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13. 電波


「松野さーん」

四階の探索を行いながら私は話しかけた

「黙れ、集中しろ」

「えー、ちょっとぐらいいいじゃん こういう時、喋んないと逆に怖くない?」

そう

怖いのだ

光はついている

機械なども動いている

でも人がいない

そんな気味の悪い空間にかなり長い間いるからか恐怖が込み上げてきてしまったのだ

「怖いなら帰れ」

冷たく鋭い言葉

「それはそれで無責任じゃん」

少しだけ松野さんの足が止まる

「猫宮、お前は何でここにいる」

「ん?」

松野さんから話しかけられるのは

「怖いくせになんで来てる お前はあくまで5番隊の監視対象なだけ 、、、ここに命を懸ける必要なんてないのに何故来ている」

私は少しだけ考えてから、答えた

「未奈が頑張ってるのに私だけダラダラしてるなんてできっこないじゃん」

あとは、、、

「それに、助けれるかもしれない命を無視するなんてできないし」

沈黙が落ちる

「馬鹿だな それで自分が死んだら意味ないだろう」

「確かに」

軽く笑う杏に松野は小さく息を吐いた

「だがそういうやつがいるから救える命がある」

私は少しだけ驚いた顔をした

「それ、褒めてる?」

「知らん」

そっぽを向いたまま返す

「そっか、じゃあ褒められたことにしとこ」

少しだけ頬が緩んだ

「ねえねえ、松野さんはなんで異案に所属してるの?」

少しだけ間があいたが彼は答えてくれた

「昔一番隊の隊長に助けられた その恩返しだ」

一番隊、、、ああ

未奈を殺そうとしていた人か

「じゃあなんで5番隊に?」

「時雨が好き勝手するから見張ってほしいって頼まれたんだ」

それって、、、

「面倒ごとを押し付けられたってこと?」

「ああ」

即答だった

思わず笑ってしまう

「俺はあいつの強さだけは認めるがそれ以外はクソだ 他人のこと簡単に見下すわ、部下の子と自分のおもちゃだと思ってるわ、、、」

、、、思ったよりひどい上司だな

「お前もあんな人間にはなるなよ」

そう言って松野さんは次の部屋の探索へと向かった

あんな人間にはなるな、か

「もう遅いんだけどな」


/


「四階には何もなかったですね」

五階につながる階段を上りつつそういう

街で見かけた目玉けむけむもいなかった

「一回あいつらと連絡を取るか」

そう言い松野さんは立ち止まり連絡を取った

でも

「繋がらない、、、猫宮、お前のは?」

すぐに取り出しかけてみるが繋がらない

「、、、刻之さんには?」

「ダメだった、何か通信障害のようなものをされているのか、、?」

、、、そこにいるのか

「何かそういう顕澱を持つ澱がいるのかもしれないですね」

「、、、すぐにそいつを見つけ出して叩くぞ あいつらの安否を確認する」

そう言って松野さんは走り出してしまった


五階には町で見たのと同じ目玉けむけむが壁や天井に張り付くようにして無数にいた

、、、微かに物音が聞こえる

右のほうだ

「松野さん!こっちです!」

おもいっきし反対側に走っていた松野さんに呼びかけ物音の鳴る部屋を開ける

おそらくそこは看護師や医師の作業場なのだろう

その部屋の真ん中に男がいた

ぼさぼさ髪の猫背、瘦せこけたその姿はニートを彷彿とさせた

暗い部屋の中、壁につけられたモニターとパソコンだけが明るく光っていた

「ひ、ひい!」

そいつは私に気づくと情けない声を上げ蹲ってしまう

「、、、なんだこいつは」

ちょうど到着した松野さんがそう言葉を漏らす

「多分こいつが原因です、それで一つ提案があるのですが」

蹲っているそいつを睨みながら言った

「生け捕りにしませんか?」


/


「あーなんで繋がらないんですか!?」

さっきから病院の四人と連絡が取れない

だが機械に異常は見当たらず原因が突き止めれずにいた

イラつくイラつくイラつく

あーもうこのテレビたたき壊してしまおうか?

いや落ち着け私そんなことそしたら、、、

自分に言い聞かせるように一度深く息を吐く

そんなかんなで怒りを納めようとしているとスマホが鳴る

「なんなんですかもう、、、はい!なんですか!」

『あーよっくん、聞きたいことがあるんだけど』

、、、時雨隊長か

「はい、なんですか?」

『八村と有馬って殉職したよな?』


/


「理由は?」

「あいつに戦闘能力があるようには見えない、気も弱そうだから何か情報を聞き出せるかなって」

一瞬松野さんは考え込む

「あいつに渡して分析させるのもありか やるぞ、その作戦」

松野さんが一歩踏み込んだ

その時目の前の澱は情けない声で叫んだ

「お、お前たちぃ何とかしろぉ!」

その瞬間先ほどまで外にいた目玉けむけむが一斉に襲い掛かってくる

「猫宮!避けろ!」

その攻撃を避けるため横に飛ぶ

避けた先の壁には無数のモニターがあった

そのには町の各所の様子が映し出されていた

、、、壊すか

私はナイフを取り出しその画面に突き立てた

「あ、あー!何してくれてんだお前!」

蹲っていた男はこちらに駆け寄りモニターを確認する

しかし液晶を大きく破損したそれはもうモニターとしての役割を果たさなかった

「なんかよくわかんないけど、、、助かった?」

「猫宮、よくやった」

後ろを振り返るとそこには目玉どもをすべて潰した松野さんがいた

そのまま男の首に一撃を入れる

大した抵抗もなくそいつは倒れた

「松野さん、ありがとうございます」

背中の痛みを我慢しつつ立ち上がる

その時スマホが鳴った

『あーあー聞こえてますか!?』

刻之さんだ

「ああ、聞こえているどうした」

『すぐさま地下に向かってください!水溜君と二星君は今いつ命を奪われてもおかしくない状況です!』

その声からとてつもない焦りが見える

「わかった、すぐ向かう」

「猫宮、俺はすぐ地下に向かう お前はそいつを拠点まで連れて行ってくれ」

そう言い残し松野さんは先ほどよりも早く走っていった


、、、今か

耳から連絡用のイヤホンを落とし、踏みつぶす

バチッと嫌な音を立ててそれは確実に壊れた

「おいお前 炎狐に繋げ」

私の声にそいつはすぐ目覚めて言う

「、、、へえ、お前があの方の器か」

その男は先ほどまでとは違う蛇のような眼をしていた


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