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6. 風


「未奈ちゃんは鏡を並べて、杏ちゃんは私の後ろに」

澱から目を離さずに城崎さんは呼びかけた

これ以上迷惑をかけるわけにはいかない

すぐさま杏が持ってきてくれていた鏡を拾い割れてしまった鏡と交換していく

少しでも早く終わらせて二人に加勢しないと

これ以上私のせいで死人が出るのは嫌だ


/


「城崎さん、私戦うの?」

正直言って不安しかない

戦闘の経験なんてないし運動神経だって普通だ

未奈と違って私は臆病だ

「大丈夫っすよ杏ちゃん、これ使って」

城崎さんは腰から取り出したそれを私に渡した

拳銃だった

ずっしりと重く黒く鈍く光っていた

「あんまり球入ってないから確実なときに使うんすよ」

そういうと城崎さんはそれに切りかかっていった

城崎さんが近づいた瞬間、澱は後ろに下がりながら手を前に突き出す

「、、、僕の邪魔するなら死んで」

ここら一体に強い風が吹く

舞った砂が目に入り思わず私は目を閉じてしまう

肉を切り裂くような嫌な音が耳に残った


次に目を開いたときに入った光景は

肩から血を流して俯いている澱だった

刀を振り、付着した血液を飛ばしながら城崎さんはこちらを向いた

「雑魚っすね、戦い慣れてない」


/


痛い

おかしい

ちゃんと翠華に言われた通りに風を出したはずだ

痛いよ

お前なら大丈夫だって

そう言ってたじゃないか

何だよあの女

風なんてもろともせず突っ込んできた

瞬きをした次の瞬間には肩に鋭い痛みが走っていた

聞いてないよこんなの

死にたくないよ


嘘をつく奴の命令なんて無視しちゃえよ、僕

自分が死んでたら意味ないよ?


僕の、風鈴の心の黒い部分がそう囁きかける

そうだ

自分のことが最優先だ

氷の少女が巻き込まれようとどうだっていい

僕が助かるために皆殺してやる


/


肩を押さえて俯く澱に標準を合わせる

これ以上の機会はない

当たってくれ

重い音を立てて白く光る弾が銃口から放たれた

次の瞬間

聞こえたのはカキンッと何かを弾く音とものすごい強風だった

思わず後ろに転げてしまう

え?何が起こった?

死にかけてた澱がそんなことをしてくるはずがないと思い油断してしまっていた

すぐさま起き上がる

目に入った光景は傷だらけで遠くに吹き飛ばされた城崎さんと

体中に細かい刃を纏っているような澱だった

何が起きたのかはわからない

でも最悪の状況であることだけはわかった

焦ってしまった私はそれに向かって残りの球を全部放ってしまった

でもそれはすべて弾かれてしまい私の攻撃の手段をナイフ一つにしてしまう

「え、ええ、、、?」

情けない声が喉を通る

そうしている間にも澱はじわじわと滲み寄ってくる

未奈は

壁に打ち付けられて気を失っていた

、、、もう無理?詰み?

私には、、、どうすることもできない?


これは儀式みたいなものだから


いや時雨さんはそう言っていた

これを終わらせれば何か起きるかもしれない

そのために城崎さんは未奈にその役目を託したんだ

まだできることはある

びびって何もできず死ぬくらいなら抗ってやろう

ビビりな自分とはここでお別れするんだ

「こ、こいよガキ、私が一人で相手してやるよ」

見た目通り子供だったのか

そんな挑発にかかり澱は一気に近づいてきた

その顔面に私は

拳銃を投げつける

ガッと鈍い音が鳴る

怒りに身を任せていたせいだ 守りがちゃんと取れていない

ざまあみろ

そのまま落ちている鏡を拾い未奈の続きの部分から並べてゆく

いつあいつが襲ってくるのか渡らない

それまでに少しでも

二人が起き上がるまでに少しでも


/


痛いな

流石に油断しすぎたか

かなり遠いところまで吹っ飛ばされていた

気も少し失っていたらしい

体を見ると細かい切り傷が多くみられる

覚醒したか暴走したか

何はともあれ元の雑魚ではなくなったようだった

「城崎さーん!助けてえええええ!」

声のした方を見るとナイフ一本で攻撃を受けている杏ちゃんがいる

あーやばい

私が気を失ってしまっていたばかりに

助けないと

、、、でも私が起きるまで一人で耐えたんだ

合格っすね

「あとは任せてください!」

すぐさま援護に入り攻撃を肩代わりする

「あ、ありがとうございます!私鏡並べに行きます!」

そう言って杏ちゃんは走り出した

いい子っすねあの子

可愛い

ここは先輩である私がいい所見せないと

出し惜しみはしない

顕澱 双桜

効果は単純、対象としている攻撃を二倍にするだけだ

でもこいつも斬撃を纏っている ちょうどいい

「実力比べと行きましょうか」


/


なんでだよ

こっちは殺す気でやってるのに

なんで押されてるんだよ

戦ったことなんてないからこのままじゃ物量差と実力差で殺されてしまう

嫌だ嫌だ嫌だ

翠華のやつ、こんな場所に僕を連れてきやがって

でもどう考えてもここから勝てる未来は見えない

こうなったら嫌がらせだ

翠華の計画をめちゃくちゃにしてやる

僕は悪くない

全部翠華が悪いんだ

心刺のジジイも一緒に困っちまえばいいんだ

死ぬほど後悔しやがれ


/


突然斬撃が止んだ

何か来るな、そう感じた私はすぐ受けの体制をとる

予想通り 澱は強風を飛ばしてきた

でも少し予想外だった

思った以上に風が強く後ろに倒れかけてしまった

攻撃受けられないっすね

でも澱は私に攻撃はしてこなかった

「!?」

澱は未奈ちゃんに向かって走っていた

こいつ、まだ目を覚ましてない未奈ちゃんを先に殺す気か

「それはマズいっすね、、、」

彼女が本当にただの人間ならこのまま殺されてしまう

でも銃は杏ちゃんに貸してしまった

遠距離武器がない

、、、今からなら間に合うか?

双桜の対象を斬撃ではなく攻撃範囲に変えたらまだ、、、

でも

全部杞憂だった

殺意を持って振り下ろされた風の斬撃は、彼女の足元から生まれた氷の壁に阻まれた

「はぁ!?」

想定外のことに驚いた澱はそのまま四方から生えた氷の槍に体を貫かれ絶命した

さっきまでの戦闘が嘘かのように音が消えた

でも未奈は目覚めなかった一瞬の出来事に私は言葉を失った

「、、、これは黒ですかね」


オマケ

避難

「はーいじゃあ僕についてきてなー」

「、、、、、はいお疲れさんでした、峠は越したで」

住民達「(、、、隣町への橋を超えただけで?)」

「あとは避難所となってる場所まで行くから着いてきてな、気抜いてええで」

住民達「(、、、ここからが峠じゃないのか、、、)」

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