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152/163

episode 152

むぎゅと、されるがままになっていた壱花が、この突然の行動に驚きながらも、「ジェインさんのご家族の方ですか?」と訊いた。

「姉よ!!」

がばっと後ろへ退く。

「私、レイラよ」

「初めまして。柊 壱花と言います。SOTの広報部のイラストレーターです」

「知ってるわ。こちらこそよろしく!」

ジェインの姉だと知った途端に苦しみから解放された。良かったと、ほっと胸を撫で下ろす。それだけに、いかに自分がジェインに惹かれているのかを自覚した。嫉妬で焼け焦げた部分を口にしてしまったのか、同時にほろ苦い味もした。

(ああ。もうこんなにも、ジェインさんが好きなんだ)

「申し訳ないけど、ジェインはまだ帰ってきてなくてね」

「はい」

あ、と気がついて、警備員を見る。事の次第を見て、警備員は先ほど預かった紙袋を渡してきてくれた。

「はい、これね」

「ありがとうございました」

丁寧に頭を下げて、受け取る。

「不在だとはわかっていましたので。それであの、これチーズケーキなんですが、よ、良かったら召し上がってください」

「ありがとう。もちろんジェインに渡すけど、私もいただいていいかしら?」

「もちろんです! えっと……お口に合うか、わかりませんが」

「嬉しいわ! 引越しの準備で肉体労働ばかりしているから、甘いものが欲しかったのよ」

「お引越しされるんですか?」

「ジェインがね! あの子、忙しいからって私にばっかり引越しの荷造りやらせてんのよ……荷物が少ないとはいえ、もう3日もこのスタイルよ!」

エプロンの裾を持って、ぴっと引っ張り主張する。

驚いてしまった。

「え? ジェインさん、引越すんですか?」

「そうよ。壱花ちゃん、聞いてない?」

「き、……聞いてません」

「あらららら、内緒だったのかしら。実は私も引越し先がどこなのかは知らないんだけど」

ショックで持っていたカバンを落としそうになった。昨日もLINEはしたが、そんな話はなかったから寝耳に水な話だ。

(もしかして内緒で……)

フェードアウト。

思考が悪い方へとスタートしてしまう。

レイラが慌ててエプロンを脱いだ。

「余計なことを言ったわ。ごめんなさいね」

優しげな表情を浮かべ、壱花の髪をそっと撫でた。

「大丈夫よ。ジェインが考えることに悪いことはないはずよ。だってジェインったらあなたに相当夢中なんだもの」

呆然とした中でも、壱花はなんとか返事をする。

「……そんなことはないと思います」

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― 新着の感想 ―
[良い点] レイラ姉さん!! 恋のキューピッド降臨!! [一言] お願いします。壱花ちゃんを支えてあげて下さい。
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