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11/11

11. 大丈夫だよ


窓の隙間から漏れる光で私は目覚めた

布団は乱れており、枕は湿っていた

目の周りが痛い

昨夜、泣いたんだったな

もう会えないってわかってるのに子供みたいに泣いて、、、

その時隣の部屋から壁を叩く音が聞こえた

「未奈、大丈夫?」

、、、杏か

「うん、なんともない」

壁越しにそう伝える

「うそつき、夜ずっと泣き声聞こえてたよ」

正直に言わなかったからか

少し不満を含んだような声が返ってきた

「、、、ごめん」

「何があったの」

「、、、私のお父さん、3番隊の隊長だったんだ でも私を助けるために死んじゃって」

トン、と壁に何かが当たるような音が聞こえた

壁にもたれかかったのだろうか

「この部屋お父さんがもともと使ってた部屋らしくてさ、それで昔のこと思い出しちゃって」


/


中学生の時だったか

しょうもないことでお母さんと喧嘩をしてしまって家を抜け出したことがあった

あの時はまだ子供だったな

後のことなんて考えずに感情に任せて走ってた

学校でも子供だけじゃ行ってはいけないって言われていた柊木山まで走った

そして迷子になった

真っ暗な夜に木々の茂っている山なんかに入ったらそりゃ迷子になるに決まってる

静けさの中時々聞こえる動物の声が私の精神を追い込んだ

帰ろうかとも思ったけどもう帰り道すらもわからないほど迷ってしまっていた

途中、階段を見つけた

上に上がれば自分がどのあたりにいるのかわかるかもしれない

そう思って震える足を前に出した

上がり切ったそこには神社があった

寂れていて当分人が入っていないのがわかった

そのすぐ近くには展望台があった

疲れがあったがすぐに走った

ここからは商店街から見えていた

夜になり光もぽつぽつとしか灯っていない

その時首筋に冷たいものが当たった

雨が降ってきていた

慌てて神社の軒先に行った

初めはシトシトと降っていた雨だったがやがて強くなり家に帰ることはできないくらいの大雨になってしまった

何かの生き物の声も聞こえてきておりもう限界を迎えそうだった

その時だったな

お父さんが私のことを見つけてくれたのは

大雨の中傘もささずに

仕事終わりで疲れているだろうに

私は泣きながらお父さんのもとへ走り飛び込んた

少し鉄臭い、でも懐かしい匂いだった


/

「ちょっと悲しくなっちゃっただけ」

まただ

涙が頬を伝ってゆく

散々昨日泣いたのに止まらない

「私も小さいころにお母さんを亡くしてさ」

、、、今更気づいた

壁越しに泣き声が聞こえていることに

「私をかばって交通事故で死んじゃった」

「、、、辛くないの?」

少しの沈黙のあと、杏が答える

「辛いよ、私のせいだもん」

同じだ、と思った

「でもね」

杏の声は、少しだけ柔らかくなった

「あなたを必要としてくれる人がきっといる、そう言ってくれたから今私は頑張れてる」

すごいな

私みたいに過去にとらわれず、進んでいってるのは

「きっと未奈のお父さんも思ってると思う、未奈が皆の光になってくれること」

辛いのに

苦しいのに

少しだけ、あたたかい

「ありがと、杏 おかげですっきりした」

やっと心の靄が少し腫れた気がした

「もう大丈夫だよ」


/


よかった

大丈夫だよ

そう未奈が言ってくれて

、、、お母さん

私を必要としてくれる人見つけたよ

桃色の髪のねバツ印の髪留めを付けた女の子

お母さんのあの言葉のおかげで

今未奈を励ませてるんだ

ありがとう


/


「はいこれ、昨日言ってたやつ」

時雨さんたちと合流したあと私たちは武器を受け取った

渡された剣は木刀と同じくらい軽かった

白く透き通るような刃はまるで薄い板のように見えた

グリップがついており握りやすく

まあなんか未来っぽいデザインの剣だった

それぞれ渡されたカバンの中に荷物を詰め会議室に向かう

机には珈琲が人数分並べられておりその隣にかわいらしいサイズのパンが添えられている

珈琲からは湯気がゆっくりと立ち上っている

入れたてなのだろう

机に並べられていたパンに手を伸ばす

触れると少しだけ温かい

ひと口かじるとほんのり甘い味が広がった

おいしい、はずなのに

上手く味が入ってこない

、、、やっぱり完全には恐怖が消え去ってないんだな

隣では杏がもくもくと食べていた

さっきまで寝ていたとは思えない勢いで

雫君は無言でゆっくりと口に運んでいる

少し笑いながら

誰も、あまり喋らない

この後のことを考えているから、、、か

少しでも気を紛らわそうと珈琲を飲む

苦みがはっきりと舌に残った

やがて皆が食べ終わったころ刻之さんが切り出した

「私は戦うことはできませんが皆さんが死なないようにすることは長けています、どうか生きて帰ってきてくださいね」

刻之さんの言葉を聞いて少しうれしくなった

生きて帰ってきて、か

「はい」

こんどこそ皆に迷惑をかけない

私が皆の希望になる

おまけ

「よっくん、なんでトイレが会議室なのさ」

「知らないですよここ4番隊の拠点ですし、、、」

「てか本物のトイレどこにあるんすか?さっきから見つかんないんすけど」

「、、、酒の棚のとこにボタンがあってそれを押したら下に下る階段が出てくる、そこにある」

「ここ作ったやつ頭おかしいんすかね」

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