「そのまま進む」
22話です。GWでちょっと予定が色々あり更新できていませんでした。申し訳ございません
森を抜ける頃には、日が少し傾いていた。
開けた場所。
風が通る草原。
三人は足を止める。
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「ここでいいか」
ルクスが言う。
「休憩?」
セリアが聞く。
「少しだけ」
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カインは近くの岩に腰を下ろす。
セリアは少し離れた場所に立ったまま、ルクスを見る。
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沈黙。
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「……さっきの話」
セリアが口を開く。
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ルクスは答えない。
水を飲むだけ。
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「終わりじゃないよね」
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カインが横から言う。
「まだやるのか」
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「やるよ」
セリアは即答する。
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「だって、分からないまま進むの?」
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カインは肩をすくめる。
「今までもそうだろ」
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「それとこれとは違う」
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セリアの視線はルクスに向いたまま。
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「ルクスのことだよ」
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少しだけ間が落ちる。
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ルクスが口を開く。
「危険かどうか、だろ」
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セリアが頷く。
「そう」
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「危ないなら止める」
「そうじゃないなら——」
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言葉を選ぶ。
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「知っておきたい」
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カインが鼻で笑う。
「止める気あるのか?」
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セリアは少しだけ黙る。
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「……ないかも」
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正直な答えだった。
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「使えるなら、使うでしょ」
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ルクスはそれを聞いて、少しだけ目を細める。
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「なら問題ない」
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あっさりした答え。
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セリアが眉をひそめる。
「いや、問題あるよ」
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「説明してない」
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「しても分からない」
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即答だった。
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「分かるかどうかはこっちが決める」
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少し強い言い方。
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ルクスはセリアを見る。
ほんの一瞬。
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「……スライムの力だ」
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短い説明。
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「それは知ってる」
セリアが返す。
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「でも“同じだから取り込める”って何?」
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ルクスは少しだけ考える。
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「線がない」
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「境目が曖昧だ」
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言葉を選ぶように続ける。
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「個体として扱ってない」
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カインが顔をしかめる。
「分かりにくいな」
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「俺も分かってない」
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ルクスはあっさり言う。
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「使えるから使ってるだけだ」
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セリアはその言葉を聞いて、少しだけ黙る。
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「……怖くないの?」
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ルクスは即答しなかった。
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風が吹く。
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「分からない」
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短い答え。
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「でも、止める理由はない」
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それだけだった。
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沈黙が落ちる。
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カインが立ち上がる。
「結論出たな」
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「出てないよ」
セリアが言う。
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「いや、出てる」
カインは続ける。
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「分からん、でも使う」
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「いつも通りだ」
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セリアは少しだけ息を吐く。
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「……雑すぎる」
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でも、完全には否定しない。
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ルクスが歩き出す。
「行くぞ」
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「ちょっと待って」
セリアが呼び止める。
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ルクスは止まる。
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「一個だけ」
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少し間を置く。
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「それ、暴走したりしない?」
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カインが笑う。
「いい質問だな」
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ルクスは少しだけ考える。
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「……分からない」
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またそれか、という空気。
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でも今回は違う。
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「だから——」
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ルクスは少しだけ振り返る。
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「そうなったら止めろ」
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静かな言葉。
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セリアが目を見開く。
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カインが笑う。
「簡単に言うな」
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「できるだろ」
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ルクスの返しは軽い。
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セリアは少しだけ考える。
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それから、小さく頷いた。
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「……分かった」
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完全な理解ではない。
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でも、決めた顔だった。
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カインも肩をすくめる。
「まあ、やるしかねえか」
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三人は再び歩き出す。
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さっきと同じ道。
同じ距離。
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でも、ほんの少しだけ違う。
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セリアはルクスの横に並ぶ。
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「次は、もう少しちゃんと説明して」
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「無理だな」
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即答だった。
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「努力くらいして」
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「考えておく」
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適当な返事。
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セリアは小さく笑う。
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完全には納得していない。
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でも——
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「まあいいや」
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前を見る。
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三人はそのまま進む。
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分からないものを抱えたまま。
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それでも、同じ方向へ。
22話でした。次回は明日かGW明けになると思います。




