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第48章 赤坂サナエ VS 加古川ハルク

赤坂サナエはナツが川に流されていく様子を見ていた。


そして、すぐに子分に助けるように命令した。

「ナツ様の救助を頼みます。先日の増水で危険な状態ですので、気を付けてください」

「了解しました」

そう言って、サナエの子分は川の方に走っていた。


そして、赤坂サナエはゆっくりと、加古川ハルクに近づいた。


だが、ハルクはサナエの存在に、すぐに気が付いた。

「ほう、赤坂サナエか……。まあ、ようワシの子分をぎょうさん殺してくれたわ。覚悟はできてんかい?」

そう言って、ハルクは病院の玄関前に、倒れている自分の子分たちを見た。


ハルクは網代から預かった子分を死なせてしまって、激しい怒りを抱えていた。それはサナエも一緒であり、自分の子分が殺された怒りに震えていた。


なので、サナエはハルクを睨みつけた。

「ウチも4人も死にました。お互い様です」

「赤坂組の若い衆と、網代組の若い衆の命を同じにすんなや。天王洲会の若い衆を100人も殺さないと割にあわんで……。話は変わるが、ワシはアンタとは殺し合いをしたくなかった。せやけど、親分の命令は絶対や」

そう言うが、ハルクは強い相手と戦えるので、どことなく嬉しそうな表情をする。


サナエはため息をつく。

「ふう、正直言うと、私もアナタとは戦いたくありませんでしたよ。お互いの実力は分かっているでしょう? どちらが確実に死ぬでしょうね」

「せやけど、アンタも親が殺せって言う以上は、戦わないとアカンやろ?」

「ええ、そうみたいですね。そろそろ、警察が来ますよ。早く、ケリをつけましょう」


それから、サナエは両手に持っているサバイバルナイフを見せつけた。これで、ハルクを殺すと意思表示しているのだ。


ハルクも両手の拳の骨をパキパキと鳴らす。

「ワシはオヤッさんから、預かった大切な子分を死なせてしもうた。だから、アンタの命を殺らないと、オヤッさんと顔も合わせられんわ。ここで、死んでもらうで」

こうして、天王洲会最強の男と女が殺し合いを始めたのであった。


サナエは軍服の上着を脱ぐと、動きやすいタンクトップにジーンズ姿になった。そして、髪も一本に絞った。それから、両手にサバイバルナイフを持つ。


ハルクも警戒しながら身構える。サナエの恐ろしさを知っており、殺される可能性を減らす為だ。


サナエの武器はナイフとボクサー並みのフットワークとスピードである。それに対して、ハルクはパワー系であり、プロレスのような体格が武器である。


筋肉の上に筋肉があり、ほとんどの攻撃は通用しないが、人間である以上は急所を鍛えられない。なので、サナエはハルクの急所を刺せば勝ちである。逆にハルクはサナエを捕まえてしまえば勝ちだ。


だが、強者であるがゆえに、お互いの弱点も分かっているのだ。だから、中々と動けない膠着状態になる。そうひとつの判断のミスが、命取りになる戦いなのだ。


まず、最初に動いたのはサナエであった。ハルクの横にまわり込んで、素早くナイフで脇腹を切りつけた。しかし、ハルクは防弾スーツを着ており、ナイフの刃も通さなかった。


サナエは思わず、舌打ちをした。

「ちっ、防弾スーツですか……」


この防弾スーツは特注であり、オーダーメイド製で700万ギルもするものだ。網代ケンと加古川ハルクは、このNASAで開発された防弾スーツを愛用しているのだ。


マグナム弾も防ぎ、刃物を通さないので、アメリカ大統領のボディガードも愛用をしている。元々は宇宙服の開発から、誕生したシロモノであった。中々の重さであるが、怪力のハルクにとっては、普通のスーツと同じ感覚であった。


ハルクは横にいるサナエに右裏拳をぶち込んだ。しかし、サナエはジャンプをして、その右手の上に乗った。そして、ハルクの後ろ首筋に向けて、ナイフを振り下ろした。


だが、ハルクは頭を屈んでナイフを避けた。

「ガハハ、殺しの集団の赤坂組の若頭だけあるわな。刺されたかと思ったで?」

「ええ、アナタも中々です。だけど、右耳を掠りましたよ」


ハルクはハッとした表情になり、右耳を手で触った。すると、指の隙間から、血がダラダラ流れ出した。


ハルクは血の付いた手を舌で舐める。

「ほう、さすがやな。もう少し避けるのが遅かったら、死んだかもしれへんな。まあ、ええわ。次はこっちから行くで」


言葉通りに、ハルクはパンチのラッシュを繰り出す。サナエは素早く避けながらも、同時にナイフで切り付けていた。


しばらくして、ハルクの露出されている皮膚から、血が流れ出した。それは、手、首筋、頬などである。しかし、ハルクも急所を避けており、かすり傷程度であった。血もすぐに止まる程度である。


ハルクはサナエの攻撃がかわせないと判断して、最小限の傷で済むように避けていた。サナエも攻撃を一発食らったら、終わりだと分かっていたので、警戒心を怠る事はしなかった。


お互いが超人の域であり、中々と勝負はつきそうにもなかった。そこで、ハルクはわざとスキを与えた。ハルクは無防備に左の手のひらを、サナエの目の前に突き出した。


サナエは見事にそのスキに騙されてしまい、ハルクの左の手のひらにナイフ突き刺した。ナイフは手のひらを貫通して、刃は手の甲まで貫いた。普通の人間なら、ここで痛くて地面に転がってしまうものだ。


しかし、ハルクは刺された左手を貝のように閉じて、サナエの右手とナイフを握り、動きを止めたのであった。


ハルクは口元を緩めた。

「やっと、捕まえたでぇ」

「しまった……」

サナエはシャコ貝に挟まれたように、右手の自由がまったく効かない状態なった。グイグイ引っ張っても、女性の力ではビクともしない。


サナエはすぐにヤバいと判断して、左手に残ったナイフをハルクの顔面に投げつけた。サナエの狙いは目であった。ハルクもこれは避けられないと判断して、せっかく捕まえたサナエの手を離してしまった。


サナエはなんとか逃げ出す事に成功したが、両手に武器がない状態に気が付く。そして、更にハルクに背を向けてしまう。そのスキにハルクは右ストレートを放っていた。


逃げる間もなく、サナエはそのパンチを背中に、モロに喰らってしまう。その結果、バイクに轢かれたように、吹き飛ばれてしまった。


サナエは思わず、呻き声を出してしまう。

「うがぁつっ……」

そして、地面にゴロゴロと転がりながらも、なんとか受け身をとった。


ハルクは左手に刺さったナイフを抜いて、自分のネクタイで止血をした。

「ふう、かなり痛かったで」


サナエはヨロヨロしながらも、なんとか立ち上がった。普通なら、気絶してもおかしくないパンチだが、ハルクにもダメージがあったので、パンチ力が半減されていたのであった。


それでも、サナエの背骨にはヒビが入っていた。だが、サナエも地獄の戦場で、このようなピンチは何度も切り抜けてきたので、冷静な判断をする事ができた。この状態で出来る事は回避、つまり逃げる事である。ちょうど運よく、パトカーのサイレンが鳴りだす。


ハルクは舌打ちをした。

「ちっ、派手にやりすぎたのう。おい、勝負はお預けや。ワシもまだ捕まるわけにはいかんのや」

「ふっ、私もです。いずれ、また……」

そう言って、2人はすぐに病院から姿を消した。


それから、3分後に警察が来たのであった。この病院での戦いでは、網代組は36人の死亡者を出し、11人が重傷状態になり、3人が危篤状態になった。そして、ハルクも左手に大怪我をした。


赤坂組も4人の子分が死亡して、サナエ自身も大ダメージと負う結果となったのだ。だが、警察はクズ同士の殺し合いとして、ちゃんと捜査する事はなかった。


一番の理由は人通りの多い病院前だが、奇跡的に堅気の人間が、1人も巻き込まれなかったからである。

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