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27 女神様の呪い(2)

◇◇


認識阻害(ヴェイル)だなんてものが存在するとは。信じられません。聞いたこともない」


今度はストレートに思ったことを伝えた。


「ノルドは早々に女神信仰を捨てましたからね」

「そんな捨てたなどと。ただ形式的にはなっています」

最後のほうは声が小さくなった。

「いえいえ、その決定は正しくもあります。ランベルトもそうですがいくつかの国は女神信仰に傾倒しすぎて、国崩れが起きています」


「呪いとは魔術のようなものなのですか」

「人がもともと持っていたけれど衰退してしまった力と言われています。無い方が平和だから衰退したんです。人の精神に働きかけたり、人の心を露わにしたりするものが多いですから。それを使うには『修行』が必要になるそうです。眉唾ですけど」


私はこの話の中でずっと疑問に思っていたことを聞く。

「あの、私はミラを最初から可愛いと感じました。ということは本当のミラはもっともっと可愛いということでしょうか」


言い終わるとスティルトは大笑いした。あまりに笑うので私は苛立ちを覚える。

「教えてあげるつもりは無かったのですが。気に入りました」

浮かんだ笑い涙をスティルトは指で飛ばす。

「おそらくミラのほうが惚れたらヴェイルは無効なんでしょう。恋に落ちれば、精神強度で負けるので」

「いや初対面からなんです」


スティルトは悲しげに眉を寄せる。

「であれば、本人が自覚的かどうかは別としてミラの一目惚れでしょう。まだ言葉が欲しいんですか。私がここまで親切に言ってあげてるのに」


言われて顔が熱くなる。

ミラにそんな素振りがあっただろうか。鋭い目で睨みつけられていた記憶しかない。


「あとこの辺りの王族は女神様の子孫ですから。かからない人がたまにいます。貴方は直近で王族の血が入っていたりは……無いですよね」


私は首を横に振った。そしてベルナデット様の言動を思い返していた。思い当たる節はある。


それからミラージュから聞いた話も思い出された。私はスティルトにミラージュから聞いた話を伝えた。三種類を組み合わせた文字のことはわからないと言っていたが「こっちのほうが可愛いから」と連れて行った貴族のくだりに引っかかっていた。

その相手にミラが惚れた可能性も無くはない。でもそれなら国を逃げ出したりするだろうか。その後、その貴族とはうまくいかず生き別れになったのだろうか。

「ミラが惚れた説もありますが」

スティルトは声をひそめて続ける。「その男がお忍びで来ていた王族か。もしくは王族筋の隠し種とか……?」


「『こっちのほうが可愛いから』なんていう男に、ミラは惚れない気がするんですよね」


そう言ってスティルトは私のほうを見た。



◇◇


本編外小話


◇◇


「ノルドは従兄弟も婚姻が禁止されていますよね。ランベルトは少し前まで叔父叔母との婚姻も条件を満たせば可能でした。そうやって呪い使いの血を高めていったのです。

身の近すぎる婚姻はときどき化け物を生み出します」

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