episode 155
総務部には大きなモニターがあり、年頭の挨拶や訓示なんかでよく使われている。
アップで映ったのは、やはり玉田ゼネラルマネージャー。そこにジェインの姿はなかった。
「おはようございます。今朝のお知らせはビッグニュース過ぎて、皆さんマジで驚かれたことでしょう。うちのCEOだった草壁ジェインはこの度、辞任に加え辞職することになりました。私が後任を任され、CEOに就任します。これからもどうぞよろしくお願いします」
深々と頭を下げる。その間、総務はしんと静まり返っている。驚きを隠せない人々。二の句を告げられない雰囲気は続く。
壱花はそろっとモニターから視線を外した。
すると営業部の面々の中の弥一と目が合ってしまった。弥一はなにかを言いたそうにして、口をぱくぱくさせている。どうやら今回のジェインの辞任劇を知っていたのか? と訊きたいようだった。
ふるふると首を横に振った。
「そんなわけですが、皆さんにはこれからのSOTの発展のためにも、力を貸してもらいたい。私ひとりではなにも出来ないし、なにも成し遂げることはできない。今の今まで高い志を持ち、仕事に邁進してきてくれてありがとう。そしてこれからも同じ道を歩く同志として、お互いを尊重し高め合っていきたい、そう思います」
ぴりっと空気が変わった。
「お互い、かっこいい人間になりましょう!」
わははと玉田がおおらかに笑い、そしてそれに合わせるように拍手が上がった。
(ジェインさんがどうされたのかの話はあるのかな)
心配は続く。玉田の話も続いていった。
「ただ。我がSOTには、以前から大きな弱点がありました。それは、企画力の弱さです。みなさんも知っての通り、うちは営業部が企画を兼任していて、腰の重い思いをされていると思います」
ざわっとした。もちろん営業の人たちの方からだ。常日頃からの指摘や不満が表面化された瞬間だった。
「そこで我が社はフットワークをさらに軽くするためにIT企画会社、J-Planningと提携を結び、企画はそこに任せることにしました」
さらに、ざわりと声。
「J-Planning? 聞いたことないな……」
「企画を外注できるなら、俺らは助かるけど」
玉田が、ごほんと咳払い。それから意味深にニヤリと笑いながら、鼻を掻いた。
「それでは、J-PlanningのCEOを紹介します。草壁ジェインだ」




