟く。



「ノクスかもしれない」



セリアの胸がざわつく。



まただ。



その名前を聞くと、妙に落ち着かない。



思い出せそうで。


思い出せない。



スライムはまた跳ねる。



ルクスは自然に後を追った。



「ちょっと待ちなさい!」



セリアが慌てて続く。



「罠だったらどうするのよ!」



「その時考える」



「考えてから動いて!!」



カインが吹き出す。



「無茶言うな」



「どっちの味方なのよ!」



少しだけ空気が軽くなる。



だが。



森の奥へ進むにつれ、空気が変わっていった。



静かすぎる。



魔物の気配がない。



いや。



違う。



“見られている”。



セリアが周囲を見る。



木々の隙間。


草むら。



何かがいる。



ぷる、と小さく揺れる影。



「……スライム?」



数が増えていた。



いつの間にか。



小さなスライム達が、こちらを見ている。



敵意はない。



ただ、見ている。



ルクスは少し目を細めた。



「なんか落ち着くな」



「私は落ち着かないんだけど!?」



カインが低く言う。



「妙だな……」



「何が?」



「スライムってのは、もっと弱ぇ魔物だ」



「こんな風に群れねえ」



その時。



先頭のスライムが止まった。



森の奥。



霧に覆われた道。



今まで見えていなかった道。



セリアが目を見開く。



「……こんなの、地図に」



ない。



スライムが振り返る。



まるで笑ったみたいに、少し揺れた。



そして。



霧の奥へ消える。



ルクスは迷わず進もうとする。



だがその瞬間。



カインがルクスの肩を掴んだ。



「待て」



声が低い。



フェンリルだった頃の空気。



セリアの背筋が伸びる。



カインは霧の奥を睨んでいた。


「……来るぞ」

32話でした〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ