第41章 東雲ハコネの歪んだ愛情
次の日、俺は冬子から一報を聞いた。東雲シマが関東網代一家に賞金首をかけたらしい。俺はワイルドバンチにログインすると、すぐに情報が出たのであった。
網代ケン(48歳)
関東網代一家の組長。賞金額は5000万ギル。日本刀で何人も切り殺した武闘派ヤクザ。シノギは賭場運営メイン。写真を見ると片目を瞑った強面の男だ。なるほど、コイツが今回のボスだな、こりゃ強そうだわ。
府中サトル(47歳)
関東網代一家の若頭。賞金額は3000万ギル。詐欺を専門としたシノギを得意とする経済ヤクザ。写真はサングラスに金髪の男であり、強そうなオーラはゼロだ。
黒羽ショウタ(32歳)
関東網代一家の若頭補佐。賞金額は3000万ギルだ。スカウト会社を中心としたシノギをする元ホスト。写真はピンク色の髪にピアスで、バンドマンみたいに見える。あっー、こいつの部下が俺をスカウトしたのか……。会ったら、殺す。
山形ヒロキ(63歳)
関東網代一家の若頭補佐。賞金額は1000万ギルだ。天王洲会の古参の幹部であり、懲役経験者。写真は小太りのオッサンだ。凄く弱そうに見える。っていうか、リストラされたサラリーマンだろ、これ……。
加古川ハルク(35歳)
関東網代一家の舎弟頭。網代組2代目組長も兼任。身長220センチ、体重190キロ。歌舞伎町最強と呼ばれる男。写真は俺を吹っ飛ばした男の顔があった。ふっ、このバケモノ男とはケリをつけたと思っていた所だぜ。
ちなみの賞金額は8000万ギルだった。俺はもっと上でもおかしくないと思った。とりあえず、賞金首の合計が2億ギルか……。東雲シマって女は金持ちだよな。この先、仲良くしておいて損はないな。しかし、妹のハコネって女が邪魔だなあ。
俺と冬子が仲良くしているのが気に入らないみたいだ。だけど、あのハコネって女の剣術は凄かった。格闘技は俺、拳銃は冬子、剣術はハコネで組むのは悪くない。かなりの戦力にはなるし、このメンバーで賞金稼ぎの仕事をしたら楽になる。
出来れば、この先も、仲間になったらいいのにな……。フフフ、女ルパン三世のメンバーでいいかもしれない。俺もあのチビ女と仲良くする努力でもしてみるかな?
その日の夜は本家に泊まった。俺は夕食を食べて、風呂に入ろうとしていた。
その時、冬子が声をかけてきた。
「おい、背中でも流してくれよ。タダ飯食っているんだからさ」
「別にいいよ、風呂場って何処だ?」
「こっちだよ」
冬子と混浴か……。いや、少し緊張してきた。
俺は冬子と風呂場に向かった。風呂場はヒノキ造りの温泉みたいで、5~6人は湯に浸かれそうな大きさだった。俺はスカジャンとスカートを脱いだ。もちろん、下着もだよ。まあ、どんな下着かは読者の妄想に任せよう。
そして、冬子も同じように裸になった。冬子の身体は細くて、心配になる感じである。モデル体型だけど、無駄な脂肪が一切ないのだ。俺と体重はほぼ一緒くらいだが、身長が10センチ近くは違うはずだ。まあ、胸の大きさは勝っているぜ。だから、デブじゃないと信じたい。俺はアスリート体系なのだ。
冬子が俺の身体をジロジロと見てきた。
「ナツ、シックスパックかよ。凄いな、陸上の選手みたいだ」
「まあ、格闘技専門だからな。腕立て、腹筋、スクワットくらいは毎日やるぜ」
「意外と努力家なんだな」
そして、冬子は風呂桶に座って、背中を見せてきた。
「ナツ、背中を洗ってよ」
俺は石鹸を泡立てて、冬子の背中をゴシゴシと洗い始めた。やばい、冬子の身体から良い匂いがする。なんか、エロイ気分になってきたけど、このまま襲ったら、シャレにならない。ジョバンニに裏切られてから、男性不信になって、女に興味が出たとは冬子には言えない。
それにしても、冬子は俺の事をどう思っているのだろう? 仕事仲間? 相棒? 友達? それとも……。あっー、やめだ、やめだ。まるで、俺が恋愛漫画のヒロインみたいじゃないか。ただの仕事仲間に決まっているぜ。とりあえず、仕事の話をする事にした。
俺は冬子に聞く。
「なあ、今回の抗争勝てそうか?」
「分からないよ、全力でやるだけだ」
なんか、元気がない感じだ。網代って片目男の裏切りで、腑抜けているのが分かる。まあ、もともとは仲間だったから、ショックを受けているのだろう。だが、迷ったら殺されるのが、この世界の掟だ。俺はポジティブな気分にしてやろうと思った。
なので、俺は後ろから、冬子のおっぱいを洗った。
「はーい、前を洗います」
「ひゃう」
冬子は体をビクンとさせて、両足が内股になった。
「バッ、バッ、バカ……。ナツ、どこ洗ってんの?」
「さあ、何処でしょうね?」
そう言って、俺のおっぱいを冬子の背中につけてやった。
次に俺は冬子の股に手をかけた。すると、冬子の動きが止まって、プルプルと震えた。そして、エロイ吐息が小声で聞こえた気がした。
俺は確信をついた。
「おい、感じたんか? 元気出ただろ?」
すると、冬子の後頭部が、俺の顔面にぶつかった。そう、頭突きをされたのだ。
「ナツぅー、いい加減にしろぉー」
そして、冬子が俺を押し倒して、馬乗り状態になった。俺達は泡まみれで、体がヌルヌルになり、お互いに手足を掴もうとする。まるで、AVのキャットファイトだった。その瞬間、風呂場の扉が開いた。
そこには、東雲ハコネがセーラー服姿で立っていた。
「あの、シャンプーもってきやんやけど……。せやけど……。じゃ、じゃ、邪魔にしてごめんな。冬子ちゃん、ウチはさぁ、ウチはさぁ……」
その表情は悲しそうで、目には溢れんばかりの涙が溜まっていた。
冬子は慌てて弁明した。
「いや、ハコネ違う、違うよ。そんな関係じゃないよ、なあ、ナツ?」
そう言って、冬子はハコネに背を向けて、俺の顔をジッと見た。
冬子の後ろに立っているハコネは、恐ろしい形相で俺を睨んでいた。たしか、冬子に恋しているから、俺と冬子が裸でイチャイチャしているように見えて嫉妬したのだろう。ハコネの目は確実に殺すって感じだった。しかし、冬子が再び、ハコネの方を見ると一転した。
先程とはうって変わり、ハコネはニコニコとした表情を見せた。
「冬子ちゃん、ここにシャンプーを置いとくわ。なんか、目にゴミが入ったみたいや。じゃあ、ウチはこれで失礼するわ。ごゆっくり」
そして、素早く風呂場から、立ち去ったのであった。俺は嫌な予感がした。あのチビ女、変な誤解で、暴走しなきゃいいけど……。
数時間後、ハコネは自分の部屋にいた。東雲ハコネは16歳の賞金稼ぎである。武器は日本刀を愛用して、何十人も人を殺してきた。しかし、その残虐性と外見は別であった。
見た目はツインテールにセーラー服姿の美少女であり、アイドルグループにいそうな妹キャラだ。年齢は16歳ではあるが、身長は150センチな上に、体も華奢で細いので、小学生に間違えられることもある。あとは、ロリコンのオッサンに声をかけられる事も多く、本人は真剣に悩んでいるのだ。
ハコネ自身は同性愛者であり、天王洲冬子を10年近くも愛しているのだ。ハコネの部屋の壁一面には冬子の写真が100枚以上貼っていた。幼少期から中学時代までの写真があり、ハコネのお気に入りのコレクションだった。
そして、写真の一つを見て、歪んだ笑顔を見せた。
「ただいまー、今日は14歳の冬子ちゃんがええ」
そう言って、14歳でセーラー服姿の冬子の写真にキスをした。
それから、小さな舌をだして、写真をペロペロと舐めた。
「ハア、ハア……。今日も冬子ちゃんは素敵やで……」
次にクローゼットを開いた。そこには冬子の中学時代の制服、ジャージ、私服などがあった。他にも、冬子が使った上履き、スクールバッグ、捨てるはずだった下着類が保管してあった。そして、100冊近い、冬子のストーカー日記もあった。
とりあえず、ハコネは自分のセーラー服を抜いた。
「うーん、今日はこれにするか」
そう言って、冬子の中学時代のジャージを着た。
そして、ベッドには冬子の2頭身ぬいぐるみが置いてあった。このジト目の冬子ちゃん人形は、ハコネにとって、寝る時にはかかせないアイテムになっていた。これは手作りであり、とても気に入っているのだ。ちなみに、ぬいぐるみの中には、冬子の髪の毛が入っていた。
ハコネはぬいぐるみをギュッと抱きしめる。
「冬子ちゃん、ウチがこんなに好きなのに……。なんで、分かってくれへんの?」
それから、ベッドの上で、体操座りになって、自分の親指の爪を噛み始めた。
「あの赤毛女が来てから、全てがおかしくなったんや」
ハコネはナツの顔を思い浮かべた。そして、親指の爪から、親指の腹を噛み始めた。当然ながら、親指からは血がタラタラと流れ始めた。
そして、ブツブツと独り言をはじめた。
「赤毛殺す。赤毛殺す。赤毛殺す。赤毛殺す。赤毛殺す。赤毛殺す。赤毛殺す。赤毛殺す。赤毛殺す。赤毛殺す。赤毛殺す。赤毛殺す。赤毛殺す。赤毛殺す。赤毛殺す。赤毛殺す。赤毛殺す。赤毛殺す。赤毛殺す。赤毛殺す。赤毛殺す。赤毛殺す。赤毛殺す。赤毛殺す。赤毛殺す。赤毛殺す。赤毛殺す。赤毛殺す。赤毛殺す。赤毛殺す。赤毛殺す。赤毛殺す。赤毛殺す。赤毛殺す。赤毛殺す。赤毛殺す……」
そう、冬子とナツが裸で、泡まみれになっていた姿を思い出していたのだ。理想としては、自分が冬子に押したされたかったのだ。しかし、現実はナツが押し倒されていたので、自分があのポジションじゃない事に嫉妬していた。
嫉妬という黒い気持ちが、ハコネの心を支配していく。その結果、冬子が他の人間と恋人関係になるなら、冬子と一緒に心中したいと考えるようになった。
そして、また小声でブツブツと呟く。
「冬子ちゃんと死にたい。冬子ちゃんと死にたい。冬子ちゃんと死にたい。冬子ちゃんと死にたい。冬子ちゃんと死にたい。冬子ちゃんと死にたい。冬子ちゃんと死にたい。冬子ちゃんと死にたい。冬子ちゃんと死にたい。冬子ちゃんと死にたい。冬子ちゃんと死にたい。冬子ちゃんと死にたい。冬子ちゃんと死にたい。冬子ちゃんと死にたい……」
こうして、東雲ハコネの歪んだ愛情は、自分の人生をも狂わしていくのであった。




