episode 162
『もちろん婚約リングは買うし、これからは俺と恋人として付き合ってくれるんだよね?』
「う。はい」
『なにその。う。? ははは』
「そういえば、指輪のサイズって、どうして知ってたんですか?」
『ああ、あれはね。ずっと前に会いに来てくれた時、一緒にベッドで眠ったでしょ。その時に腕まくらしつつ、手を握ったの、覚えてる?』
ジェインの体温や指を絡めたこと、思い出してしまって、身体が熱くなる思いがした。
「は、はい」
『その時、にぎにぎして俺の指でサイズを測りました』
「……すご技ですね。でも思い出すと、なんか恥ずかしいです」
顔を隠した指に、キラリとリングが光る。それを見て、ジェインは満足そうだ。
『ふふふ。あのさ、この前来てくれた時に壱花ちゃんに貰った俺の似顔絵ね。俺、あれ見て、確信したんだ。今度こそ告白すれば、俺と恋人になってくれるってね』
「えっと、はい。心を込めて描きました」
ジェインに感謝の意を込めて、自分にできること、似顔絵を描こうと心に決めた。ジェインとのデートを思い出し、美術館でステンドグラスの窓を見上げているジェインを題材にしようと思った。
金色の髪が、ステンドグラスから溢れ落ちる陽の光によって、きらきらと輝いていて。美しかった。その佇まいも。ジェインという存在のすべてが。
「あの時のジェインさんの姿を、いつか描きたいと思っていたんですけど……」
思い出を巡りながら描いているうちに、心を込めるようになってしまった。
溢れてくる、ジェインを好きだという気持ち。そして、想いが届くようにと、ペンに愛しさを込めた。
『あのイラストを見た瞬間、俺は壱花に愛されているって、直ぐにわかったよ。まあ前からわかってはいたんだけどね、あれ見て確信に変わったんだ。だから、今日プロポーズをしてみたってわけ』
「はい……けけ結婚を前提にお付き合いするってことですね」
『んーー正確には違うんだ。なんて言っていいかな。俺としては本当に結婚して欲しいんだけど』




