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14. 滴り


薄暗い部屋で目を覚ました

周りからは消毒液の匂いがしており少し鼻に刺さる

首を動かし周りを見渡す

大きなライト

点滴のかかっていないスタンド

メスなどが入っているトレイ

ここで自分が寝ている状態に気づいた

すぐさま動こうとするが体とベットが何かロープのようなもので固定されており動くことができない

手と足はまた別で縛られており文字通り手も足も出ないというやつだった

「あ、起きたんだ」

声のする方向に首を向けるとそこには春花さん、いや春花さんの姿をしたそれがいた

「あんまり量が足りなかったのかな、結構多めに打ったつもりだったけど」

私の方を見ずに何かをいじりながら呟いていた

「お前、誰だよ」

動きにくい口を動かしそう尋ねる

「私?春花 小綿だよ?忘れちゃった?」

私は春花だ、それ以外の何者かに見えるか?

彼女が放った言葉はそんな圧があった

確かに見た目は彼女そのままだ

でも

春花 小綿はあの時、私を守るために首を切られて死んだ

いくら私が忘れっぽい性格でも

命を懸けて私を守ってくれた人のことは忘れない

「違う、春花さんは私を守るためにあの時死んだ!これ以上春花さんの体をもてあそぶのもいい加減にしろ!」

喉が張り裂けそうなほど大きな声で叫んだ

そんな私の様子を見てそれは笑った

「もてあそぶ、ねぇ、、、君が言う?」

、、、?どういうこと?

お前も同じだって、そういいたいのか?

「まあいいや、そうだよ私は春花じゃないよ」

そういうと彼女は首に巻いてあった包帯をほどき私に見せつけた

薄暗い部屋の中だったがその首と体を繋ぐ黒い糸がはっきりと見えた

「私は命花、薬の澱だよ」


/


「、、、これってどういうことなんすか?彼らはあの時死んだはずじゃ」

不安げな声だ

そりゃそうだろう

死んだはずの人間が今ここに

僕たちに殺意を向けて立っているんだから

「ゾンビ、とかかな?それにしては綺麗すぎるけど」

「、、、おーい、八村、有馬、返事してくださいっす」

しかし返事は帰ってこずゾンビのように不安定な動きでじわじわと近づいてきていた

「やっぱり元の彼らとは違うものとして考えた方がよさそうだね」

鎌を構える

せめて一発で楽にしてやろう

「じゃあね、二人とも」


/


「澱はどうやって肉体を得ると思う?」

彼女は私に背を向けながらそう聞いてきた

カチャカチャといった何かをいじる音が部屋に響く

「、、、人間を乗っ取るって言いたいの?」

死んだはずの彼女の体を使っていること

私の名前を知っていることからそう結論付けた

「んーまあ正解かな、正しくは死体を被るだけどね」

死体を被る、か

何かの準備ができたのか彼女はこちらを向く

「ねえシモ、私たちにつく気はないの?」

、、、シモ?

誰に向かって言っているんだ

でもこの部屋には私と彼女しかいない

じゃあ私に言っているのか、、、?

、、、?

私とこいつだけ?

「、、、ねえ、雫君は?」

「ああ、新しく作った薬の実験体にしたよ 死んでるかもね」

淡々とそう言い放った

そっか

やっぱりこいつらは欠けている

心が

「じゃあもういいよね?君も実験体になってもらうよ」

そういうと彼女は注射器を片手に一歩ずつ近づいてくる

その針の先から赤い液体が滴っている

逃げたい

でも強く固定されておりもがくことしかできない

「じゃあね、未奈ちゃん」

その時、扉を蹴破る音が聞こえベットが強い力によって壁のほうまで飛ばされる

「っ、、痛い、、、」

体中に痛みが走ったが衝撃のおかげで縄が外れる

壁に手をつきながら立ち上がる

そこには松野さんが刀を構え立っていた

その横には雫君がおり、同様に刀を構えていた

「お前、何でここがわかったんだよ 痕跡は残してないはずなんだけど」

少し焦りを見せた心花は私に目もくれないで松野さんに尋ねた

「感だ」

男らしく頼れるその姿は

お父さんと重なって見えた


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