10. 珈琲
「まって、長くなるだろうし僕珈琲用意してくる」
刻乃さんの話を遮り、時雨さんが立ち上がる
「ああ、なら私が入れてきますよ、皆さん少しお待ちください」
刻乃さんは普通にすっと立ち上がり部屋の外へいった
、、、重くないのかな、テレビ
彼が出て行ったあと部屋には気まずい空気が流れた
特に松野さんからは常に鋭い視線があった
正式に5番隊になった
でも殺害の容疑がかけられていた、いや今もかけられているか
そんなやつがいきなり仲間だって言われても納得できないか
私だってそうだろうな
何分経ったんだろう
彼が戻ってこない
雫君に肩を貸しっぱなしでそろそろ私も疲れてきた
杏に至っては立ちながら寝ている
さすが寝坊常習犯、寝ることに関してはお手の物ってか
そう考えていると扉は、、、開かないのかよ
、、、いつ来るんだろ
20分ぐらいたったころだろうか
杏のいびきがうるさく感じてきたころようやく彼が戻ってきた
「皆さんお待たせいたしました、ようやく納得のいくものができましたよ」
お盆に人数分の珈琲を乗せテーブルに並べていく
「てかなんで皆座らないの?疲れない?」
、、、時雨さん
座っていいならそう言ってくれ
/
「次の作戦は病院と住宅街の探索、そして生存者の保護です」
刻乃さんは珈琲を片手に話始めた
心波町は大まかに分けると山、住宅街、工場地帯で構成されている町だ
病院は駅周辺に立地している
「病院は先日3番隊がこの事件に当たっているとき探索ができていない場所となっています」
事件が起こったのは4日前
避難できずに病院に取り残された人は無事だろうか
「病院にも避難の連絡はあり避難している人もいるのですが行方が分かっていない人も多い状態にあります、住宅街は避難し損ねた人がいないかの確認ですね」
その時ようやく目覚めたらしい
杏が情けない声を出し起きた
「んあ、、、?」
誰も起こしてあげなかったからな、、、
「未奈さん、猫宮さんは松野さんと一緒に病院の方の探索を、隊長と城崎さんは住宅街の探索をお願いしますね、水溜君は傷がまだ治りきっていないのでここで様子見ですかね」
「嫌です、俺も同行させてください」
傷だらけだというのに雫君は強く答えた
「、、、死んでも知りませんよ?じゃあ病院の探索をお願いします」
「ありがとうございます」
彼の表情は初めて見た時と違って見えた
誰が見てもその決意を感じ取れるようなそんな目をしていた
杏は寝ていたせいで状況が把握しきれておらず慌てた顔で私に聞いた
「ごめん未奈、説明お願いでき、ふぁ、、、」
呆れつつもテーブルの上の珈琲を彼女に渡し言う
「これ飲んでまずは目覚ましなよ、、、」
「んあ、、、」
/
「武器の希望、ですか?」
「そ、作戦は明日行うからそれまでに用意しとくよ」
あの会議の後、時雨さんにそう聞かれた
といっても使いたい武器か
「じゃあ、剣で」
一応中学校の時は剣道をやってた
体験の一週間だけだが
先生に習った方がいいと言われたがまあいろいろ忙しい時期だったし
ぶっちゃけてしまうと興味がない
お父さんに何か打ち込めるものを作りなさいって言われたから行ってみただけだったから
でも適性があるならそれがいいかな
そう思ったからそう言った
「俺は前使ったやつと同じのお願いできますか?」
「私はナイフをたくさんお願いします」
「わかった、今日中に用意しておくよ、あとは明日に備えてゆくっりしときな、開いてる個室ならどこ使ってもいいよ」
バーの裏口を開けるとそこはいくつかの個室につながっている廊下だった
「トイレは会議室だし裏口は個室って、、、意味わかんないね」
珈琲のカフェインの力でしっかりと目が覚めた杏は個室の扉を開ける
「うわひろっ」
一人部屋にして広すぎる部屋だった
生活に必要なものはあらかたそろっており使う前から快適だと分かるような部屋だった
「ベット、、、すご」
少し楽になり一人で歩けるようになった雫君はベットを見て少し興奮していた
家では布団だったのかな
「じゃあ私も部屋探してくるね」
杏の部屋を後にし、隣の部屋を開ける
男性物の服が散らばっており懐かしい香りがする
これは、、、お父さんがよく使っていた香水の匂いだった
/
「うわぁ、、、すげぇ」
広い、清潔、ベットある
こんな快適な部屋を使っていいのか、、、
ガキみたいに興奮してしまっている俺がいる
衝動に身を任せベットに倒れこむ
感じたことのないその感覚に俺のテンションはぐんぐん上がっていく
やべぇ最高だわ
、、、明日か
前はうまくいった
でも今回もうまくいくとは限らない
死ぬかもしれない
「、、、死にたくねえな」
あいつが目覚めるまで死ねない
/
部屋に戻った私はシャワーを浴びながら少し前のことを思い出していた
「じゃあ質問や、二星 未奈は澱なんか?」
「はい、うちの変態テレビが言っていたので間違いないかと」
「でもお前、上のやつらに澱じゃないとか言ってなかったか?矛盾してへん?」
「それはあいつらの仲間じゃないっていう意味です」
「んでどうなんすか変態テレビ」
「テレビ呼びやめてください、彼女は人でありながら澱です」
「ちょっと何言ってるかわかんないっす」
「君たちが遭遇した澱、あれは澱と人が混ざっているようなものでした、二星 未奈は普段はただの人です、でも能力を顕現させている時だけ澱であると私の目が認識したんですよ」
「へえ、面白そうだね」
「他人事みたいに、、、まだ完全にこっち側の仲間と決まったわけではないです、引き続き警戒を」
「、、、いわれなくてもしている」
「松野さん、お願いしますね」
彼女は私から見たら完全に人だ
ただ能力を使った刻之が澱の反応を確認したといってる
、、、もし隊長やバカテレビ、松野さんが彼女を敵だと認めても
「私は、必死に仲間のために戦う彼女を敵だとは思えないっすね」
/
私は時雨さんを探すため部屋を出た
あの部屋はきっとお父さんがもともと使っていた部屋だ
、、、できるならばあの部屋がいい
少し速足で会議部屋まで行く
扉は少しだけ開いており中から会話が聞こえてきた
「どう?解析できそう?」
「、、、いえ、そもそもこの事件にあたってからまだ4日しかたってないんですよ?澱のサンプル等ないと彼女が本当に澱であるのかわかりませんよ、、、」
時雨さんと刻之さんの声だ
もしかしたら聞いたらいけない会話かもしれない
そう感じた私は忍び足でその扉から離れようとした、が
「おい、入ってこい」
、、、バレてる
恐る恐る扉を開ける
「あちゃー聞こえてた?」
時雨さんと刻之さん、そして松野さんがまだ部屋に残っていたようだ
「、、、すみません」
「別に隠し事ではないので大丈夫ですけどね」
「んで、何の用事できたの?」
「あの、、、お父さんの部屋使ってもいいですか?」
少し沈黙が流れる
「うん、いいよ」
「あ、ありがとうございます」
てっきりダメと言われると思っていた
「じゃあ私はこれで」
何か話しているみたいだったしこれ以上邪魔をするわけにはいかない
「二星」
松野さんに呼ばれ思わずびくっとなってしまう
「お前は人か?澱か?」
、、、、、
何なんだろうな私って
大切な人を守れずに、自分の役割も果たせない
私のせいで多くの人も死んでる
私って「人」なのかな
「、、、、、」
返答をできず私は部屋を後にした
部屋に散らばっている衣類を拾い上げ布団の上に集める
部屋にあった雑巾で床を拭きあげる
机の上の書類等をまとめて一か所に置く
ある程度きれいになったところで布団に身を投げる
、、、懐かしい匂い
今はそれが心地よく
そして苦しい
「お父さん、会いたいよ、、、」
おまけ
【材料】
珈琲豆 …… 20g(焙煎から5日以内推奨)
湯 …… 300ml(92℃)
時間 …… 約4分
静かな環境 …… 必須
【下準備】
珈琲豆を正確に量る
誤差 ±0.2g まで許容
※量が曖昧だと、味に不要なノイズが発生する
豆を中挽きにする
粒度を揃えること
揃っていない場合、抽出にムラが生じる
【手順】
① 蒸らし(0:00–0:40)
粉全体が軽く湿る程度に細く静かにお湯を注ぐ
完全に浸さないこと
40秒間、待つ
② 本抽出(0:40–3:30)
円を描くように、一定の速度で注湯を開始
中心から外へ、外から中心へ
音を立てないこと
滴下間隔を観測
乱れが生じた場合、注湯を一度止める
③ 仕上げ(3:30–4:00)
最後の一滴が落ちるまで見届ける
途中で切り上げない




