22 カラヴェラ商会(2)
商会の若頭セルジオ・カラヴェラは
「休戦中とはいえ、さすがに敵対国の侯爵様を送るのは」
とうんうん唸っていたが、腹を決めたらしく
「今回の件、会頭には伝えません。私の独断で行ったこととしてください。商会に不利益がないようご一筆をお願いできないでしょうか」
と交渉してきた。私は快く承諾する。また危ない橋を渡るのだからとこの男は前金を言い値で仕切った。さらにセルジオは付け加える。
「次の便は私も同行します」
めちゃくちゃ不安だから、とのことだった。
セルジオは第一印象とずいぶん違った。仕事はものすごくできるし、思い切りがよく、職責も強かった。
この件が終わっても仲良くしたいものだと思ってそう伝えたら
「えっあの、レオン様なら本当にいつでも俺は全然大丈夫です」
と照れていた。「仕事で」と付け加えると「ああ…仕事で…」と若干がっかりした表情を見せる。
仕事はすごくできるのに、セルジオはなんというかこう恋愛脳というのか、恋愛関係で身を崩すタイプなのか?
私とは正反対で少し眩しかった。
部屋を出る前に、ヴィオレットは距離を保った挨拶をくれた。
そうなるとこちらから歩み寄りたくなる。娼に転がされているかもしれない。
「今日は助かった」
と声をかけると
「お近くの領主様とは聞いていましたが。近くというかこの辺り全域じゃないですか…」
となじられた。
「落籍が希望だったか?」
「いえ私は」
ヴィオレットがこちらを見つめる。
「ただ貴方様に惚れただけです。良い夢を見られました」
「そうか」
「お戻りになってくださいね」
「戻れたら顔を出そう」
そう言ってから、戻れたということはミラも一緒だから、きっとここに顔を出したらものすごく揉めるのではないか、ということに気がついた。




