「凍てつく想いと記憶」
第11話です。私事ですがようやくポケモンチャンピオンズマスターボール級までいきました。大好きなバンギラスと共にチャンピオン級になりたいです。
ほんとうに私事だな。少し控えた方がいいかな?
白。
世界は、完全に白に侵されていた。
森も、大地も、空気さえも。
凍りつき、音を失っている。
その中心で。
フェンリルは、壊れていた。
冷気が溢れ、制御を失い、世界を侵食する。
ただ存在するだけで、すべてが凍りつく。
「……っ、は……」
ルクスは息を吐く。
肺が痛い。
凍っているのか、焼けているのかも分からない。
(やめておけ)
頭の奥で、ノクスの声。
(このままでは勝てない)
「……分かってる」
(核を破壊すれば止まる)
「……ああ」
(だがその場合――個体は死ぬ)
「……ああ、分かってるよ……!」
苛立ちを隠さず吐き捨てる。
視線は逸らさない。
目の前の怪物から。
「……クソが」
低く漏れる。
「二回もやらせる気かよ……!」
その瞬間。
フェンリルが消えた。
「――ッ!!」
衝撃。
爪が胸を裂く。
血が舞い――凍る。
叩きつけられる。
(立て)
「……うるせえ……!」
無理やり起き上がる。
視界が滲む。
それでも立つ。
フェンリルが迫る。
振り下ろされる爪。
受ける。
――重い。
凍る。
腕が動かない。
(終わるぞ)
「……まだだ……!!」
歯を食いしばる。
押される。
潰される。
「……っ、くそ……!!」
その時。
脳裏に、よぎる。
笑ってる顔。
くだらないことで笑ってた、あいつ。
「……やめろよ……」
声が震える。
「……そんな顔で、来んな……!!」
(ルクス)
ノクスの声。
(干渉する。今なら届く)
「……やれ!!」
叫ぶ。
その瞬間。
足元のスライムが広がる。
氷に触れる。
――じゅ、と。
「……?」
音。
小さな、だが明確な変化。
氷が、溶けている。
(……待て)
ノクスの声が変わる。
明らかに動揺していた。
(これは……)
スライムが、揺れる。
その表面に、歪み。
ゆらり、と。
熱。
(あり得ない)
低く、はっきりと。
(私は熱属性を持たない)
だが。
触れた氷が、蒸発する。
白い霧が立ち上る。
「……なんだよ、これ」
(……お前だ、ルクス)
「は?」
(お前の感情に反応している)
一瞬の間。
(怒り、焦燥、拒絶――それが媒介になっている)
フェンリルが吠える。
冷気が爆発する。
氷嵐。
だが。
スライムが、燃えるように揺れる。
触れた氷を溶かし、侵食する。
「……上等だ……!!」
ルクスが踏み込む。
氷を砕きながら。
スライムが腕から溢れ出す。
液体のように。
だが、熱を帯びて。
フェンリルへと絡みつく。
「――ッ!?」
初めての反応。
フェンリルが暴れる。
冷気と熱がぶつかる。
蒸気が爆ぜる。
視界が歪む。
(接続する……!)
ノクスの声。
その瞬間。
流れ込む。
――記憶。
赤い。
焼ける街。
崩れる建物。
叫び声。
その中心にいるのは――
「……やめろ……」
ルクスの声が掠れる。
だが止まらない。
さらに深く、繋がる。
「……もういいだろ……!!」
叫ぶ。
「全部壊して、それで終わりかよ!!」
フェンリルが吠える。
だがその動きは乱れている。
揺れている。
壊れている。
「――カイン!!」
声が突き刺さる。
セリア。
震えながら、それでも叫ぶ。
「……カイン!!」
もう一度。
その名を。
フェンリルが止まる。
完全に。
内部から崩れる。
「……ぁ……」
音。
かすれた声。
「……カ……イ……ン……」
自分の名前を。
なぞるように。
呼ぶ。
氷が軋む。
熱が侵食する。
内側から、壊れていく。
(……今だ、ルクス)
「……ああ」
力を込める。
壊すんじゃない。
止める。
「……終わりだ」
その瞬間。
氷が、砕けた。
世界に、亀裂が走る。
フェンリルが崩れる。
力が、内側から消えていく。
その中で。
「……ル……ク……ス……」
確かに。
そう聞こえた。
戦いは――
終わりへと、崩れ落ちていく。
第11話でした。次回はこの3人の関係、そして過去を描いていきます。以前のセリアとの過去とも繋がるので是非お楽しみに。




