表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/118

第46章 冬子 VS 加古川ハルク

どうやら、私は油断したみたいだ。なぜなら、ランドクルーザーから、降りてくる敵まで気がまわらなかったからだ。


その敵とは、私の首を掴んでいる加古川ハルクだ。その巨体から、歌舞伎町で知らない人はいない。ハルクは左手だけで軽々と、私を空高く持ち上げた。


こう見えても、私の体重は50キロ以上ある。しかし、ハルクは汗一つかかずに、軽々と持ち上げているので、人間離れしたパワーであるのが分かる。


私の両足はブランブラン状態であり、首つり自殺に等しい。くそ、息が苦しくて、意識が飛びそうだ。このままだと死ぬ。だけど、両手はまだ動く。なら、ハルクを殺すしかない。


私はサブマシンガンを撃ちこもうと、ハルクに銃口を向けた。しかし、ハルクは右手で、私の銃を持つ手首を掴んできた。それから、そのまま手首を空高く上げさせられて、挙手するような形になってしまう。私は銃口をハルクに再び向けようとしたが、万力のように凄い力で、右手がまったく動かない状態になった。


その結果、銃口はハルクから逸れて、空高くに照準が定まってしまった。更にその反動で、私はサブマシンガンを空に向かって、全弾を打ち尽くしてしまった。すると、薬莢の雨が私に降りかかり、凄く熱くて火傷しそうになった。


コッ、コイツ……。サブマシンガンもビビらない。でもさ、まだ切り札があるんだぜ。私は唯一自由に動く左手で、愛銃のスミス&ウェッソン社のM629を抜いた。


そして、最後の力を振り絞って、加古川ハルクに向かって全弾を撃った。半分意識が飛びそうな状態でも、この至近距離なら、体の何処かに当たったはずだ。しかし、一向に首を絞めているハルクの手は緩まない。


すると、ハルクは口を開いた。

「残念や、防弾スーツや」


ちくしょう、もうダメだ。このまま、首をへし折られてしまう。クソったれ、私はここまでだ。こんな時なのに、ナツの顔が頭に浮かんだ。なんで、アイツが……。まあ、いい……。ナツが仇を討ってくれるだろう。


私は死ぬ覚悟を決めた。

「くそ、早く、早く……。こっ、殺せよ」

「ふっ、ええ根性しとるわ。網代の親分が、アンタの事を随分と可愛がるも分かるわ。だから、今回は見逃したる。1回だけやで……」

そう言うと、ハルクは手を離した。


すると、私は地面に尻餅をついて倒れた。それから、四つん這いになりながら、大量の涎を地面に垂らした。まさか助かったのか? もしかして、網代のオジさんが、私を殺すなとハルクに言ったのかもしれない。ふっ、敵にも味方にも子ども扱いか……。まったく、情けない話だ。


とりあえず、私はその場で、呼吸を整えた。

「あがっ、はあ、はあ……」

敵は目の前にいる、倒すんだ。でも、だめだ、体が一歩も動かない。立ち上がるのさえ無理だ。


そして、ハルクがしゃがんで目線を合してきた。

「ええな、次に会ったら殺すで……。網代の親分に感謝するんやな」

くそ、やっぱり、網代のオジさんに助けられたって訳か……。私の完敗だ。


次の瞬間、ナツがハルクの顔面に飛び蹴りを入れた。

「冬子から、手を放せやぁーー。このデカブツがぁー」


そして、ナツは新体操選手のようにバク宙をしながら、地面に着地してドヤ顔をする。

「冬子、助けてやったぞ」

「バカ……。遅いよ……。しっ、死ぬとこだったよ……。ナチュはさぁ……」

クソ、呂律がまわらない。それに体もフラフラだ。脳に酸素が行ってないのかもしれない。


しかし、ナツはヘラヘラと笑う。

「まあ、このデカブツは冬子お嬢様には無理だ。俺がコイツを倒す。冬子は休んでいろ」


ナツは、ハルクが怖くないのか? 私は正直に言うと、ビビッてしまった。まるで、森の中でヒグマにあったような恐怖感があったのだ。やっぱり、ナツは精神的には、私よりも遥かに強い。


ハルクはナツを嬉しそうに見た。

「ナツ、久しぶりやなあ。この間の蹴りで、ワシの奥歯が折れてしまったんや。どう、落とし前を付けてくれるんや?」

「ふっ……。なら、残りの歯を全部折ってやるぜ。この俺様が治療してやる」

どうやら、歌舞伎町での喧嘩のケリをつける気みたいだ。


それから、欣也伯父さんが駆け付けた。そして、私をお姫様だっこで、ひょいと持ち上げた。

「冬子、軽いな。とりあえず、ココから逃げるぞ」

「うん。それより、欣也伯父さんの怪我は大丈夫なの?」

「ああ、問題ない。それより、ナツがランドクルーザーを奪ったんだ。これで逃げろってさ。さあ、行くぞ」


そして、私達がランドクルーザーの近くまで移動すると、黒パーカーの男が2人倒れていた。こいつら、ハルクの子分だ。おそらく、ナツが蹴り飛ばしたのだろう。


私は意識が朦朧となりつつも、ランドクルーザーの助手席に乗せられた。そして、欣也伯父さんはエンジンを駆けて、車を病院から発進させた。目の前にヒットマンが立つが、躊躇せずに轢いていった。そして、私と欣也伯父さんは、なんとか病院から逃げる事ができた。


欣也伯父さんが生きていれば、天王洲会は立て直せる。サナエちゃんは6人の子分と一緒に、50人近いヒットマンと戦っている頃だ。ナツもハルクみたいなバケモノと戦わないといけない。


私も力になりたいが、今は足手まといでしかない状態だ。自分が無力なのが、悔しくてもどかしい。クソ、さっきのダメージで、自分の意識が切れそうなのが分かる。せめて、私は意識を失う瞬間に、ナツとサナエちゃんの無事を祈った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ